去年から突然、花ばかり撮っている。
それも普遍的な、みちばたに咲いている花ばかり撮っている。
さくらが咲いた時期。
見かけると、もう取り憑かれたかのように車を停めてまで撮った。
今でこそ「きれいだな」なんてじいっと見つめ愛で、それから撮るようになったけれど、どうして、あのときあんなに必死だったのだろう。
花は、ぐるりと一周してまた咲くのに。
小さい頃、庭にうっそうと生えるしろつめ草を編んでよく王冠をつくった。
しろつめ草にはあぶらむしがついているから、茎をよく見て、ついていないものを探して。
大きくつくっては満足した。誰かにあげなくても、それだけでよかった。
しろつめ草の花びらを抜いて、蜜をちゅうと吸う。あの密やかな甘さ。
母は四葉のクローバーを見つけるのが上手く、よく押し葉にして本の栞にしたり、友だちにあげたりした。
今では私も、四葉を見つけるのが上手い。プロ級に上手いと思う。うつむけばそこに四葉。
花の好きなところは枯れるところ。
枯れるのだけれど、その実はこぼれて、やわらかく新芽を出してまた咲くところ。
だから、ドライフラワーにしなくてもいい。
花はまた咲いて、その蜜は変わらず甘いから。