入居者名・記事名・タグで
検索できます。

2F/当番ノート

2011年の話

当番ノート 第2期

2012年も4ヶ月経つ。
今更というか今だからこそ昨年の事を思い起こしてみようと思う。

写真を始めて今年で12年目。
毎年国内外を取材してまわるが、昨年ほど目まぐるしく取材した年はなかった。

2010年の年末から2011年1月中旬まで、5年ほど通っているタイ深南部へ。
帰国して2月にはエジプトの革命取材へ行き、帰国してすぐ東日本大震災が起きた。

昨年は自宅にいたのが3ヶ月にも満たなかったと思う。
そんな事はどうでもいいのだがもっとも重要だったのが福島へ通い、関わる事になった事である。
その後その事がきっかけで迷っていた自分の方向性を決める事になった。
今までも長い時間をかけてのストーリーもカバーしていたが、どうしてもニュースを追いかけてしまう自分がいた。
しかしニュースを追いかけながらも、心のどこかでは「新聞やワイヤー(通信社)と同じようなストーリーを追っていてもダメ」という気持ちもあったのだ。
それでも世界で何かが起これば毎回いても立ってもいられず現場へ向かうというパターンを繰り返してばかりいた。

そんな自分が福島をカバーし始めてから徐々に変わっていき、気持ちが変わるにつれて写真も変わってきたのだった。
もちろん今でも世界情勢を含む世界の動き自体は意識しているが、今後はニュースばかりに捕われず「私の視点で私に撮れるストーリーを撮る事」この事を意識して取材を重ねていこうと思っている。

方向性が決まれば後は進むだけ。
気付かせてくれた福島の方々に感謝したい。

今回の写真は2011年3月13日の早朝の気仙沼の写真である。
前日までの火災と朝もやが混じって、その煙が立ちこめていた。
誤解を恐れずに表現するとすれば、非常に幻想的で現実味のない風景だった。

コオリヤマ ソウイチロウ

コオリヤマ ソウイチロウ

1971年宮崎県生まれ ドキュメンタリー写真家
2001年から写真活動を開始 主に中東、東南アジアをカバーし、国内外の媒体で写真を発表している
写真集に「Vanishing Village」「戦争の後に来たもの」等
2006年第7回上野彦馬賞グランプリ受賞
2007年ナショナルジオグラフィック ヒューマンセクション1位
発表媒体
Aera、フライデー、週刊文春、週刊現代、アサヒカメラ、カメラマガジン、F5.6、クーリエジャポン、週刊朝日、ニューズウィークジャパン、海外ではAsia ink、Newsweek International等

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る