入居者名・記事名・タグで
検索できます。

2F/当番ノート

ヴァーチャルスナック・モモコー2000万貯めるため、私は銀座へ旅立ちますー

当番ノート 第45期

title_アートボード 1 のコピー

いらっしゃいませ。
ここはアパートメントの中にある小さなお店「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。
ありきたりのどこにでもあるようなお店。
期間限定でオープン中よ。
私は店長のミス・モモコ。また来てくれてうれしいわ〜
今日も雨だから客足が遠のいちゃうのよね〜
さっ、営業営業。

cover

・・・えっ?ママはなんの為にこの仕事をしてるかって?
そりゃあ決まってるじゃない。

「2000万貯めるためです」よ。

そういえば、一晩で2000万以上のお金が動く街があるわね。
そう。だれもが知ってる『銀座』ね。
今回は銀座についてフォーカスしていくわね。

「日本人の妻を娶り、中国人のコックを雇い、フランス人の愛人を囲い、イギリス人の執事を雇い、アメリカ人の家に住む」
というのが「男の幸せ」という言葉を耳にしたことはあるかしら?

日本だったら「新橋で働き、銀座で飲み、運転手を呼び、杉並の家に帰る」
ことが日本の男の幸せ・・・といったところかしら・・・?

でも・・・・女だったらどこで幸せを感じればいいかしら?
「丸の内で働いて、伊勢丹で買い物して、蒲田の家に帰る・・・?」
一生丸の内OLで気張っていっても生涯年収なんてたかが知れている。
って思った時に
じゃあ、丸の内は丸の内でも「夜の銀座」で一旗あげよう、と。
「私は王道では勝負しない。邪道でも我が道のあとに道ができる。」
そう信じて、転んでもタダでは起きないぞと、転んだ道で石を見つけ、石の上に石を積み、その石をキラキラと輝くダイヤにして、指輪にしてはめちゃう!

そういう「裏道でも夜道でも明かりを灯したら勝ち」になるのが銀座のママという職業だと思うの。

IMG_5680

今回は、「銀座の街・銀座のママ」ということについてちょこっとお話しするわね。

銀座、それは格式が高い街と言われてるけど、単純にシニアが多い街なのよ。
そしてきっちり24時には閉店。
六本木や新宿みたいにダラダラやらないのね。
そして銀座は

・コールしない
・無理に飲ませない
・混んだらサッと帰る

が基本三原則よ。
うるさい方、絡み酒の方はどうぞよそへ!
なんでこんなにもお上品にお酒を飲むかって?

それはここが

『銀座株式会社の応接室』

だからよ!

だから男性のTPOも大切なの。基本的に皆様スーツ着用が義務ね。
お仕事の接待でいらっしゃる方が多いのよ。
だからここは、うさを晴らしたいとか、やけ酒をするところじゃなくって、ビジネスの場なのよ。
そんなサロンとしての役割を果たす銀座の街だからこそ、安心安全、お仕事で次に繋がることも多いわね。
その出会いを提供している銀座株式会社の社長はママと呼ばれているのよ。
銀座株式会社だからこそ、飲み屋のママとは言え、きちんとお名刺交換するのがセオリーよ。
そこからお礼状をしたためたり、お中元とお歳暮をお送りしたり・・・銀座株式会社の社長も裏ではキチンとした努力をしているのよ。

ただ呑んだくれてあそんでいるわけじゃないのよ。

お休みの日はお客様にお付き合いして、ゴルフに行ったりお相撲に行ったり「外交」が欠かせないのも「対等」にお付き合いをして「長く」ご愛顧いただく為なのね。

「色恋」でお客様を引っ張れるのは一瞬だけど、それだと続かないじゃない。だからお歳暮やお中元、こちらからもお返しをして、また新しい枝葉のお客様を増やしていってビジネスとして飲みに来ていただける場所になること、それが成功の秘訣よ。
ま、結局OLが嫌でお商売はじめたのに、OL以上の仕事量になっちゃったけど。

ginza

ちなみに「銀座のパパ事件」ということも遭遇したわ。
彼女はミレイ(仮)26歳のまあー大人しそうだけど、ちょっと甘え癖のあるちょいブスの女の子だったわ。
ミレイは、銀座で働く理由として「パパ」を探しに来てたのね。そういう動きってわかるじゃない。
だってここは銀座株式会社だもの。
そこで怪しい動きをしていたのがわかったから、ミレイはクビになったのね。
ちょうど良いパパをゲットできて、パパも若い女をゲットできてウハウハしてたんじゃないのかしら?
ある日二人で仲良く腕を組んでご来店したのよ!
ママなんてそっちのけ、ボトルを飲ませて空にして、女房気取りのミレイはそこで一言、
「はい♡空になったからもうここのお店にくる理由はなくなったねぇ〜!」
そうして腕を組んでぐでんぐでんで二人で腕を組んで帰っていったわ。
ママはカンカンよ〜!
でも冷静に

「まっ!女も2ヶ月もこねくり回したら飽きるわよ!やり尽くしたゲーム一緒!」

って額に縦筋は入ってたけど笑顔で最後見送ってたわね〜
ママはシッカリしてるけど、パパがダメなのはどこの世界でも一緒ね!

IMG_5681

そういえば、銀座ルールで有名なのが「タクシー」
22時から深夜1時は流しのタクシーが拾えないのよ。
社長だろうがヒラだろうが、タクシー乗り場で拾う必要があるのよ。
ちなみに、女の子一人でタクシーを拾おうとしても、銀座で働く女の子は近隣に住んでいる可能性が高いから乗車拒否される可能性があるわよ。
このご時世にタクシーの乗車拒否!
まだ、普通にあるみたいね。
見かねた後ろに並んでいたおじさまが「俺たちが停めてあげるよ〜」って停めてくれたけど、本当差別がひどいのよ!

実はこの街で一番パワーを持っているのは、タクシーなんじゃない!?

あークサクサしちゃった♡
じゃあそろそろタクシーを拾える時間になってきたから、お開きにしましょっか。

IMG_5682

ちなみに好きなタイプは「高年齢・高血圧・高額保険金」この3つを兼ね備えている理想の方♡
どこかにいたら連絡してね!あ、お名刺お渡ししますわね〜!

はい❤️お会計お願いします
また来週お待ちしております〜!

モモ コダテ

モモ コダテ

1988年生まれ/新宿区在住
グラフィックデザイナー、ライター。
ゴールデン街のバーテン、様々な面白い人に出会う中でヒトの面白さに、独特の角度から切り込み、観察中。
2019年5月の文学フリマにジンを初出店。

Reviewed by
たかだ まなみ

【女が水を売る理由】
 
若さと美しさ、楽しい小噺を女性が売る。
その目的の多くは2つしかなく、
<貯金>か<借金返済>って、ちょっと悲しいが、息を吸うだけでも高くつく東京だもの。

    
「仕方ないわね」
 
 
それでも東京がいい、とスナックのママであるミス・モモコは言う。
「雨が続いて、おじさんたちは活性化してないみたい。
今夜はどうも暇になりそうね~」
そんな日もある。
ツマラナイ私の愚痴に話も途切れ途切れ。
間をもたせようと、グラスの氷を指で回し続ける。カラカラカラカラ……。
まだ鳴かない蝉みたい。
 
 
生活は綱渡りだが、生きることは一時停止できない。
明日のご飯のため、
老後の2000万のため、
今夜も氷をコツコツ割っている。

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る