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Mais ou Menos #31 —裏でも表でもないわたしたちの往復書簡ー

Mais ou Menos

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まちゃんへ

今年のゴールデンウィークは、いつもに増して素晴らしい休暇でした。

姪っ子を見に行ったり、ストリップ見に行ったり、博物館行ったり、ペレードに参加したり、刺繍をしたり……大変盛りだくさんで、初めてのことも多く、すごく刺激になりました。

どれも印象に残ってるんやけど、ペレードに行ったときの気持ちを書きたいと思います。今年初めてパレード(プライドパレード)に参加できたことを、すごく嬉しく思っています。まちゃんと、そして10年来の友人のぽちゃんと歩くことができたからです。

生まれながらに性別に違和感を持っていながらも、そのことに真剣に向き合い始めたのは大学生のときでした。それまでは、どうにか考えないようにしたり、他のことで目をそらしたりしていたんやけど、とうとうその問題から逃げられなくなり、私は自分のことを模索し始めました。そのときに、出会ったのがぽちゃん。ぽちゃんが私に声をかけてくれたお陰で、自分の立っている場所が明確になった気がします。あと、生き方の選択肢も広がりました。

ぽちゃんと出会ってから、もう10年くらい経って、その間お互い紆余曲折あったけれど、生きて、プライドパレードをいっしょに歩いているなんて、10年前の自分は想像できただろうか…いや、できない(反語)

パレードを歩いている間は、すごく晴れやかな気持ちで、自分は生きていてもいいんだなという気持ちになったし、また老若男女、国籍、性別問わずみんなと一体感があって、なんて幸せな気持ちなんだろうと思った。あと、渋谷の大通りを自分たちが中心となって歩いているのも気分良かった。

生きててよかった、みんな、まちゃん、ぽちゃんも生きててくれてありがとう!!そして、これからもよろしく。毎日大変なこともあるけど、また乗り越えていける気がします。まちゃんがゴールデンウィークの後半から体調を崩しているので、それだけが心配です。仕事の疲れや、新しいプロジェクトの疲れが出たんだと思います。今はゆっくり休んで回復に向けてごろごろしてね。

本当に楽しいゴールデンウィークでした。

P
2017.5.9

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DEAR ぴちゃん

GWが明けて3日目。ようやく体調も落ち着き、職場復帰できそうです。花粉症とたたかいながらだけえれど、私もGWを満喫しました。あと、アレルギーでこれだけつらい思いをするとは……。今後は何かしら対策しないと……。

パレードでのことは、私もかなり印象に残っています。先人たちが、一歩一歩、少しずつ開拓してきた道を、自分たちも歩かせてもらったことが嬉しかった。あと、道端から声をかけてくれる人々や、誇らしげな顔の中年カップル、若い男の子たち、女の子たち、外国からきたありとあらゆる国籍の人々。きっと、多くの人々が誇らしい気持ちや、ある種の感動、励まし、いろいろなことを考えたり、感じたりしながら歩いて、応援している空間だった。当事者たちだけでなく、なんとなく見ている人、友人に連れられてきた人、本当にいろんな人が一箇所に集まって、楽しそうにしていたこと、圧巻の眺めでした。私たち3人は、すごく無口にまわりを観察していたね。個人的には、それも自分ららしくて良かったと思う。私も、あんなに晴れやかな気分になったの、久々だった。ブラジルの大自然の中にいるときみたいに、自分も世界の一部だと思えた。ロケーションは全然違うのにね。自分が外国人であることや、マイノリティとして生きていることが、とるにたらないことに思えた。

国外のプライドパレードの映像を見たことがあったけれど、多くの参加者が感謝の言葉を常に発していたの。今は、その人々の気持ちがわかる。先人たちの努力と、その努力と向き合ってきた人々、受け入れてきた人々、これから開拓していく人々、それと新たに向き合っていく人々、今リアルタイムで向き合っている人々、ぴちゃん、ぽちゃん、友人たち、今は遠い家族たち、生きててよかった。ありがとう。自分たちも、この後に続く人々のために、できることをやっていきたいね。そういう勇気を分けてもらえたイベントでした。

Maysa

Maysa Tomikawa

Maysa Tomikawa

1986年ブラジル サンパウロ出身、東京在住。ブラジルと日本を行き来しながら生きる根無し草です。定住をこころから望む反面、実際には点々と拠点をかえています。一カ所に留まっていられないのかもしれません。

水を大量に飲んでしまう病気を患ってから、日々のwell-beingについて、考え続けています。

PQ

PQ

ゲームと映画が好きです。
国籍も性別もない。

Reviewed by
西尾 佳織

「プライドパレード」の存在を知ったのは、2014年の春だった。
米カリフォルニア州での同性婚をめぐる裁判を元にした、『エイト』という法廷劇の演出を担当することになり、
ちょうど稽古が始まる時期だから顔合わせも兼ねて!ということで、出演者・スタッフのみんなと参加した。

晴れた日で、周りの人たちもみんなそれぞれに嬉しそうで、明治神宮~渋谷あたりをワイワイ歩いた。
誰に対してもオープンな空気が心地よく、ご機嫌だった。

パレードの隊列には参加せず、沿道から見守ったり手を振ったりしている人たちもそれなりの数いた。
「パレードに参加して道の真ん中を歩くことが、難しい人もいるからね」と教わった。
様々な事情や立場から、パレードに関わることを知られるわけにいかない場合もある。
社会的に支障がなくても、本人が決断するのに時間の要ることもある。
言われたら、分かる。でも言われるまで、分からなかった。
楽しい明るい一辺倒ではなく、色々な人の葛藤や勇気があってのあのエネルギーなのだ。

来年また久々に、行ってみようかな。

★「レインボープライド」とは
http://tokyorainbowpride.com/pride-parade

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