長期滞在者
何度も、何度も父や母の迎えをまった駅。おそらく、もう戻ることはないだろう、その小さな駅のことを今思い出している。 駅前にあったミスドで、よく家族へのお土産を買った。ポンデリングが好きだった父に、弟。母はさて、なにが好きだったろう。ミスドが閉店して、もうだいぶ経つから忘れてしまった。だけど、あの小さな駅前のミスドのことを思うと、親元に帰るという安心感と、どんどん家族から離れていく自分の中に芽生え…
ショートな絵本
ピアノの小人 ピアノの上を 小人がステップして ピアノを弾いている。 すると魔法の森に、 音符の木の実がなり始める。 ピアノの上で 指を足に見立てて 歩かせるのが好きです。 小人が歩いているみたい。 私もピアノの上を歩けたらな。 歩くたびにきれいな音がして、 楽しいだろうな。 今回で最後の投稿になります* 今までありがとうございました! 来年は本格的に絵本をやっていこうと思います。 また何かの…
長期滞在者
■1 小学生の頃、僕は絵が得意だった。 田舎に帰った折、親戚のおじさんが若い頃描いたという映画スターの似顔絵(きちんとしたデッサン)を見て対抗心を燃やした12歳の僕は、手近にあった雑誌に出ていた仲代達矢の写真を見てノートに鉛筆でデッサンした。 かなり時間を掛けて、自分では上手く描けたと思ったが、それを見た祖父が 「あかんぞその絵は。眼が死んどる」 と言う。 いやそんなことはない、どこから見ても仲代…
Mais ou Menos
ーーーーーーーーーーーーーーー 2014.12.10(水) まちゃんへ 『ホーリー・モーターズ』という映画を見て、すごく好きになってすぐに2回目を見ました。やはり、ドニ・ラヴァンはすごくいいね。カラックス三部作(『ボーイ・ミーツガール』『汚れた血』『ポンヌフの恋人』)の頃から大好きな俳優ですが、今回もまたよかった。ドニ・ラヴァンの見た目、雰囲気が好きです。『ホーリー・モーターズ』ではこの主人公の…
the power sink
こんばんは!意味の無い絵を載せる。最近いつもマイナスの事を言って申し訳ないですが、やわらかそうなものしか描けず、無意味な状況がなかなか描けないです。固いものも描けるようになって、なにかの状況を書けるようになりたいと思っています。 ではよろしくお願いします! まとまりのある縮毛の人がよくわからない像を見ている 突起のバッテンのくぼみを今この瞬間どうしようもなく触りたかったけど、今触るの…
長期滞在者
ギャラリーの仕事をしている以上、作品を売るのも仕事の一部です。ただし、ギャラリーはモノの売り買いの場である以前に、作家さんにとっては作品発表のための大切な場でもあります。 生きる、という部分では必ずしも必要とされないものを買って頂くには、お客様の心を動かす何かが必要で、そのためにはやっぱり売る側の気持ちが大切です。安易に「これ、いいでしょう」「超、良くないですか?」と自分たちの価値観を押し付けると…
長期滞在者
きみが うえに なってる たまごは、 おさらのうえから、 へんなめで じっと にらんでるみたいだし、 きみが したになってるのは、 うつむいて じっと まってるみたいで、 いやなんだもん。(『ジャムつきパンとフランシス』より) この世で一番好きな食べ物はと聞かれたら、私は迷うことなく「たまご」と答える。玉子料理ではなく、たまごである。たまごの存在が目に見え舌にはっきり感じられるもの―たまごかけご飯…
長期滞在者
2014年も、あと残すところ一ヶ月。こんなにはやくときが過ぎるなんて…… 二十を越えてから驚くほど時間がはやく感じられる。時計の針の動きがはやまってるんじゃないの?そう思えてくるほどだ。 12月は忙しくなる。仕事の面でもそうだし、メンタル面でもいろんな変化があるだろうことが予測できる。12月30日には、父と弟がブラジルへ帰国することが決まっている。母は先月、一足先にブラジルに戻った。家族と別の…
長期滞在者
十数年前、最初に脳腫瘍が見つかったのは自覚症状が出たわけでもなく本当に偶然だった。 このことは本題ではないからさっくりとお話しすると、あるお天気のよい日、都内某公園のベンチで横になり日向ぼっこ兼昼寝をしていた私は熟睡しすぎて本気の寝返りを打ちベンチから落ちてしまい、しこたま左頭部を石畳に強打してしまったため顔がお岩さんのように腫れあがり病院に向かうことになった。 「あー、こめかみにヒビ入ってるねー…
長期滞在者
メリーゴーランド京都でやった、夏の個展が無事に終わって、次を描き始めたいのに空回りが続いていた。ただ疲れていて、励まされても誉められても、自分の中の部屋がどんどん狭くなる感じを何に喩えればいいのでしょう。大袈裟だが、これっぽっちも余裕のない自分があるだけだった。 わたしは、ちょうど逃げ出したリンゴのように母から逃げ出して、別の穴にストンと落ちる。アリスのウサギ穴に見立てたいところだが、母は、わたし…
Mais ou Menos
ーーーーーーーーーーーーーーー 2014.11.9 (日) まちゃんへ まちゃんと往復書簡を始めるに当たって、自分はまちゃんの文字を初めて見て、その文字のことをとても好きになったんやったな、ということを思い出した。自分は、こういうとおかしいと思われるかもしれないが、他人の文字を見るのが好きである。字を見ると、その人のことが見えるというか、文字には“その人”が表れるからである。だから、まちゃんの書く…
長期滞在者
強く雨の降る朝、女子学生たちが乗った自転車が十台ほど次々と、全員学校指定らしい同じグレーに赤のラインのレインコートを着て、透明の傘を差して、ゆっくりと僕を追い抜いていった。 じっとり沈んだ湿度の中を、続々と通過していくグレーの集団の後ろ姿が幽玄で映像的にとても美しく、思わず大雨の中足を止めて見送った。 見惚れることしばし、彼女らが雨の向こうに遠ざかってから、あ、カメラ、と馬鹿な顔して僕は突っ立って…