ある手紙(2018.7.1)

第39期(2018年6月-7月)

ハロー。

今はもう夜中の2時。部屋の明かりを落として、小さな音でFMをかけながらこの手紙を書いています。僕の住んでいるところは夜がふけるにつれて周りの音がしんとして、こうして夜中まで起きていると、僕とこのラジオのパーソナリティだけが存在しているような、そんな気持ちになる。近くに大きな川があり、緑に囲まれた渓谷もあって、自然に囲まれている。とても満足しているよ。君の住むところもとてもいいところだよね。「都市にしか住めない」と言っていたけど、程よい人の気配と騒音があって。また遊びに行きたいな。

さっき君を訪ねた時に撮った写真を見つけてさ。ふと、元気にしているかなと。近況を伝えたいと思ったんだ。

少し前に僕は仕事を変えて、今は別の会社で働いているよ。仕事を変えたばかりの頃は仕事の内容や新しい環境に慣れなくて、正直、毎日辛い思いで過ごしてた(いつ辞めようかとばかり考えていた)。それでも1年近く経って、ようやく落ち着いてきて。それまでは寝るときも、休みの日も、いつも頭の上が曇り空みたいで、一向に晴れてくれなかったけど..こうやって落ち着いてくるにつれて、また音楽を作ったり、写真を撮ったりするようになってきたよ。そっちはどうかな、まだ写真を撮ってるかな。君の撮るポートレート写真は、撮る側と撮られる側の間でしか生まれない、濃密な距離感があって好きだったから。やっぱり、何かモノやコト作るのは楽しいね。0から1を生み出した先に、それ以上のものがある。

あと、最近は生活の中にあることを大切に、楽しみにするようになってるよ。これまでは新しいものの刺激にとても飢えていたけど、今はそれよりも変わらない毎日が好きになってね。

例えば、食事。

これまでは外食が多かったけど、家で食べることが増えたね。特にはまっているのはパンをグリルで焼くこと。これまでは電子レンジに付いているトーストボタンを押して作ってたけど、パンをグリルで焼くと、焦げ加減を自分で調整できるし、表面はカリカリにし、中はフワフワしたまま焼けるんだ。これがとても美味しい。それに、ジャムも自分も作るようになったよ。イチゴ、キウイ、リンゴ、アプリコット..アプリコットが一番美味しかったな。大きなホーロー鍋に大量のアプリコットを入れて、次にきび砂糖を入れる。そうするとアプリコットときび砂糖が溶け合っていく。その溶け合い方がとても良いんだ。そして火をかけてじっくり煮込む。甘い匂いが台所に広がっていい気分になりながら、水気がなくなってトロッとしてきたら出来上がり。簡単だし、美味しいし、お薦めだよ。

あとは、音、生活の中の音。

住んでいる家が高台にあって、風がよく吹くんだ。だからその通り道を作るようにしてる。そうすると、微かに音がするんだ。シュルル、シュルルって。音に反応するようにカーテンが揺れる。その瞬間がとても居心地いい。部屋の中で聞く音楽もそうだね。特に平日の夜、寝る前は熱を冷ますように、静かな音楽を小さな音でかけてるよ。クラシックもいいし、ジャズもいい。歌は感情が揺れるからかけないようにしてるけど。君の家に行ったときはどんな音楽をかけていたかな。もうしばらく行っていないし、忘れてしまった。確かKITSUNEのコンピレーションが置いてあったことは覚えてる。それをかけてたかな。

最近の僕は、まぁ、こんな風にして過ごしているよ。
長々と書いてしまったね。

時計は4時を回って、少し明るくなってきました。ずっと張り詰めていた空気も、その緊張を緩めて、また新しい一日が始まろうとしてる。この手紙を受け取ったら、耳を澄ましてみて。心地よい音を見つけることができたら、少しいい気分になるかもしれない。

また遊びに行くね。
では、また。

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