当番ノート 第33期
薄暗い部屋の中、僕はふいに目を覚した。 ・・・というより頭が痛くてうまく眠れない。 きっと少し酒を飲み過ぎたのだろう。 首の後ろ、頭との付け根あたりにズンとくる感じの鈍い痛み。 こういう時は大抵目の奥の方からも痒いような痛いような感じがする。 そんな痛みに襲われながらも僕は目を開いて こうやってその状況を文章に起こそうとiPhoneの画面を見つめている。 文章に起こしてみるといかに自分が現代文明に…
長期滞在者
夜、橋の下で暗い水面の写真を撮っていた。 ほとんど真っ暗で、橋の外れにある遠い人工照明が青く弱く水面に漏れるだけ。 かなり長時間シャッターを開けなければ写らないような暗さで、揺らめくかすかな青い光が面白く、つい30分以上そこにかがみ込んでカメラのファインダーを覗いていたのだった。 30分間微光の下にいて、ふと気がつくと、青いと思っていた光からいつしか色が消えている。 白い光が水面に揺らいでいた。 …
長期滞在者
彼女の微笑みを見た瞬間、私はこの人に出会えて良かったと思った。 4月に出会ったアラビア語の先生は、イラクのバグダット生まれ、バグダット育ち。 教室にはいつも笑顔で入ってきて、明るい声でアラビア語の挨拶を交わしてくれる、とてもチャーミングな先生。 彼女はアラビア語だけでなく、中東の文化やイスラム教のことなどを、地上の目線で教えてくれる。 ある時、私は彼女が語るイラクの現実の話を聴いているうちに、涙を…
当番ノート 第33期
バックパックに洗濯物とチョコレート入れて、珈琲を淹れたケメックスと僕のお気に入りヒースセラミックスのマグカップを手に持って近くの古いコインランドリーへ行くのが僕の休日の朝の過ごし方。 珈琲を取り巻く環境、どんな場所で飲むのか、とか、 誰と、シチュエーション、時間、天気、など 何気ないのだけれど、思い返してみるとお気に入りのものがあると思います。 晴れた日の朝の洗濯待ち時間の珈琲の、ぼーっと過ごす時…
長期滞在者
赤坂見附、東京写真文化館で仕事をしていた頃、一番印象的だったのは、日本に駐在している外国人のお客様が、夕方になるとしばしば、友人との待ち合わせ場所にしてくれていたことです。2000年前後のことですから、外国人というと、アメリカの証券会社の人が多かったと記憶しています。食事に行くのか、映画でも観るのかそこまではよくわかりませんが、他人を待たせるのに500円ちょっとの値段で静かな雰囲気でアメリカ近現代…
当番ノート 第33期
ハーナのおはなし屋さんは、こどものおはなし会とおとなのおはなし会の二本柱。こどもの「ハーナのおはなしキラキラ箱」にはベースになる物語があるのです。 「ハーナのおはなしキラキラ箱」おもな登場人物 ☆ハーナの生い立ち ハーナは、おはなしの国で育ちました。 生まれてすぐ誤ってキラキラポストに入ってしまい、おはなしの国に来てしまったのです。ハーナを拾ったのがあの有名な花咲かじいさんでした。おばあさんを亡く…
Mais ou Menos
ぴちゃん いま、内科で診察を待っているところです。土曜日だから一時間以上待つかもしれない。 先月は色々と大変だった。GWに体調を崩してから今もいろいろ引きずっています。薬の副作用が原因だったのかわからないけれど、水を異常な量飲んでしまうようになってから、3週間くらい。水を飲んだはしから、口のなかが渇いて、また飲んでしまう。肌には透明感がでたけれど、夜に何度も目を覚ますから、安眠できた気がしなくて疲…
当番ノート 第33期
「いま、とある事情で共同生活してるのですが個性的すぎてもうストレス溜まってきました。寮で暮らしてて朝から夜まで一緒です。1人部屋ですが友人が乱入してきて断れないので夜更かししてしまいます。どうやったらストレスを感じずに楽しく共同生活を送れるでしょうか。」 ・・・ 2年前の夏、友達3人と車でアメリカを横断した。そのとき、一本道、ひたすら地平を追い続ける車中で、暇を明かすべく「究極に真摯なお悩み相談」…
当番ノート 第33期
【第二章 戦力外通告からの・・・】 戦力外通告と恰好つけて表現してみましたが、読者の皆様がお察しの通り、実際はただのクビでした。大事なことなので、もう一度言います。クビです。 当時は自分なりにも一生懸命にアイドル活動に取り組んでいたので、正直、かなり途方にくれましたが、とりあえず、急なイベントが入ったりするアイドル活動のために シフトの融通が利くからと某アパレル会社の倉庫のアルバイトに当分は専念す…
当番ノート 第33期
バスに揺られながら見る景色から今日はなんだか色という色が全て抜け落ちているようなそんな気がした。 僕のヘッドホンからはいつものようなギターの轟音ではなく、静かで心地よいジャズのメロディーが流れている。 (情景にジャズを絡ませるだなんて、なんか村上春樹憧れっぽくてむず痒いですね) とはいえ僕はジャズといってもそんなに色んなものに精通しているわけではないし 聴きたいと思えるものは大体何曲かに決まってし…
当番ノート 第33期
僕はTalbotで珈琲を淹れたり、他のお店やイベントでコーヒースタンドとして出店したり、ドリップコーヒーワークショップを行なったりしています。仕事以外でも、朝、珈琲を淹れますし、休憩の時も夜眠る前も必ず珈琲を淹れます。珈琲が好きなのです。 僕が珈琲を淹れるようになったのは、18歳の時、喫茶店で働くようになってからでした。 地元弘前にある小さな喫茶店。ネルドリップと水出しコーヒー、僕の親くらいの年代…
当番ノート 第33期
ストーリーテリング Storytelling って日本語では「語り」。どちらも知る人ぞ知る・・・。 私にはストーリーテリングがしっくりくる。 ストーリーテリングは、語り手が物語を覚えて、聞き手に語るので、同じ物語でも語り手によって違った味わいを持たせることができ、聞き手の年齢や反応を見ながら語る言葉を変えることも可能なところが自由なところだ。物語を覚えて語ることは、物語に佇む時間が必然的に長くなる…