当番ノート 第38期
私よりできる人、優れている人はたくさんいる。仕事も、好きな歌手について語ることも、良縁に恵まれることも。数えきれないほどすごい人はたくさんいて、自分ができることなんて、その人たちのほんの1部分にも満たない。 「ミホは苦手なことが多すぎるよ」と言われたこともあった。はっきり「NO」を伝えること、飛ぶ生き物が近くをよぎること、魚の丸焼きを頭から食べること。克服したいことは絶えずあるし、いつになったら自…
当番ノート 第38期
狭い路地はコの字形をしていて、めっぼう汚くて、だけど人々の熱気に最高潮だ。清掃車がブラシをブン回しながら通り過ぎてゆく。酔いと旨みに満たされた人々に、ルールを守れなんて、まぁ、もとより無理なわけで、空瓶やボトル、食いかすなんかそこら中に散らばってる。だが、それこそ、それこそが。 ここは美食の街、ログローニョ。路地を埋め尽くすはキノコ、フライ、チキン、ケーキ、ワイン、ワイン、赤ワイン白ワイン、ティン…
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 . (クスコの夜景) (マチュピチュのリャマ) ・ペルー ついにペルーへやってきた。 アマゾンへ行く前に、標高3400mにあるクスコとマチュピチュ遺跡、首都のリマに寄ったけれど、それぞれ気候も街の雰囲気も違って面白かった。 かつてインカ帝国の首都だったクスコは、インカの石組みとスペイン風の建物が混ざった美しい街…
当番ノート 第38期
今回はギリシャで一番の英雄、夏の星座のヘラクレス座から。 ** ヘラクレスは神々の王ゼウスとアルゴスの王女アルクメネーの間に生まれました。ゼウスの正妻であるヘラは嫉妬し、生まれて間もないヘラクレスのゆりかごにヘビを忍び込ませました。しかし、彼はそれを簡単に両手で絞め殺し、ヘラのたくらみは失敗に終わりました。 やがて成人したヘラクレスはテーベの王女と結婚し、幸せな日々を送っていました。しかし、彼には…
当番ノート 第38期
ストリートに立つと不安でしかなかった。 依頼を受けても自信がないからだ。本音では皆んな素通りをしてほしいと願ってその場に座って絵の練習をしていた。 それでも依頼は来た。今でも、覚えている。初めの依頼は3人家族だった。まだ幼い赤ちゃんとその両親。依頼を受けたからには自信のあるように立ち振る舞わなくてはいけないと思い笑顔で、そして余裕のある雰囲気で描き始めた。 急に手が震え始めた。 人が見ててもわかる…
当番ノート 第38期
ジゼルについて 私の所属しているカンパニーでは今シーズンにジゼルを2回上演しました。 ジゼルは私が初めてプロの団体に加わった時に参加した作品です。 その頃日本で私が所属していたバレエ団ではジゼルをよく上演していました。 ジゼルの二幕はコールドバレエにとってとても難しい場面です。 結婚を前に死んでしまった娘たちが妖精となって森に入ってきた男を死ぬまで踊らせて殺すという踊りです。 顔や体の角度、手の位…
長期滞在者
春は天候が荒れる。体調も崩れやすくなる。職場の面子が変わったり、環境が変わったり、出会いと別れの季節だ。波のようにいろんなことが揺れて、揺さぶられて、安定するのがなかなか難しい。わたしにとってもそれは同じことで、様々な変化に適応するために日々必死です。 3月末から4月末にかけて、これまでにはなかったような体調不良が続いていたのも大変だった。身動きが取れないような頭痛が連日続き、急遽CTスキャンを受…
当番ノート 第38期
子どもの頃から兄と私は“1人1つ”だった。好きなお菓子も1個ずつ買ってもらっていたし、部屋もそれぞれ、テレビも複数台あったので、見たい番組でケンカすることは無かった。 その代わり、「兄だけが持っているもの」を使おうとすると、嫌がられることが多かった。テトリス、たまごっち、灰色の初代ゲームボーイ。目を盗んでこっそり遊んでいるうちに、兄が飽きて遊ぶ権利が回ってきたり、母がもう1つ買ってくれたりして、最…
当番ノート 第38期
なんか、バカみたい。 偉大な、とてつもなく広くて穏やかな、大西洋。そこにそびえる、フィニステーラ岬。 Finnistera… Fin、つまり終わりってこと。誰かに聞いたけど、The end of the world(世界の果て)、なんて言われているらしい。 旅を終えた巡礼たちがたむろして、岩にへばりつく牡蠣みたく待ってんのさ。全く、滑稽じゃないか。 何を待ってるかって? そろそろ時間だ。 空は黄金…
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 (ペルーのクスコという都市の、サンペドロ市場にあるシャーマンショップ。手前の大きなサボテンがサンペドロ) ・サンペドロ ペルー出発の1ヶ月ほど前のある日、ちいさなお茶会が開かれた。用意された『茶室』は、六畳ほどのちいさな部屋だ。先生は和紙に漢文で聖書の一節を書いたものを壁に貼った。「わたしはあなたに、天国の鍵を…
当番ノート 第38期
今回は13星座で登場するへびつかい座のお話と、その前段としてからす座を少々。 ** 神アポロンはテッサリアという国の王女コロニスを妻にしていました。アポロンは太陽の神であり、かつ音楽の神、予言の神、医学の神であったためとても忙しく、愛する妻といつも一緒に過ごすことができずにいました。そこでアポロンは銀色の羽を持ち、人間の言葉を話せるカラスに、毎日妻の様子を伝える役目を与えていました。 ある日、道草…
当番ノート 第38期
私の絵が初めて価値を生み出した時の話。 絵の修行で、成長する方法の1つとして私は(似顔絵)を描く事を指示されていた。 先生の考えた(ecoart)でダンボールにその人の雰囲気を描く絵だ。 先生の元で修行をして間もなくして、このecoartの練習を始めた。これはとても難しかった。今まで絵を誰にも習ったことのない者からしたら、未知の世界で何をどう描けば良いのか分からず、ただ真似をして吸収するしかなかっ…