そこにいたと気づいた時

メニハ ミエヌトモ

そう言えば、それは幼い頃から始まっていた。

確実に存在しながらも見えないものに常に興味を抱いていたと言っても過言ではない。
身近な所で言えば、風であったり音であったり。

風の姿は目には見えないけれど確実に存在する。

風は木々を揺らし、花を揺らし、これまた目には見えないけれど
確実に私に言葉にならない「何か」を囁き続けてくれていた。

子供の頃から本当に素敵だと思っていた。

音だってそうだ。

音の存在は確実にあって、でも見えない。

それなのにどうしてこんなに心に響いて身体がリズムととってしまうのだろう。

大きくなるにつれ、風の存在は低気圧と高気圧が関係するだの、音は空気中を震わせるなど、
分かったような良く分からないような説明を目の当たりにしたとき、正直がっかりしたのを覚えている。

確かにそうかもしれない。

いや、そうなのだろう。

けれど、私の知っている風や音はもっともっと大きな何かを抱いていて、
いつだって私の側にいてくれて、私を心地よくしてくれ、
心地よく囁いてくれたりする存在なのだ。

未だに私にとって風や音はそんな大切な存在だ。

「目には見えないけれど確実の存在する」ものは沢山あるけれど、
子供の頃は「おまじない」や「占い」からはじまり、大人になってからは植物や香りの世界に没頭した。

植物や香りの世界には、それこそ目に見えない色んな「効果」があって
ただの雑草にしか見えなかった草が宝物に見えたし、
一つの植物の香りがどうして人間に色んな作用を及ぼすのか不思議で面白くて仕方がなかった。

それは今も続いている。

そして今一番没頭しているのは食の世界、特に発酵の世界。

私からすれば、発酵の世界は「魔法」的要素を含み、まさに「錬金術」、
更に言うなればこの世の「法則」を教えてくれる存在、と言っても過言ではない。

そこには目には見えないけれど「菌」の存在があり、「菌」の世界がある。

ミクロの世界とマクロの世界、それは菌の世界と人間の世界。

菌の世界には法則があるように思う。

そしてその法則は人間の世界にも当てはまるように思えて仕方がないのだ。

発酵を通して菌の世界を覗き、人間の世界や自分の世界に当てはめた時、
私は深い納得と腑に落ちる「何か」を感じた。

その「何か」を上手く語る事が出来るかどうか正直不安もあるけれど、
せっかく頂いたチャンス、これから何回かに分けて発酵の世界を
私なりの考えを交えて表現できたらいいなと思う。

ようこそ、発酵の世界へ。