ヒーローは1日にして成らず〜リハビリ以上筋トレ未満

第43期

こんにちは。
そにっくなーす a.k.a.ひのはらみめいです。

前回の記事において、詩を書く時のことや中動態のことをお話できればいいなあと言っていましたが、
読書が追いついていません。笑。
國分功一郎「中動態の世界 意志と責任の考古学」は第16回小林秀雄賞を受賞した本でして、医学書院から「ケアをひらく」のシリーズの一つとして書籍で出ています。
隔月刊の雑誌「精神看護」の連載をもとに書籍化されたものだそうで。精神看護は最近購読し始めたのでわたしは連載自体はほぼ知らなかったのですが。

https://www.amazon.co.jp/中動態の世界-意志と責任の考古学-シリーズ-ケアをひらく-國分功一郎/dp/4260031570

この「ケアをひらく」シリーズは医学モノ・医療モノっぽくてなかなか手に取りづらいようにみえるかもですが結構面白くて文芸寄りなものもあったりなどして、武井麻子「感情と看護」だったり浦河べてるの家「べてるの家の『非』援助論」なんかも、医療にかんでない人でも面白がれる内容なのではないかなと思ったりします。
なかでも、坂口恭平「坂口恭平躁鬱日記」は身に迫るうえ読み物としても面白いです。手に負えぬほどのハイテンションと動けないほどのローテンションを行ったり来たりする双極性障害という病に勝ったり負けたりしながらやりたいことをやっている姿、かっこいいと思います。

https://www.amazon.co.jp/坂口恭平-躁鬱日記-シリーズ-ケアをひらく-坂口/dp/4260019457

そんな坂口恭平さんですが、1日20枚原稿を書くと決めたところから鬱になりにくくなったそうです。調子良くなってきても、どんなにやる気がしなくても、20枚。しかも20枚って結構な量ですよね。
吉本ばななさんも、調子が悪い時の自分のパフォーマンスをいかに底上げできるかというのが重要、と書いておられました(ごめん、引用元を失念しました!読者の方で分かった人いたらそにっくなーすのTwitter @sweetsonicNs まで耳打ちしにきてください)。
双極性障害は気分だけでなく体の調子にも大きくムラがでて制御がなかなか困難なものなので、ひとつに決めてペースを守る、ということが非常に良い効果を発揮しているようです。
精神疾患で悩んでいる人でなくても、毎日やるルーチンがあるのは心の安定に役立ちます。
坂口さんは不特定多数の人を集めてその人にあった日課をみつけるお手伝いをする、日課学校を実施しているそうです。

読者の皆さんもルーチンにしていることがあるかもしれません。
毎日お花に水をやるとか、仕事に行く、散歩をする、朝起きてからのやることの順番を決めておく、右足から家を出る、などなど。

そういう習慣があるとないとでは安定度が違います。ルーチンなくだらっと日々が過ぎて行けば、実は人間は虚無に陥ったり考えなくてもいいことを考え始めたりして苦しんだり、自分のその日の調子だったり天気だったりに左右されて自由度が減ったりしがちです。
時には習慣が嫌になったりめんどうなこともあるでしょう。それでも、いやでもやらなきゃいけないことをやる、というのは、ある程度は大切なことであるようなのです。

毎日なんとなく続けられて、終わったらフーーッとため息つけるくらいの仕事(量と内容)が理想、と中井久夫先生は著書「世に棲む患者」に書いておられます。
要は、運動に例えるなら「リハビリ以上筋トレ未満」の作業、ということですね。
リハビリでは緩すぎるし、筋トレではきつすぎる。
その程よいところを見極めて自分にあった習慣や仕事を見つけるには、おそらくゆるめの筋トレくらいの考え方で探していくのがいいのではないかと思います。
もっとできそうだけどこのくらいにしておく、そういうものこそ毎日続けられるルーチンなのでしょう。
自分の体内にもいくつも時計をもつことで、虚無から抜け出すことができ心の健康を保てるのです。

fin