当番ノート 第43期
こんにちは。そにっくなーす a.k.a.ひのはらみめいです。 今回は、わたしが生業として嗜んでいる詩の朗読をやる理由についてお話しようと思います。 実用的なこと、とまではいかなくてもちょっとした時に読んでへーってなってもらえる、そんな連載にしたいのですが堅い話ばかりでもあれなので、ここらでちょっとひとやすみといったところですね。 以前ポエトリースラムという大会の日本国内での予選に出た時に、ぼろくそ…
当番ノート 第43期
なぜ、ハンガリーへ留学してから6年目にして、ハンガリー語学学校へ通っているのか? 語学勉強を甘く見ていたのかもしれない。リスト音楽院に在籍していた4年間、何もしていなかったわけではない。リスト音楽院にはありがたいことに、日本人の先生が日本語でハンガリー語を教えてくれる90分のクラスが週に2回ある。私も用事が無い限り、その授業に積極的に参加した。とても分かりやすく、ハンガリー語の勉強の導入として最適…
当番ノート 第43期
10 愛、哄笑、落下傘 希望について語るとき、私たちは一つの宿命を受け入れる必要がある。ロマンと消費の相性の良さは私たちが人類であることに関係している。いまや、あらゆる運動は商品でしかなくなった。愛は消え失せ、広告だけが残った。20世紀が情報化と資本主義という革命によって無数の人々を生贄にしたことは既に述べたが、この話はもっと具体的に語られる必要がある。すなわち、この未曾有の革命の中で散った愛とは…
長期滞在者
先週、5日ほどUAEに出張していた。 海外に行くのは学生時代から好きだったが、物価が高く、ここでの一泊分はインドや東南アジアでの何泊分になるだろうと考えると、UAEはなかなか足が伸びない国であった。 今回は、企業進出支援を行う国の機関の主催のもと、現地市場の視察、現地政府・企業との商談、またそれだけでなく現地の文化に触れる観光施設の見学もコンテンツに含まれていた。 ドバイ、アブダビといった大都市圏…
長期滞在者
〈下図版:2018年11月、パリ・フォトにて「MASAHISA FUKASE」を掲げて〉 先週末、突然の訃報を受け取った。 それは月曜の朝だった。アムステルダムはここのところ春にだいぶ近づいた天候で、ぽかぽかと穏やかだ。さあ、新しい1週間が始まるぞとデスクに腰を掛けてメールアプリを起動させると、タイミング良く新しいメールを着信した。件名は「Xavier」。すぐさま中身を開くと、単刀直入の本文が知ら…
当番ノート 第43期
東大に入ってもう4年以上経つというのに、受験について回顧するのは気が引ける。気が引けるというかダサい。東大生が大学に入学して時間が経っているのに自分の受験期のことをツラツラ書くというのは、キャンパスで特段何も成し遂げられなかったがゆえに1月や2月の受験シーズンになると突然始める自分語り、というと言いすぎだろうか。でも今日はあえて受験のときのことについて書こうと思う。 いつだってそうな…
当番ノート 第43期
こんにちは。 そにっくなーす a.k.a.ひのはらみめいです。 前回の記事において、詩を書く時のことや中動態のことをお話できればいいなあと言っていましたが、 読書が追いついていません。笑。 國分功一郎「中動態の世界 意志と責任の考古学」は第16回小林秀雄賞を受賞した本でして、医学書院から「ケアをひらく」のシリーズの一つとして書籍で出ています。 隔月刊の雑誌「精神看護」の連載をもとに書籍化されたもの…
当番ノート 第43期
ハンガリーを代表する作曲家バルトーク。バルトークは1881年、旧ハンガリーのナジセントミクローシュで生まれた。彼は作曲家としてだけでなく、ピアニストとして、大学の教授として、そして民俗音楽家としても一流であった。そして日本では1886年、山田耕筰が東京に生を受けている。19世紀末、彼らは強いナショナリズムを背景に作曲家として育った。 バルトークはブダペスト王立音楽院(後のリスト音楽院)で西洋音…
ギャラリー・カラバコ
鍵を差す。 ぐっと押し込み、回す。 この鍵は普通と逆に回すように出来ている。 引き抜くと、ざらざらと内部の小さな門がひとつひとつ下りてゆくのがわかる。 「ラフカディオ・ハーン」 のことを教えて欲しいと外国人の友だちに頼まれたことがあった。 彼女は日本の幽霊について興味があったのに、アニミズムのことは解さなかった。 〈前回までの展示〉 『縫い目』 『つむじ』 『鏡』 『耳鳴り』 『植物園』 『刺繍』…
当番ノート 第43期
7 芸術、あるいは無。批評、あるいは死。 革命が「やっぱり無理だ」という時、人は何によって諦めるのだろう。20世紀の間、諦めの態度は批評によって表明されてきた。であるが故に批評的であることが一つの芸術たりえた。前回の連載に対する友人からの指摘「アリストテレスいわく『社会をつくることができない者か、完全に自足しているので社会を必要としない者は、野獣か神であって、都市国家の一員にはならない』」は、無と…
長期滞在者
藤田莉江との写真の二人展『Strangely beautiful』(ギャラリー・ライムライト/大阪)、おかげさまで盛況、たくさんの方にご来場いただきました。 ありがとうございます。 この奇妙なタイトルは、相方の藤田がちょっと理屈っぽい(笑)そして長いタイトルを考えてきたので、もうちょっとまとめられないか、と僕が無理やり最大公約数的な言葉に置き換えたのです。 藤田は「だからといって、そうとはかぎらな…
長期滞在者
新しいバンドに出会えた時はわくわくする。 メンバーはどんな音楽が好きなんだろう? この楽曲にはどんな思いを込めたのだろう? レコーディングの時にはどんなことがあったのだろう? インタビューをしていて、音楽の話で盛り上がれることが1番楽しい。 それぞれの音楽への思いが交差した時に高まる気持ち。 その時に、彼らから溢れ出す言葉を、私は一人でも多くの人に届けたい。 ミュージシャンとのコミュニケーションで…