私と私。

第36期(2017年12月-2018年1月)

皆さん、はじめまして、杣Booksこと細井と申します。
長野県の上田市で林業をしていて、たまに山の上で本屋さんをやっています。
今日から2ヶ月、水曜日にこちらで連載させて頂くことになりました。
どうぞ宜しくお願い致します。

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(↑極めてわかりやすい林業の風景)

…と3行書くやいなや、英語で言うとas soon as possible.
とにかく、3行書くやいなや、空々しさに襲われている私。
自分で書いておきながら、何という文才の貧困であろうか。

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(上:本屋の風景1 下:本屋の風景2)

連載にあたり、参考にと思い現在連載されている方々の文章を読んでみた。
郷に入っては郷に従えの精神。
何というか、こう、皆さん、しっとり詩情溢るる感じ?と言おうか、
読んだ人の日常がスッと晴れやかになる。
もしくは新たな知的欲求の地平をひらいてくれる。
そのような文章たちだと私には感ぜられた。か、書けないかもしれん。
ここに至って「まずい事になった。」と思った。
書けばどうにかなるの精神で書き出した所、
私の脳内から出てきたのが、冒頭のザ・テンプレートな文でありました。

進退極まれり、万事休す。
もはや詩情とか日常がスッとするとか、地平がどーのとか、言ってられねー。
この状況をどうにかせねばならぬ。
どうにかせねばならぬ、どうにか…
こんな事なら参考までに他人の連載なんて読むんじゃなかった。
ここではたと気付いた。郷に入るが郷に従わなければいいのだ、と。

天上天下唯我独尊の私。
ありのままの私。
世界に一つだけの花な私。
ナンバーワンじゃなくてオンリーワンな私。
かけがえのない私。
代替不可能な私。
(書き並べるとわかる、気持ち悪い言葉の連なり)

そんな私の文章を綴ればいいのだ。それでいいのだ。
レットイットビー。後は野となれ山となれ。

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(↑参考図書、狂うといいよとすすめている)

「アパートメント恐るるに足らず、アパートメントなにするものぞ」と起死回生した私。
しかし、更にはたと気付いた。
「あ、またやってしまった」と。

何がまたなのか?
郷に従えない、空気を読めない。
そして気づけば、自主的村八分。日陰街道まっしぐら。
思えば、私の人生は常に世間との軋轢と摩擦の連続でありました。
普通なら摩擦の度に研磨され、ツルツルなめらかになりそうなものである。

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(↑チェーンソーの刃用のヤスリ)

私なるテクスチャーは目の粗い紙ヤスリかなんからしく、ひっかかること甚だしい。
そして、そのヤスリはいつも新品同様でへたる事を知らないようだ。
ほとほと嫌になる。

しかし、そんな「私」を、私は受け入れなければならない。
何故なら何人たりと、その人なりの「私」から逃れられないのだから。
個性と言うものを善きものと世間はやたらと吹聴してくるが、
私に言わせれば個性とは呪いである。
摩擦が少なければ、なめらかに生きていけるはずだから。

そんなような訳で当連載は、私と何かとの摩擦の話を綴って行こうかと思います。
更に当連載においては
日常がスッと晴れやかになったりせず、
知的欲求の新な地平が広がったりせず、
ましてや詩情などは微塵もない事をこの記念すべき連載第一回目に高らかに宣言し、
今回の筆を置きたいと思います。
それでは、ご精読ありがとうございました。