長期滞在者
赤いポルシェに乗って奈良から大阪まで出勤していたことがある。 もう10年近く前の、大学を休学していた2012年頃の話。 友人の伝手で、とある会社の会長の付き人としてアルバイトをしていた。 毎朝、神戸の実家から奈良まで通い、元々は旅館だったという会長の住処に着くと、会長が飼っている鶏がその日産んだ卵を茹でて、曜日ごとに決まった朝食メニューを作り会長のテーブルに出す。 朝食メニューはレタスの枚数までき…
長期滞在者
20代でラジオDJとしてデビューしてから、いわゆるプロフィール写真というものを撮ってきている。オーディションやラジオのタイムテーブルなど仕事で使うための写真だが、基本的には、シャツなどを着用した正面から上半身だけを撮影した写真を多く使用している。 2021年10月に久しぶりにこのプロフィール写真を撮影したときに、最近、私がモノクロ写真の撮影をよくしていることを話すと、ヘアメイクさんからのアイディア…
長期滞在者
11月は職場(営業写真館)の大繁忙期である。一日中七五三の子供の撮影をしている。日によっては一日に5000回くらいシャッターを切ったりするので肉体疲労と眼精疲労が甚だしい。シャッター5000回といえば、昔のフィルム換算でいえばブローニー(中判)フィルム500本、35mmフィルムなら36枚撮り138本にあたる。フィルムの時代なら到底考えられないようなコマ数を消費している。もちろん多ショット化によって…
Do farmers in the dark
今回もただどうしようもない日記を書いてしまっています。ほんとにすみません。ではよろしくお願いします! 日記 ああ、何が重要か分からない。それについて詳しく説明すると、つまり全てが重要だし同時に全てがどうでも良いという悲惨な状態だ。だから年中、実に何の成果も上げてないが実に多忙だよ。 主にやっている事と言えば白米か雑穀米の味を噛み締める事、その後タバコの煙の味を噛み締める事だ。その2つはかけがえのな…
長期滞在者
私が私を生きていると実感できるのは、あのとき抱いた夢への原動力を活かして、行動ができているときだ。 2021年10月8日。FM802でラジオDJとしてデビューしてから24周年を迎えた。 その翌週にFM802の同期のDJ、浜平恭子と秀島史香と3人でzoomを使って集まった。3人の顔が揃った瞬間にあっという間に笑顔になった。ラジオDJが3人集まると、zoomでの会話もまるで番組のようで、お互いの近況、…
長期滞在者
先日、2回目のワクチンを打った。 私が住んでいる横浜市ではなかなかワクチン接種の予約が出来ず、予約ページまで辿り着くもののまったく空きを見つけることができないでいた。 そうした中、偶然Twitterで「楽天の職域接種の余り分を横浜市用に開放することになった」という投稿を目にし、翌々日の朝一にサイトのログイン画面にスタンバイをして、無事予約を取ることができた。そして、その4週間後に2回目を打った。 …
長期滞在者
<1> 新大阪の近くにある親類の家に、最近何度か通っている。あまり愉快な理由ではないので詳細は書かない。少々気の滅入る話なのである。気の滅入るその要件を解決すべく、夜の神崎川の東岸の工業道路を自転車で走る。夜でも大型の車両がごんごん走る脇を、こちらも機嫌が悪いもんだからごんごんと自転車を漕ぐ。夜道なので自分の存在をアピールすべく、背負うカバンにも自転車のサドルの下にもデカデカとリフレクターをぶら下…
お直しカフェ
近所で馴染みの喫茶店のシャッターがずっと開かないでいる。心配だ。はじめは4月に「緊急事態宣言につき休みます」の貼り紙がしてあったのだが、宣言の延長と共に「休業延長します」の紙に代わり、約束の日が過ぎても紙がなくなっただけで店は閉じている。 今日は、名物の「イタリアン焼きそば」とアイスコーヒーでお昼ご飯にしようと思って出かけてきたが、やっぱりまだやってなくて、斜め向かいのマクドナルドで「てりやきマッ…
長期滞在者
友人からお勧めされた本をここ2週間ほど少しずつ読んでいる。 いまから20年ほど前のSNSがまだ発達していない時代に、ブログで日々の心情を書き綴っていた方の文章。 ブログや日記は1日ずつ読むには興味深いが、それが1冊の本となったとき、統一感と重みが消え失せて、わざわざ本で読まなくてもええかという気分になったことがこれまで何度かあったので少し抵抗があったのだが、友人を信じて読み始めた。 結末は先に耳に…
長期滞在者
オンラインでの仕事は増えていたが、シンポジウムの司会をオンラインで担当するのは初めてだった。 2021年8月22日。オンラインで開催された日本航航医学会学術集会での「コロナ禍でも留学・国際交流をあきらめない!」と題したシンポジウムで司会を務めた。 COVID-19の影響で海外への渡航が難しい現在において、留学や国際交流をどのように継続していくか、未来へ向けてどう向き合っていくか。大学の現状、日本語…
長期滞在者
ここ、アパートメントで文章を書き始めてから8年半。当番ノート(第7期)時代から数えて、数え間違いでなければ、今回が100回目の文章になります(古林希望さんとのコラボ企画「ギャラリー・カラバコ」の20回を除く)。どれくらいの人が読んでくれているのかもわからないのですが、管理人チームからも別にやめろとも言われないので、図々しくも居座っています。すみませんね。 すみませんね、なんて殊勝なふりして、一つだ…
長期滞在者
日記を書こうと思ったとき、そこにはひっそりと死の予感があった。20代後半のある時期だった。私は周囲と同じように年を重ねていけないと思っていた。検査してもどこも悪いところはないのに、体が言うことを聞かず、唐突に寝込むことがしばしばあった。どうして、とひとり悩んでいた。 無人島に漂着した人間が生き延びた日数を石に削るような思いで、自分はこんなふうに過ごしたのだと書いていた。そのうち、一日を過ごせること…