当番ノート 第1期
マザーグースの歌にこういう歌がある。 おとこのこって なんでできてる? おとこのこって なんでできてる? かえるに かたつむりに こいぬのしっぽ そんなもんでできてるよ おんなのこって なんでできてる? おんなのこって なんでできてる? おさとうと スパイスと すてきななにもかも そんなもんでできてるよ (訳:谷川俊太郎) 考えすぎて思いがドウドウ巡りになってしまい、出口が分からなくなってしまった…
管理人室の往復書簡
かおりさん こちらもすっかり遅くなってしまってごめんね。 なんか、紙吹雪みたいな毎日です。ちりじりに広がっては落ちていく。 集めきれないものもあって、走って拾いに行くみたいな。で拾えないの!なにこれ!とか思ってる。 すべてが手に入るわけは、ないのにね。 フィルムで写真を撮ってみたいな。今度ね、ホルガを友だちに貸してもらうことになっていて、それがすごく楽しみだったりする。 カメラのことはよくわからな…
当番ノート 第1期
今日みたいな中途半端な季節は一年の間に何度か訪れる。 真冬は終わりに近づいているし、だけど春にはまだまだ遠い。 先週からシベリア上空から強烈な寒波が来ているらしく今年は雪の日が多い。 けれど、今日はパーフェクトに晴れている。 アパートメントの屋上からは青空に飛行機雲がストレートに伸びて行くのがよく見える。 さっきから紙飛行機の翼を調節しながら、リタとルチェがひなたぼっこをしている柵を超さないギリギ…
当番ノート 第1期
ボクには、数年前から憧れに憧れている人物がいる。 彼は世界的に有名な音楽家で、奏でる音楽は、荒々しくて、優しくて、とても素直で誠実だ。 歌詞やいろんな映像を見ながら思うのだけれど、 彼は、とてもシャイで不器用な人間なんだろうなと思う。 発する言葉はときに端的で、いろいろな誤解を生んでしまいそうで、 いろんな事柄に心を揺さぶられては、悪く言えばブレにブレているように見えるかもしれない。 でもきっと彼…
当番ノート 第1期
さて、こちらの洋館に入居させていただいてから早いもので一週間。 ぱたぱたと時間が流れてゆく。 料理屋の仕込みに追われ、いや全く持って追われてはいないのだがそういうことにすることにする。 まだ誰にもお会いしてないのだけれど、 右隣の杉山さんは玄関のドアが閉まるところをお見かけした。 お姿はまだ。残念。 お隣ということもあり、いろいろ、ニオイやうるさくないかとか諸々、気に留めている。 我が家は夫を筆頭…
当番ノート 第1期
偶然にもこのアパートメントへの入居と機を同じくして 僕自身も引越をすることになりました。 何のことはない、距離にして2.5kmくらいしか違わない 隣の駅に越すだけなんですけどね。 昭和の匂いが満載のレトロマンション。 夕方に家の内覧に行った時、遊歩道を通る風の感じや 最上階の窓から見える夕日がとてもきれいだったのを見て 「ああ、これはビールがうまいわ。絶対。」で、決めました。 僕も含め、田舎から出…
当番ノート 第1期
目覚ましいテクノロジーの進歩はいつしか我々をも進化させうるだろうか? 僕の幼い頃は携帯電話なんてなかった。 パソコンも一家に一台普及していなかったし、CDよりもカセットテープが普及していた。 こんな事を書いていると途端に自分が随分と年老いてしまったように感じる。 まだ若いがそれでも多少年を取った。 少なくとも人生を悲観しながらぼんやりお酒を飲めるぐらいには。 だがこの明け方の浦島太郎のような心持は…
当番ノート 第1期
目覚めてからなんだか落ち着かない。 部屋にいても落ち着かないので外に出る。本屋、レコード屋、スーパー、と歩いて昼になり、来たことのない喫茶店を見つけて入る。窓側の席に着くと朝からのそわそわが急に止まった。なんだ。この席に座りたくて落ち着かなかったのか、と自分のお尻を見る。 自分の居場所を求めてさまようお尻。 この小一時間、お尻に街を歩かされていたということだ。 たまたま電話があって落ち合った友人と…
管理人室の往復書簡
かおりさん こないだは「気持ち大盛り上がり」な日記を書いて若干こそばゆい、このごろです。 赤ワインはもとより、しらふでも夜に書くものってどうしてああも気持ちが露呈するような文章になるのだろうね。 もともと気持ちに従って書くことをするのだけれど、それでも久しぶりに「盛り上がったね私!」と言いたくなるような日記だった。 それも、私。ってことでこそばゆいまま、残しておいてあとで笑おうと思う。 ルーヴルの…
当番ノート 第1期
このアパートメントの名前は何だったっけ。 たぶん、名前なんてどうでも良かったし、実際名前は必要とされていない。 僕の中での「名前」の優先順位はいつだって低いのだ。 この古い洋館みたいなアパートメントに引越してから今日でちょうど一週間が経つ。 一階には管理人のショートカットのちょっと美人の踊り子が小鳥と暮らしている。 いい響きでしょ、ことりとくらすおどりこ。 踊り子さんはいつも肩にヒヨドリを乗せて庭…
当番ノート 第1期
ボクは今、家の荷物を段ボール箱に詰める作業の合間を見計らってこの文章を書いています。 もうすぐこの慣れ親しんだアパートの一室から引っ越して、新しい街で新しい生活を始めるのです。 ・・・っとあたかも田舎からはるばる上京するような口ぶりなのだけど、 実のところはというと会社のお引っ越しに合わせて近くに引っ越すというだけ。 こんな機会だからと、昔から住みたいと思っていた土地に物件を決め、 楽しみなことこ…
当番ノート 第1期
アパートメント兼ギャラリー。 青山通りを外国産の車で闊歩。 じぶんの店を構える。 この三つが二十歳になるまえに構想、否、妄想していたこと。 かおりさんとはるちゃんから入居のお誘いがある少し前に、ふと思い出したのである。 記憶の中から甦った貧乏学生時代の夢。 少年よ大志を抱け。 大志かどうかも定かではないけれど。 妄想でも空想でも絵空ごとでも、 思い描くことは真っこと大事なんだと、今さらながら。 安…