当番ノート 第32期
2ヶ月間あっという間でした。 3月にアパートメントで記事を書くことが決まり、4月に1店舗、5月に1店舗の立上げに参画する事になりまして、考えていた10倍くらいの忙しさになっていまいました。 アパートメント関係者の皆様には大変なご迷惑をおかけいたしました。 (いつも原稿が遅れてすみませんでした汗) やっと仕事が落ち着いたところで、ラスト投稿です。 今思えば全8回(9回かな?)の構成組みをすればよかっ…
ギャラリー・カラバコ
ここはとあるアパートの一角にある、小さなギャラリー「カラバコ」。 白い壁に空っぽの額縁が無造作にならび、その下には題字だけが添えられています。 タイトルだけを頼りに、二人の作家が別々に文と絵を寄せ、2つが合わさった時に初めて作品が完成するのです。 01 桟橋 02 物差し 03 帯 04 時化 05 吃り 06 影絵 07 隠者 08 ウミネコ 第9回は「うぶすな」 我々はどこから来て、どこへ行く…
当番ノート 第32期
隣の男性が、囲炉裏の火を前に、焼き加減を細かく調整しながら真剣にほっけを焼いている。 その様子を私とサザエさんはにこにこして眺めている。 いい具合に焼けてきたところで、ほっけをお皿にうつして、3人は互いのおちょこに日本酒を注ぎ合う。 そして、3人で杯を交わす。 「乾杯!」 ゲストハウスの部屋に戻ってきた時、既に先客がいて、見慣れたヘアスタイルの女性の後ろ姿だと思ったら、サザエさんだった。 「あれ、…
当番ノート 第32期
二カ月の連載を振り返ると、これまでの自分のこと振り返ってしまった。 こうして、文章を書いているけれど、昔から文字を読むことは好きだった。 他の人が何を楽しんでいるかはよく分からない。 誰かを喜ばせようと行動することもほとんどない。 自分がしたいことをするばかりで、今もそうなってしまっている。 文字とは、絵本や小説が好きだったのではない。 ゲームの説明書をよく読んでいた。 家にはゲームの説明書が多く…
長期滞在者
Maysa Tomikawaさんの文章を読んで、以前から気になっていた津村記久子の『浮遊霊ブラジル』を読んだ。72歳のおじいさんが楽しみにしていたアイルランド・アラン諸島への旅行を前に急逝し、その未練から浮遊霊となって、いろんな人の体を乗り移りながらアラン諸島を目指す表題作のほか、全部で7つの作品が収録された短編集だ。 Maysaさんはこの中の4つめ、「地獄」という短編を取り上げている。突然のバス…
当番ノート 第32期
この記事が掲載される頃には、私はもうブルターニュの田舎へ行っている予定なのだけど、この記事を書いている今、私は日本にいる。 一年ぶりの日本。実家のある街まで帰ってきたのは、実に二年ぶりのこと。二年も家へ帰らなかったことは初めてではないか。最近ではYouTubeのおかげで、日本のテレビ番組が少し遅れて、しかし次の日には観れるということを覚えて、たまに観たりして、『ふむふむ、日本は今こういう感じなのだ…
当番ノート 第32期
「いつまで音楽続けるの?」「どうなりたいの?」 要は将来のビジョンとか目標とかを問いたいのだろう。それでも、どう答える事を求めているのか迷う事が多い。ちょっと長く深くなりすぎない程度に、答えになるかどうか分からないけど気持ちを紐解いてみる。 ある時、知り合いがライブを見に来てくれた時に私に言った。「ちょっとひどい言い方かもしれないけど、自分はミズハちゃんの歌を聞きに行ってるんじゃない。音楽に対する…
当番ノート 第32期
「樋口さんは最初とっつきにくい人だと思いました。」 会社の女性スタッフに最近言われた言葉です。 僕は多くの方にとってとっつきやすいタイプ(自称)だと思います。 そんな僕がなぜそんな事を言われなきゃならないのか。 それは僕のせいなのです。 わざと話しかけたり目を合わせないようにしているのです。 なぜそんな事をするのか・・・ それは、僕がセクハラと思われるのを恐れている臆病者だからなのです。 スズメの…
長期滞在者
今月の藝術草子は、東京とパリ、それぞれの場所で出会った、人と人とをつなぐ場所について. 髪は女の命、と昔から言うけれど、幼いころから黒髪ストレートロングヘアで過ごしてきた私にとって、髪の毛は自分のアイデンティティーそのものだ. フランス育ちの私は、小さいころから輝くようなブロンド、甘やかな栗色、知的なブリュネットに囲まれていた.そんな中、私の漆黒の髪は彼らに珍しく映ったようだ. 「つやつやで綺麗ね…
長期滞在者
エキセントリックが普遍を射る瞬間、ということを考える。 中心を射ることが出来るのは外周に位置する者だけである。 変人と揶揄されるカナダのピアニストが弾いた「奇矯な」バッハが、古色蒼然に思われていたその楽譜に新たな命を吹き込み、音楽というものの根底を揺さぶるような力を掘り起こした。その力はバッハの譜面の中にすでに描かれていたのだけれど、「中心」にいる人達にはその力がもう見えてなかったのだった。 もち…
当番ノート 第32期
「きたー!」「着いたね!」 想像以上に登りごたえのある道を登り終えて、 私たちは衣張山の山頂にたどり着いた。 山頂からは、海と山に囲まれた鎌倉の街が見渡せて、 歴史の授業で鎌倉は攻められにくく守りやすい地形だと習ったことを思い出す。 山には深い緑色の木々がこんもりと広がっている。 海と空は淡い群青色で、どちらも似た色をしているから、境界線が曖昧だ。 空には白い雲がふんわりとたちこめていて、雲の切れ…
当番ノート 第32期
大学2年生の夏休み。 神戸から東京へ走って帰ろうとした。 そこに比喩とかはなくて、走って帰ろうとした。 荷物はハードカバーの本が入らないくらいの小さなリュック一つ。 中身は、スマホの充電器と 何万円かチャージしたSuica、財布 それと、Tシャツとランニング用パンツ ほとんどノープランで、 なんとかなるかなあと思っていた。 結論から言うと、そんな甘いことはなかった。 神戸から三重県伊賀市で諦めた。…