当番ノート 第2期
「まっちゃんのにおいがすると落ち着くの」 と妻がいう。 「ならんで歩いていると、 風に乗ってまっちゃんのにおいが 流れてくるの。 春になってから、 においがつよくなったよ」 妻は、春が好きだという。 空気がぼんやりするから好きだという。 むかし会社勤めをしていた頃、 ちょうど今くらいの季節、 朝、いつものように家を出た妻は、 会社へ向かう途中で、 あまりに…
当番ノート 第2期
以前送ったメッセージカード。 役目を終えてからはリビングに飾ってあって ふと目にとまったのであらためて読み直してみた。 — 休むしかないという夜や 動くに動けないという雨や雪の日があって そういう時間をいい加減に過ごすことも たぶん「人間の時」のなかに 織り込まれていることなのだ — 水槽を置いて照明を付け替えトリップトラップの椅子があって 越したばかりの部屋の臭いや新調し…
管理人室の往復書簡
かおりさん 東京はもう桜が散る頃かな。 いわきは、今日現在つぼみの時期。ふくらんでいるし、桜って「限界!」ってとこまでがまんして、ぽんと咲くから、きっともう満開の時期は近い。 むかし聞いた話で、へえ知らなかった!て思ったのがね、桜はすべての樹がおなじDNAなんだよって話。 1本の樹からはじまって、その樹から枝を分けて全国に広がっていったんだって話。 DNAがおなじだから、おなじ場所にいる桜はおなじ…
当番ノート 第2期
春の匂いと温もりが次第に冬の寒さに耐えた身体をほぐしてくれる時節になってきましたね。 新しい出会いもあれば別れもあるそんな4月。 私、原田みのる(振付・舞踊家)は先日バッハで踊る舞台に参加させてもらいました。 舞踊に携わり、プロとしての活動を始めてもう16年になります。 そんな短い歴史ですがバッハも何度か踊った事があります。 ですが先日のお仕事は格段に求められている部分が別次元にあり大変勉強になり…
当番ノート 第2期
震災から1年経ちニュース等での報道が減ってきている。 もちろん自分自身もマスコミに関わっている事もあり、わかっていた事ではある。 しかしフリーランスとしてはこの1年後からが勝負であり、ここからがフリーの独壇場だとも思っている。 写真は昨年の10月21日に撮影した請戸小学校の教室に残された時計である。 ここは現在も警戒区域となっている福島県浪江町にある。 時計の針は津波が押し寄せてきた時間だと考えら…
当番ノート 第2期
小学生の頃の話だけど。 宿題で詩を書いて提出しなくちゃいけなくて、何にも思いつかなくて、 家にあった文章かなんかを適当にパクって書いたら、よくできましたで賞みたいのをとってしまって表彰された事がある。 あの時のやっちまった感は忘れない。 現在、そんな卑怯者の私はせっせと歌詞なんぞ書いております笑 書きたくて書いています。結構一生懸命やってます。 もちろんパクりなしです。すごいじゃん! こうやって…
当番ノート 第2期
3年前にやめた煙草を、3ヶ月前からまた吸いはじめた。 煙草を吸うことは好きだ。 煙草を吸うあいだ、僕は他のことをしない。 仕事をしながら吸ったりしない。 携帯を見ながら吸ったりしない。 ただ吸う。 できれば外で吸う。 たとえば家のベランダで吸う。 目のまえの風景をぼーっと眺める。 青空駐車場にならんだ車のフレームが光っている。 木々が枝を触れあわせてさらさらと揺れる。 風が…
当番ノート 第2期
4月だというのに台風のような雨と風。 今日の天気のように出会いやキッカケ、変化なんてモノはいつも突然にやってくる。 アパートの厨房と用務員室担当のりょうたクンから突然のコラムの執筆依頼。 面識もやり取りも少ない僕にりょうたクンが放った「勘。」というメッセージ。 参った。勘かぁ。大雑把で良い口説き文句じゃないか。 こんな風に言われれば断ることはできない。個人的に、は。 お願いされる事は嫌いではない性…
長期滞在者
去年の8月、思いがけないことが起きた。 パスポートを更新するために、五反田にある在日ブラジル総領事館に行った時のことです。もちろん、そこはまぎれもなく日本なのだけれど、総領事館への階段を一歩一歩踏み出して行くうちに、どうやらここは異国の雰囲気。わたしには、なじみの空気感、だけれども、ピンと張りつめるような緊張感に襲われる。急に喉が渇く。 階段という入国審査をこえると、開け放たれた入り口の扉の…
当番ノート 第1期
今日は暖かかった。 久しぶりに鴨川にいってたっぷり陽にあたってきた。 辺りいっぱいにサンバが鳴り響いている。いつも数人の若者たちが太鼓やら鈴やらを持ち寄ってはこうやって鴨川で打ち鳴らしているのだ。 春の鴨川に地球の裏側の音が鳴っている。 鴨川は鴨川と言うだけあって、本当に鳥が多い。 シラサギ、アオサギ、トンビ、ハト、オシドリ、スズメ、ホオジロ、カラス……数えだすとキリがないが、とにかく始終そこらを…
当番ノート 第1期
未だに別れというものにはまったく慣れない。 それがどんな環境であれ、どんな一年であれ、別れというものが年に二、三回はあるもので、いい加減に別れに対する所作をスマートにこなせる大人になりものだが、こんな時いつも僕はまったくもって頭も感情が追い付かないのだ。 だから結局今も何を書いていいものか考えあぐねているのが現状だ。 ここでコラムを書かせていただいたこの二か月間、回を重ねてコラムを書いていくほどに…
当番ノート 第1期
あの夏がなかったら、僕はダメなオトナになっていた。 あの「熱い」夏休みが、もし、なかったら。 人生の中での分岐点っていうのがあって、きっと誰にでもあって、 そう、ターニングポイントっていうやつ。 僕の場合、そのターニングポイントの最初で最大のものは小学校4年生の時に訪れた。 のび太みたいな子供だった。成績は中の下、リコーダーもドッヂボールもダメ。図工だってへたくそだった。 1年生からずーっとダメな…