長期滞在者
うーむ。 この3月は何やらいろいろ収穫の多い月だった。 ような気がする。 以前、やっと成形が終わってホッとしている、と書いた、 やきもの仕事の本焼成が二月半ばすぎにやっと終わったのだけれど、 その直後にプチ・バーンアウト状態になったのもあり、 3月前半は2週間の休暇を取ることにした。 1月に訪れたフランスのメッスに再び向かい、 今回は坂本龍一x高谷史郎によるライブコンサートを鑑賞し、 その後で、も…
当番ノート 第38期
時々私は、自分のまわりにある世界がすべてのような気がして、どこにも居場所がないと思ってしまうことがある。失敗をしたり、コミュニティにうまくなじめなかったり、人に迷惑をかけてしまったり。そんな時「もう誰ともいい関係は築けない」と、自分の箱の中に逃げ込みたくなってしまう。 以前、とある年上の女性から、「自分のやりたいことを貫きすぎると、周りとひずみが起きるわよ。やりたいことがあっても、周囲の人が望んで…
日本のヤバい女の子
【4月のヤバい女の子/ オタクとヤバい女の子】 ● 鬼を拝んだおばあさん ――――― 《 鬼を拝んだおばあさん》 昔々、今でいう富山県の辺りに一人のおばあさんが暮らしていた。 おばあさんは変わり者で、鬼を熱心に信仰していた。普通の人が「仏様…仏様…」と唱える場面で、一人だけ「鬼様…鬼様…」と祈るのである。 周囲の人々は皆「やばいって、やめなよ」ととめるが、聞く耳を持たない。結局、年を取って亡くなる…
当番ノート 第38期
少し、話を聞いてほしい。 これは若者の戯言だ。興味がなければ、左向きの矢印を押して出て行ってもらっても構わない。だがもし、君が答えを求めているのなら、どうか僕の言葉を聞いていってくれ。 問題は、なぜ物を書くのか、というところにある。確信しているのは、これこそが僕のやるべき使命である、ということだ。書くことによってのみ、僕は生き永らえ、幸せを嚙みしめ、そして世界の役に立つことができる。それ…
長期滞在者
桜が咲いて、マグノリアの花も、もう散り始めた。精密検査にための通院ラッシュがひと段落して、普通に働く生活戻らないといけない。季節の変わり目だからなのか、気分が優れない日々が続いているものの、天気は日々好転しているので、うざうざした気持ちのままでいるのは正直勿体無い。だけど、濡れた顔のアンパンマンのように、力が出ないのも本当で、毎日今日も一日頑張らないといけないのかと、朝お布団の中でしばらく泣きそう…
当番ノート 第37期
最終稿となった。 前回からの引き続きで’別れ’について触れたのち、当番ノートへの寄稿を総括したいなと思う。 出会いがあれば、いつか必ず別れがきてしまう。 気付く気付かないとは別に、だ。 人は、生死の概念から抜け出して永遠を手に入れない限り、別れからは逃れることができないだろう。 出会いは素晴らしいものだ。 別れは哀しいものだ。 出会いと別れが結び付いたものであると考えるなら…
当番ノート 第37期
作品を作ること これが自分の人生の仕事だと、いつの頃からかそう思うようになった。 作品には名前をつける。 時には文章や、短い詩のようなものを添える時もある。 言葉は、私と演者、作品と観客を繋いでくれる、扉のようなものだと思う。 自分にとって、作品を作るということはどういうことなんだろうと、これまで製作してきた作品のタイトルと、当時書き綴った文章を読み返した。 + 「under my skin」20…
長期滞在者
かつて自分を祝福し、遠くまで走らせてくれた言葉が、気付くと足かせになっている。進んで手にした役割だったはずが、いつの間にか呪いのように自分を苦しめている、そんなことがある。 言葉や肩書きはぼやけた自分にフレームを与えてくれるものだけど、そのフレームの居心地がよすぎると、「自分」は本当は流動的なものだということを忘れてしまう。そのことに息苦しさを覚える時にはすでに、フレームは簡単に壊せないほど固まっ…
当番ノート 第37期
私は今、家の近所の小さな公園の、大きな桜の木の下のブランコに座って、カツサンドコッペパンを食べながら、この文章を書いている。風が吹くと、落ちた花びらたちが踊るみたいにころころと走るのが、綺麗。 食べているカツサンドは、さっき、住んでいるアパートのすぐ裏の通りにあるちっちゃなパン屋さんで買った。本当にすぐ近所なのだけれど、初めてパン屋さんがあることに気がついた。いつも何時からやっているんですか?と何…
当番ノート 第37期
3月5日(月) 業務委託先のオフィスに行って作業をする。今日中に提出しておきたい原稿と企画書の仕上げ、それから担当している動画の進行管理で、指先が爆速で動いて頭の中がグラグラと煮えた。 苦手なことややるべきことはサッサと終わらせて、残った時間で好きなことをする、というのは、うちのお母さんの教育方針で、わたしにもそれが染みついている。月曜日と火曜日に睡眠時間を削って仕事を終わらせててでも、水曜日から…
当番ノート 第37期
(※本稿は公の場であるいうことを考慮した記述を含みます) さて、この当番ノートも残すところ2稿となった。 読み返してみて、ここ’アパートメント’の’一つの部屋’としてどうだろう、と考えてみると、 特徴的な机とか本棚とかはあるのだけど、床とか壁とか、そもそも広さとかが伝わってこないなと感じた。 いや、もしかしたら感じてくれる人もいるのかもしれないけれど…
当番ノート 第37期
大切な場所がある。 大阪駅から歩いて15分ほどの場所にある、iTohen(いとへん)という場所。 2006年から4年ほどアルバイトをさせてもらっていた。 大学を卒業して、もう一度他大学に入学することになり、求人誌を見ながら「いろんな人に出会える場所で働きたいな」と思い、ふと、頭に浮かんだ場所がiTohenだった。 大学在学中、他学部の学部棟に行き、気に入ったフライヤーを集め、ギャラリーやイベントを…