フィンランドのクリスマス

第42期(2018年12月-2019年1月)

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最近朝家を出ると、外は暗い。夕方帰ってくると、外は暗い。11月から2月まで、殆どその繰り返し。私は暗いのはそんなに構わないが、本当に寒い日は、家を出たくない。家もオフィスも暖かいので、寒さを感じるのは外だけだが、バスを待っている約5分の間、居住するのに適さない太陽系外惑星に飛ばされたような気がする。

私はみんなムーミンのように冬眠すればいいと思うが、フィンランドは気温がたとえマイナス30度まで下がっても、子供が学校へ行くし、大人は普通に働く。真冬になっても、町は廻る。しかし、人間がこんな状況でずっと夏と同じエネルギーレベルを保つのはどう見ても無理なので、休憩する機会を与えるクリスマスがあるのは本当にありがたい。

フィンランドのクリスマスで一番重要な日は、24日のクリスマスイブだ。米国などと違って、サンタが来るのは夜中ではなく、24日の夕方である。サンタが子供たちと会って、プレゼントを直接渡すのだから、その一日だけサンタのバイトをする人がたくさんいる。12月の前半スーパーの入り口近くの掲示板に、サンタさんの報告がたくさん現れる。「タバコを踏まない、お酒を飲まない、頼もしいサンタです。ご連絡は040-124-24-24まで」。

多くの子供は、サンタに会う時に緊張する。私の従兄弟で、サンタが現れた瞬間でおしっこしてしまって、リビングから走って逃げた子もいた。でもほとんど子供はやはりプレゼントがどうしても欲しいので、ちょっと怖くても勇気を出して、サンタに近づいて行くのだ。

子供の時、クリスマスイブは本当にマジカルな日だった。サンタに会えてプレゼントをもらうのはもちろん嬉しかったが、それだけではなく、なんだかいつもと違う雰囲気だった。ワクワクするのと同時に、普段ないような平和を感じた。

大人になって、その気持ちは少し弱まってきたが、今でもクリスマスが好きだ。そして冬は好きではないが、皮肉なことにクリスマスはやはり冬ではないといけない。普段嫌いな雪と寒さは、クリスマス気分になるために欠かせないものだ。日本とアルゼンチンで過ごしたクリスマスは、それなりに楽しかったが、「クリスマスだ」と言う実感は全く湧いてこなかった。

特にアルゼンチンは、プラス30度だったので本当に変な気持ちだった。近所の人たちがレゲトンやラテン・ポップスを流して、みんな騒がしいパーティーを開いていた。正にフィンランドの正反対だった。フィンランドのクリスマスは、何と言っても静かだ。クリスマスディナーの後、雪に囲まれた薄暗い家でチョコレートを食べながら朝の3時まで本を読む。それが今の私にとってクリスマスだ。そしてそんな日があるからこそ、冬眠しなくても春まで何とか頑張れる。