幻覚にカーテンコール
不要ならば捨ててしまって下さい。 私はカーテンの中に居りますから。 私を起こさないで下さい。 そこに私の席はありませんから。 私を番号で呼ばないで下さい。 その音が実像を結ぶことはありませんから。 塩素の匂いとプール熱。 熱冷ましは要りません。 私を囲むそのカーテンを、 摂氏零下四〇度の極光で染め上げて下さい。 オゾン層にはラジオゾンデを浮かべて。 傍らには無菌室の宝石を。…
長期滞在者
2015.3.3-3.8 ギャラリー・マゴット(大阪・四ツ橋) カマウチヒデキ写真展『風景について 2 』より抜粋。 ・・・・・・ 一つの展示が終わったら、ああ自由の身だ、とか思う。 終わった展示の内容に引きずられることなく、何を撮ってもいいのだ。 何かしらの「まとまり」に対する整合性とか、全部ご破算になるのだ。 自由なのだ。 そして、その「自由」が一番やっかいで手強い相手なのだ。 なのだ。なのだ…
長期滞在者
妻が久しぶりに劇場の舞台に立つことになり、初日の公演を観に行ってきました。場所は新宿二丁目・タイニイアリス。10年ぶりに訪れるこの古い劇場は間も無く30余年に及ぶ歴史に幕を降ろすそうです。 お芝居の世界には、「初日乾杯」というのがあって、初日の舞台が終わった後、出演者と観客一同に飲食が振る舞われます。 無事初日の芝居を終えた後の演者さんたちの晴れがましい表情、それを受け止めるお客様が一体となった独…
Mais ou Menos
———————- Pちゃん 少しずつ暖かくあってきたね。雨が多くてどんよりだけど、暖かさが嬉しいね。 この間、中学時代からの友人と京都水族館に行ってきて、オオサンショウウオを見てきたよ。オオサンショウウオって、なぜか水槽のはじっこで、重なりあってじーっとしてるの。なんであんな風にしているのか、すっごく不思議だった……
the power sink
こんばんは!僕は普段からあまり意味のない絵を描いているので、それをここに載せる。 タイトルのthe power sinkの意味は、エネルギーが沈んでいくとか、パワーが無くなるとか、力が抜けるというような感じの意味です。見て頂けると嬉しいです。ではよろしくお願いします! ドッヂボーイ (自らの手をひもで縛ってドッヂボールをする無抵抗な人の事で、1人だったり集団で現れたりする) ぴったり…
Slow times
Slow times 絵だけのお話。言葉がないところへ行くのです。 ものすごく遠い異国へ、急に出かけてしまった 一人旅のようなものです。 一ヶ月ごとに一ページづつゆっくり進みます。 どうぞ気長にお付き合いください。
長期滞在者
【個展のお知らせ】 3/17(火) – 3/29(日) (在廊予定日3/21(土)) 京都レティシア書房で個展をします。 物理、数学、鉱物、錬金術等をテーマにした絵画展です。 書籍、自作アクセサリー、トートバック、ステッカー等の販売、鉱物標本の展示も行います。 —————— 個展の準備中のため、今月は宣伝にて失礼…
はてなを浮かべる
知らないうちに自意識が溶け出している? シンプルな理由にこそ気付かないふりをしているの? 抽象的に傷付けようとしている? 本当はのたうち回っている? 境界を保っていたほうが美しいこともあった? お蔵入りにしている人格があるの? そこへ縫い付けておかなければ…
長期滞在者
「さびしいくらいしずかだと、コドクがすきなぼくでも、だれかとお茶を飲みたくなる」 『ともだちは海のにおい』より 私はお茶が好きである。緑茶に紅茶、中国茶。毎日日替わりよりどりみどり、カップは空になることなく、いつも並々お茶の池。仕事を終えて家に帰るとミルクパンで湯を沸かし、その日の気分で茶をいれたら準備完了。煙猫を愛でながら、読書をしたり考え事をしたりと夜は静かに更けていく。ところがまれに、ごくま…
長期滞在者
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 知識も言葉もそこへの道筋を示せても、 その道を歩いていくためには邪魔になることばかりだと思うのだが。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ただあるようにあることの重大さを意識し、そうしながらなおかつそれを忘れていく。 そして歩き続け、その先の角を曲がって出会うものに出会い、 驚き、または失望し、または傷つき、または恐れ、または…
長期滞在者
先日、琵琶湖が見渡せる道路沿いをひとりで歩くことがあった。ここしばらくは、せっかく仕事が休みでも疲労困憊で家でひたすら寝たり、なにもせずぼんやりするばかり。無印で新しい枕を買う目的で、久々に人の多いところに外出した。 晴れているのに、山沿いではよくしまける。晴れているかと思ったら、数秒後には雨がちらつくような日なのに、不思議と寒さは感じなかった。春の気配。濡れないようストールを頭に巻いて、とぼとぼ…
長期滞在者
先月大阪の国立国際美術館で観た映像作家フィオナ・タンの動画展示で、メインではない小さなブースでの作品だったのですが、静止した女性の周りをカメラがゆっくり一周して撮っていく、いわば「背面まで写るポートレート」というようなものがあり、目が釘付けになりました。 美しい諧調のモノクロ映像で、どこかでその映像を切り出ししたらそこからいくらでも「ポートレート」が抽出できてしまいそうなクオリティ。 それを観て、…