当番ノート 第4期
今年から東京以外の地方都市に直接出かけていって出張展示する「出張ルーニィ 写真へようこそ!」という企画を立上げまして、1月に岡山市に、5月に名古屋市へ出かけました。今東京には80を越える写真ギャラリーが存在し、とりわけぼくのいる新宿~四谷地区は25軒以上も集積する写真の町になっています。しかし、日頃から写真展巡りが楽しめる地域は東京の他には、大阪と京都くらいしかなく、その他の地域には、ほとんど存在…
当番ノート 第4期
最近、男は全員座って小便する方が世界が平和になるんじゃないかと思っている。 なんでかというと、男が従来のように立って小便する限り、便器前部分が常にこぼれた小便、ハネた小便で汚れるからだ。 女は知らないだろうけど、だいたいの公衆トイレの小便器には「殿方、一歩前進」的な貼り紙がしてあって、それでもまあ ほとんどの男は馬鹿なのでそんなお願いを聞き入れる事なく、自分の好きな位置(ラクな位置)から小便をする…
当番ノート 第4期
こんな時間に目があいた理由は、 初めは全然わからないんだけど、 首が汗でじっとりと濡れているのを確認したら、 ああ暑苦しくて目が覚めたんだとわかった。 ひとりきりの真夜中に Facebookのニュースフィードってとこには、 お盆休みで出かけるみんなの楽しそうな写真がアップされている。 私にはお盆なんて関係なくて、 夏休みなんて関係なくて、 明日の朝も、いつもより…
当番ノート 第4期
病院という場所で病人としてではなく、 看護する側としてそこで生活をする日々を体験した事があるでしょうか 私には過去、病院で実際に寝泊まりをし、 日中仕事の時間はそこから出勤していたという日々があった 自分が検診などでたまに病院へ行く分には あのエタノール臭や(たとえ光がたくさん入る病院であっても)なんとなく 薄暗く感じる空間、それから放射能注意と無機質に冷たく書かれた文字の扉などに 早くここから…
当番ノート 第4期
先日、マルセイユで公開中の映画を見に行った。 その作品の中である詩がでてきた。 「ことばなんか覚えるんじゃなかった」 この言葉がずっと頭の中をぐるぐるとまわっている。 フランスはマルセイユで踊れる事になって来仏した時はほとんどフランス語を知らなかった。 簡単なあいさつでさえ口にするときは緊張して声が震える。 単語も英語と違う。発音も違う。そんな中で私は孤独を感じた。 フランス人に笑って言われた。 …
当番ノート 第4期
「で、ケニーさん。さっきから歯ごたえがコリッコリッとしてるんですけれども、 これってホントにベーコンオムレツバーガーなんですか?そもそもバーガー無いじゃないですか!」 「健次郎や。食べる時に目をつむって食べる習慣はほめたもんじゃああるが、目を 閉じておいでよ。さあおいでおいで。鬼さん、こちら。手の鳴る方へ!!」 私は(私とは健次郎のコトです)静かに目を開ける。 確かこの島には謎の甘納豆が発見されて…
当番ノート 第4期
その月は心が渇いて仕方がなかった 霧雨が降る時が幾日かあり時折に上を向いて口を開けてみる 空気の中に滲んでいる私の心の中にはない潤いを それを胸に吸い込むと少しは きっと救われるのかも知れないと勝手をしてみたら なおさら渇いていって仕舞う 潤すものはどうやら水分のように滞留し漂い 上から下に或いはその逆に行ったり来りをするような不確定の先生の様でもあるが 決定的に必要とされる要素でもな…
当番ノート 第4期
ぼくの本籍地は東京都豊島区で、池袋駅から北へ少し進んだあたりらしい、ということは、自分の運転免許証で知っていました。ぼくの父親の実家は巣鴨・とげ抜き地蔵の近くで、池袋は隣の町ですから昔その辺に住んでいたのかもしれないのですが、その理由については祖父母も父親も亡くなってしまっていて、ついに聞けずじまいでした。本籍の場所なんか行った事がなくたって日常生活に全く支障はなく、だからこそ、40歳を前にするま…
当番ノート 第4期
昔、平民新聞を有料に出来ないだろうか、と妄想した事がある。 それは自分の日記は「金を出すに値する物である」と高らかに宣言する意味では全くなく、単に今も昔も生活が苦しいので、日記を読んでいる人からカンパしてもらえないだろうか、と思ったからだ。何年か前に書いたんだけど、ストリートミュージシャンや大道芸人が自分の前にひっくり返した帽子を置く事に近い。それをブログで出来ないだろうか、と。 僕の理想は平民新…
長期滞在者
人間には理解できないような不思議な生活史をもった生き物がたくさんいる。 ウナギはマリアナ海嶺の深い海で生まれたあと、ひらひらと葉っぱみたいな透明の体ではるばる日本(をはじめとする東南アジアの国々)まで、徐々に細いウナギの形に姿を変えながらやってくる。日本に着いたら川をさかのぼり、時には陸を移動して川から孤立した山中の沼にまで棲みついたりして5年〜10年。時期がくるとまた遥か遠いマリアナ海嶺へ、産卵…
当番ノート 第4期
いま私の頭の上には車が走っていて、 たくさんの人が歩いている 顔をあげれば 上の人達の足の臭いがしてくるようだよ。 丸ノ内線、銀座駅を降りて。 この空調の効いた地下道はどこまでも続いているような気もするし、 あっさり ぷっつりと終わりがくる気もする。 私は髪の毛をポニーテールにして、 格好悪いスーツを着て歩く。 仕事が決まらないことより何より、 こんな幸の薄い格好で歩き回っ…
当番ノート 第4期
書くことは怖い 言葉はそのもの一つにいちいち意味があってそれが人の意識を規定してしまうから。 どう書いても受け取め方は読み手の自由だと頭では わかっているつもりでも、それでも私には怖い でもこうして書いて、残す場所を与えていただいて わたしはまた書くことになった たとえば あの人が わたしのこのエントリーを読んで にこにこしながら私の言葉を好きだといってくれたとしても 次にわたしとまた会った…