最後の肖像画はここに載せない。彼女とそう約束している。
Photo by Kazuki Hiro
4月、展示会場に来た人達だけが、最後の肖像画が誰のものなのか知ることになる。一つヒントを書くと、きっとみんな彼女の歌を知っている。この肖像画の制作中に参列した友人の結婚式でも、彼女の曲は演奏された。「今この声の人を描いているんだな」などと、一人密かに感慨を噛み締めるなどしていた。
最後のモデルの方の制作に入る前、まずはご本人がこの機会にどんな肖像画を残したいかを尋ねてみた。彼女は一枚の絵画を私に示した。パブロ・ピカソの『母性』だ。女性として生まれた人生の、刹那の幸せ。
授乳という極めて生物的な題材は、精神的な繋がりを表す。母性の気高さを穏やかな表情で描かれた聖母子像は、世界の名画として数多く残されている。まさか私がこのような形で母子像を描くことになるとは予想もしていなかった。これこそ、対モデルによって生まれた新しいイマジネーションだ。
移り気の激しい私が、それでもこの人生を通して変わらないと断言出来ることは2つだ。
どんなに不安を感じても絵を描く職をやめないこと。普遍的な価値観に囲まれても、我が子を抱くことは無いということ。
子を持とうと思ったことが無い。憧れたことも悩んだことも無く、まるで先天的にその部分だけ全て引っこ抜かれたかのようにその感情を知らない。10代の頃には、20代になったら芽生えるだろうと思っていて、20代の頃は、30代に近付けば意識するだろうと思っていて、30代になったら価値観が変わるだろうと思っていた。けれど、私は変わらない。自らの人生を抱えることに必死だ。よって、この先も私が知ることの無い愛の形がある。それを描くということ。
極めて、幻想的な情景として。
もう一つ彼女からリクエストがあった。深い海の、沈没船の中での母子像を描いて欲しいとのことだった。授乳というテーマが新鮮な上に、加わった条件が凄まじく独創的。それが、きっと彼女らしさなのだろう。私一人の人生では決して生まれない作品となる。
2017年9月から始まったこの連載も、当記事にて最終回である。来月14日から、掲載してきた肖像画の展示が始まる。展示期間前は自動的に「誰とも話したくないモード」に突入してしまい、現在も絶賛浮世離れ中という感じだ。コラムを書くというのも漠然とした誰かに語りかけるようでスムーズにいかない。心の中があまりにも静かで、沈黙に耐えられない席で絞り出す声のようなタイピングで進めている。制作期間中と展示準備期間中がそのようならば、つまり私の日常のほとんどが「誰とも話したくない」心境で占められている。芸術家と孤独はいつの世もセットにされる概念だが、気付いたらそうなってしまうことを私自身が体現している。あらがうように、人との繋がりを確かめるところにも新しい創造が生まれる。
例えば、この企画のように。
https://www.youtube.com/watch?v=KkwpivA1bos
私以外の人生が絶えず営まれている。私が生きていても死んでいても、変わらず街は動いて、他者は幸せになったり不幸になったりしている。そんな当たり前のことを、例えば静寂に包まれた夜明け前に嚙みしめることがある。私の孤独は私のものでしかない。子も夫も持たない老婆になっても私はきっと、イーゼルの前で後悔はない。
そして、関わった人々をこのような形で作品に残した日々はきっと、私と社会を繋ぐ架け橋の一つになる。
儚い人生に、画家という道を選んだ。その結果で出会えた人々への感謝として、言葉では語り得ない肖像画を贈ろう。
Photo by Kazuki Hiro
Painter: Maika Kobayashi
Material: Acrylic color
Photographer: Kazuki Hiro
Corporation: PAKUTASO
Flyer design:Tsubasa Motohashi
『画家と7人の肖像』 展覧会
『画家と7人の肖像』
Maika Kobayashi × カズキヒロ
http://www.haioi.com/seven-icons
4月14日(土) – 4月29日(日)
11:00〜20:00
BASEMENT GINZA
http://basementginza.jp/
▶︎4月28日(土) Open 19:00 クロージングパーティー申し込み
http://pegasuspuare.com/?pid=129409176
会場BGM制作:MoNo語りレーベル
http://monogatarilabel.com/trackmix
動画内音楽:KEI – Arcana
——————————————————————
Maika Kobayashi http://maika-k.com
カズキヒロ http://www.haioi.com
【クロージングパーティー】
※完全予約制。http://pegasuspuare.com/?pid=129409176
——————————————————————
スマートフォンケース
iPhoneシリーズ、Xperia・Galaxy・AQUOSシリーズも引き続き取り揃えております。
ミラー付きケース
ミラーだけじゃない、ICカードやSIMカードも収納可能
SuicaやPASMOなどの交通ICカードや、電子マネーカードをピッタリ収納可能。 自動改札や買い物もスマートにできます。電磁波干渉防止シートも付いているので、自動改札でのエラーを防ぐ優れもの。 おまけにSIMカード入れも、ケース裏面についているので、SIMフリーのiPhoneをお持ちの方は、ちょっとした海外旅行にも便利です。ミラーは特殊ポリカーボネート製を使用しています。【対応機種】iPhone7・iPhone6/6s・iPhoneSE/5/5s
スマーフォトンケースは以下の機種に対応しています。
お求めの方はこちら
IQOSケース
iQOS(アイコス)は革新のたばこヒートテクノロジーにより大ヒットしている紙巻きたばこの代替え品です。 こちらはそんなアイコスをオシャレに演出するアイコスケース(カバー)となります。※IQOS2.4 Plusにも対応しています。転写プリントの技術により擦れや熱に強く、出し入れの多いハードな場面でも色落ちしにくくなっています。プリントについても正面しかプリントしていない製品も多い中、側面プリント技術によって、側面までプリントを施すことによりアイテムの一体感がより増しています。ヘビーにアイコスを使用する方にありがちな本体のプッシュボタンが故障してしまうのを、 保護してくれるプッシュアシスト機能を搭載しています。側面のインジケータはスリットがあるため電池残量も確認していただけます。充電もケースをしたまま可能です。※アシスト機能で完全に故障を防ぐわけではございません。
■対応機種
IQOS(アイコス)/ IQOS2.4Plus(アイコス2)
パスポートケース
チケットホルダーなど機能性にも配慮
パスポートの収納だけではモノ足りないのでチケットホルダー、カードホルダー(2枚)、ペンホルダー、ストラップホール(上下)が付いています。またスナップにより閉じた状態がキープできるよう工夫しています。サイズ:縦150 × 横210mm 材質:PUレザー インクジェット印刷・UVインク加工
もう一つ彼女からリクエストがあった。深い海の、沈没船の中での母子像を描いて欲しいとのことだった。授乳というテーマが新鮮な上に、加わった条件が独創的。それがきっと彼女らしさなのだろう。私一人の人生では、決して生まれない作品。