当番ノート 第30期
初めまして、HALと申します。2ヶ月間、全八回に渡りこちらのアパートメントにて住居を構えることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。現在私はポーランドのポズナンという街にある芸術大学でグラフィックデザインやアニメーションを勉強しております。ポズナンへは去年の9月に来ました。それ以来、毎日のようにこの異国の地で新しい発見をしながら色々な経験を積み重ねております。 長い間、いつかヨーロッパに留…
当番ノート 第30期
「何をしている人ですか?」 「はい。つなぐひとです。」 「何をですか?」 「全部です。」 「は?」 そう、私はつなぐひと。 そう決めて、気づけば4年目。 25歳の時、やっぱり会社員というのが性に合わないなと。 それまでにお世話になった会社を数えてみたら、すでに15社。 場合によっては2社同時なんて当たり前どころか、ついでに大学院も行きましたが、 こんだけ行って、有名も無名も、大小様々行って、合いま…
はてなを浮かべる
よく分からないことについて考える なにかを ふしぎだなあと思うと 閉じた手の隙間からひょこと顔を出す よく分からないこと あの人の言ってることの意味が分からなかった なんで今自分がここにいるのか不思議に思う 昨日やったことは誰のためだったんだっけ 分かってた気がしたことも 簡単によく分からなくなったりする 何かを よく分かる ということはどういうことなんだろう よく分かる と言える人は どうしてそ…
当番ノート 第30期
* 器に初めてはっきりと憧れたのはたぶん、シルバニアファミリーの食器セットに触れたときだった。 あの小さくて、完成された可愛いものは大人だけに扱うことが許された品物の香りがして、そっと胸を熱くしたことを今でも思い出せる。可愛いけど本当のものは簡単に割れてしまいかねない。それでもいいから本物が欲しいなあ。 その時覚えた強烈なときめきは、今度はお母さんが自分の好みで集めたお客様用のカップ・アンド・ソー…
当番ノート 第30期
はじめまして。今日から2ヶ月間担当させていただきます。よろしくお願いいたします。 こちらでは「古典作品にみる鎌倉」というテーマでお送りしようと考えております。 古典というと、みなさん中学や高校で習ったことがあるかと思いますが、どこか親しみに欠けて遠慮してきたことが多いのではないでしょうか。そうした古典作品を、鎌倉の風土と関連づけていきながら、これからお話を進めていこうかと思います。 1回目のアパー…
長期滞在者
最近、思い出すということにハッとさせられることが多い。多分、本当は胸の奥にしまいこんでいたほうが楽なことばかりなんだけれど、思い出してしまったら、なんでこんな大事なことを忘れていたんだろうって、逆に不思議に思うことばかり。 人間は辛いことを忘れると聞いたことがある。心は自然とそういうメカニズムになっていて、精神のバランスをとるために、本当に辛いことは忘れるんだって。もしかしたら、そういう感じで忘れ…
当番ノート 第29期
///////////////////////////////////////////////// 2010年12月30日からの手紙 ///////////////////////////////////////////////// 新しく仕入れたレシピで、チーズケーキを作っている。 1人でお菓子を作る時間が好きだ。 きちんと積み重ねていけばおいしいものができあがることが、好もしい。 安心して作業…
当番ノート 第29期
モザイクみたいにこまくて、膨大な だけどひとつ、ひとつが、あわさって わたしの視界はできている。 モザイクみたいにこまかくて、膨大な そのひとつ、ひとつに、目をこらすたび わたしはわたしの行方を失った。 こどものころ、枕元に置いたたくさんの人形を ひとつ、ひとつ、毎日順番に、 かわるがわる抱いて眠らないといけないような気がしてた。 きっとそのころと何にも変わらない。 みんなしあわせだったらいいのに…
ギャラリー・カラバコ
ここはとあるアパートの一角にある、小さなギャラリー「カラバコ」。 白い壁に空っぽの額縁が無造作にならび、その下には題字だけが添えられています。 タイトルだけを頼りに、二人の作家が別々に文と絵を寄せ、2つが合わさった時に初めて作品が完成するのです。 01 桟橋 02 物差し 03 帯 04 時化 05 吃り 第6回は「影絵」 影絵をつくって遊ぶ戦時中の女の子のお話が、国語の教科書で取り扱われたとき、…
当番ノート 第29期
Twilight of the Utopia ヒーローであること、とは、なんなのだろうか。 ウルトラマンは神ではない。救えない命もある。仮面ライダーだって、スーパー戦隊だって同様だ。海の向こうに目を向けてみても、世界そのものを救済できる存在はほとんどいない。それは、(もし再臨するならば)ナザレの彼あたりの仕事だ。 それでも、ヒーローは何かを守る。 ヒーローは誰かのために戦う。 守るべき対象があって…
当番ノート 第29期
1日目。経由地のアメリカで別行動をして、あちらも自分の用事を済ませてきた夫と、オアハカの空港で落ち合う。 昼過ぎに、アパートに着いて荷解き。スーパーを探して歩き、パンだの、塩胡椒だの、洗濯石鹸だの、洗濯紐だのといった、当面の生活に必要になりそうな物を買い揃える。帰ってきて洗濯をすませる。 2日目。寝坊して、遅い昼食にと、アパートの1階にあるカフェで本日のお勧めを頼んだら、コオロギのオムレツが出てき…
当番ノート 第29期
ガチャ・・・・・パタン・・・。 静かに家を出て扉を閉める。 アパートの廊下にはまだ明かりがついている。 朝の5時半。 すーっと息を吸い込む。 まだ暗い早朝の空気が身体の中に入ってくる。 朝露の香りと水分の多い空気。 この空気が好きだ。 夜の間に、せっせと作られていたような新鮮な空気。 昨日の終わりと今日の始まり、このわずかな時間もとても好きだ。 パッと切り替わるわけではなく、昨日からの続きのまま徐…