Mais ou Menos #3 −裏でも表でもないわたしたちの往復書簡−

Mais ou Menos

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2015.1.14(水)

まちゃんへ

 明けました。まちゃんの家族が無事にブラジルに帰ることができて、ほっとしています。でもそれと同時に、ここにいっしょにいてくれるまちゃんを見て、少し不安な気持ちになることが、今まではありました。なんで不安になるかというと、自分なんかといっしょにいていいんだろうか、という思いがあったからです。でも、今は、そんなことも思わなくなりました。2人が自由に生きられるようになったのかな。自分のそのままの姿でいっしょにいるときは過ごせるから、いっしょにいるのだろうと思います。

 昨年のクリスマスの頃に『素晴らしき哉、人生!』という映画を見ました。フランク・キャプラ監督の1964年の映画です。この映画は、クリスマスの日に橋の上から身投げをして死のうとしている男を、空から見ていた天使が、この男は悪いことをしていないので、助けろ、ということで、2級の天使(翼がない)を使いに寄こすという話。2級天使のクレランスは主人公のジョージにジョージがこの世に存在しなかった世界を見せる。
 自分が存在しなかった世界を見たジョージは、その世界のあまりのひどさに、もう死にたいなんて言わないから、もとの世界に戻してくれ、とクレランスに頼む。すると、またもとの世界にジョージは帰ってこれていた。そして、ジョージが死のうとまで考えていたある事件は、思わぬ展開で解決する。

 文章でだけ書くと、ふーん、という感じかもしれないけれど、私はこの映画を見終わって号泣しました。映画を見てこんな久々にものすごく泣きました。なぜ、泣けたかというと、ジョージのように自分のことよりも他人のことを優先してあげたり、だれかのために自分を犠牲にしてでもやってあげて、自分はつつましく、でも幸せに家族と暮らしていて、そんなジョージが最後、すごく大変な目に遭うんやけど、でも、ジョージの人柄のおかげで助けられる、救われるっていう、その結末に、ちゃんと生きていたら、良いことがあるんやなあと感動したからです。

 そうやねん、生きてたら良いことがあるんです。この映画はそんなふうに私の背中を押してくれました。これからも大変なことなんていっぱいあるやろうけど、生きてたら良いことがあるねん。というか、今、まちゃんとこうして文章の交換ができること、生活ができること、全部良いことや。
今年もぼちぼち生きましょう。

P
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Pちゃん

そうね。わたしの家族が無事にブラジルについたこと、Pちゃんも喜んでくれているのが嬉しいです。たまにfacebookでパパが写真をUPしているのを見ると、心底ほっとしています。

『素晴らしき哉、人生!』、わたしが仕事中に観たって言っていましたね。2人で久々に焼肉屋さんに行って、いろいろ映画の感想を聞かせてくれたよね。お肉食べつつ、2人でほろほろ泣きながら話したね。今思うとすごく楽しかった。また焼肉いこう。

先日、リチャード・ブローティガンの『愛のゆくえ』を読みました。普通とは少しちがう図書館が舞台なのだけれど、そこにでてくる主人公とヒロインのヴァイダ( Vidaと書く。ポルトガル語で命とか人生っていう意味)の間に子どもができるんだけれど、堕胎することにするの。内容はそれだけなんだけど、「ものの見かた」次第で、まったく違う世界が見えてくるってことを、すごく強く感じました。ヴァイダはものすごく美しい女性なのに、美しいが故に苦しんできた。美しいことに苦しみがあるって考えたこともなくて、目からうろこでした。(なんか文章が変ね)人からはつらくないように見えることも、本人からしたらとてつもなくつらいことなのかも。そう思うと迂闊にはジャッジできないなと思います。Pちゃんもぜひ読んでみて。本棚にしまっておくので。

2015,01,14
Maysa