当番ノート 第33期
今年の初め、管理人であるLeikoさんからこのアパートメントでの連載のお話をいただき、 今日から2ヶ月間入居させていただく事となりました。竹内俊人と申します、宜しくお願い致します。 何か世の中に対する不満や社会に対する罪滅ぼしの気持ちを発信したいだなんてざっくり考えていて、 丁度そのタイミングでお話を頂いたものですから、すぐにやります!と返事をしたのですが、 いざ書くとなると何をかけば良いのかさっ…
長期滞在者
6月.芍薬の本領発揮. 芍薬を生けるとにわかに日本画の空気になる.大胆で華やかで、品があって、たまらない.今年もたくさん芍薬を生けよう. 芍薬はもともと中国、朝鮮、モンゴル、シベリア東部の花だったそうだ.花言葉は謙遜、恥じらい、はにかみ. フランス語ではPivoine(女性名詞).ギリシャ語のPaeôn(癒しの神の名)から派生したラテン語paeoniaに由来する. 東西で古くから薬草として扱われ、…
当番ノート 第33期
ストーリーテラーって何ですか? 3年ほど前から自己紹介をするときに「ストーリーテラーです。」と名乗ると「なんですか?それ?」となるので、「おはなしを語る人です。」と言うと「ああ、朗読ですね。」と返ってくる。(そうだよね。そう思うよね。)と思いながら見た目の違いはほとんどないようにも思うのだが「違いがあるとすれば、観客との間に媒体(本とか紙とか)を持たないでそのまま素語りをするんです。」と話すと、「…
日本のヤバい女の子
【6月のヤバい女の子/失望とヤバい女の子】 ●人に知られざる女盗人の語 ――――― 《人に知られざる女盗人の語(今昔物語)》 今は昔。 どこの誰とも知れないが、背が高くすらりとした、髭の男がいた。 ある日男が歩いていると、見知らぬ家の中から誰かが鼠鳴きで呼ぶ。女の声で「扉は押せば開くから、入っておいで」と囁かれる。男は面食らいながらも言われるままに扉の奥へ入っていく。入ったら鍵をかけて。鍵をかけた…
当番ノート 第33期
半分こえた。 と思ったのは、25歳のときだった。人生の中で、家族と一緒に暮らした年数を、離れてから暮らした年数が追い越した。 12歳のとき実家を出て、中学1年生から下宿生活を始めた。中高一貫校で、そのまま大学で東京に来て、今も都内で働いている。実家は広島市にあって、中学高校は岡山の東の方、兵庫寄りの山の中にあった。通おうと思っても、新幹線と在来線を乗り継いで片道2時間以上かかる。だから、家を出るこ…
長期滞在者
先日、パートナーがマッカランの12年をお土産に買ってきてくれた。わたしはウイスキーが好きだけれど、実のところいつもおなじ銘柄ばかり飲んでいてウイスキーについてはちっとも詳しくない。パートナーの職場の人が、良いお酒を飲んだら楽しみの幅が広がるという話をしていたらしく、それならばといろいろ調べてマッカランを買ってきてくれたのだった。 土曜日の少し遅めの昼食。昼間っから、お酒を飲む幸せ。ふたりでどんな味…
当番ノート 第32期
フランス人に書を見せると、決まって飛んでくる一番目の質問は、「これは一体何が書いてあるの?」だ。 「かな」もあるけれど、「かな」の書だって変体仮名交じりだったりして、今の日本語の感覚から読み解くには少々時間がかかったりする。漢字のカテゴリーだと大体中国語の古典文献から取ってきたものを書くことが多い上、私は中国語が分かるわけではないので、こういう反応が飛んでくると正直困る、けれど好奇心旺盛なフランス…
当番ノート 第32期
先日、中目黒にあるCafe & livespot FJ’sというお店がリニューアルすると言う事で、partyとやらにお呼ばれしてきた。そんなpartyなんて滅多に行かないし、その後の用事もあったもので少し顔を出すという生意気な感じでお邪魔する事となった。お店は大きい通りに面してはいるが、駅から少し離れた場所でのんびりした空気の中。路面に向かって扉が開いており、晴れた夕暮れがとっても気持ちよ…
当番ノート 第32期
2ヶ月間あっという間でした。 3月にアパートメントで記事を書くことが決まり、4月に1店舗、5月に1店舗の立上げに参画する事になりまして、考えていた10倍くらいの忙しさになっていまいました。 アパートメント関係者の皆様には大変なご迷惑をおかけいたしました。 (いつも原稿が遅れてすみませんでした汗) やっと仕事が落ち着いたところで、ラスト投稿です。 今思えば全8回(9回かな?)の構成組みをすればよかっ…
ギャラリー・カラバコ
ここはとあるアパートの一角にある、小さなギャラリー「カラバコ」。 白い壁に空っぽの額縁が無造作にならび、その下には題字だけが添えられています。 タイトルだけを頼りに、二人の作家が別々に文と絵を寄せ、2つが合わさった時に初めて作品が完成するのです。 01 桟橋 02 物差し 03 帯 04 時化 05 吃り 06 影絵 07 隠者 08 ウミネコ 第9回は「うぶすな」 我々はどこから来て、どこへ行く…
当番ノート 第32期
隣の男性が、囲炉裏の火を前に、焼き加減を細かく調整しながら真剣にほっけを焼いている。 その様子を私とサザエさんはにこにこして眺めている。 いい具合に焼けてきたところで、ほっけをお皿にうつして、3人は互いのおちょこに日本酒を注ぎ合う。 そして、3人で杯を交わす。 「乾杯!」 ゲストハウスの部屋に戻ってきた時、既に先客がいて、見慣れたヘアスタイルの女性の後ろ姿だと思ったら、サザエさんだった。 「あれ、…
当番ノート 第32期
二カ月の連載を振り返ると、これまでの自分のこと振り返ってしまった。 こうして、文章を書いているけれど、昔から文字を読むことは好きだった。 他の人が何を楽しんでいるかはよく分からない。 誰かを喜ばせようと行動することもほとんどない。 自分がしたいことをするばかりで、今もそうなってしまっている。 文字とは、絵本や小説が好きだったのではない。 ゲームの説明書をよく読んでいた。 家にはゲームの説明書が多く…