「ミモザ 」
鉛筆・紙 / 850mm×1800mm
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恍惚の色は、身体の表面、ほんの薄い範囲を短いサイクルで輝いては消えてしまう。
何とかそのままを記憶に留めたい。
繰り返し求める以外に方法はないのかな。
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ひどく居心地の悪い夢を見た。
食べ散らかした刺々しいパン屑を手のひらに押し付けるような。
半分濡れた床に靴下を脱がずに爪先立っているような。
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ピアノ弾きが落とした手袋を拾った朝の帰り道、
とうに去った持ち主を指差し求めるように道端に横たわる手袋を見かけ、
朝の通勤客でざわつく電車の中でおにぎりをついばむ女性を見た帰り道、
帰路に向かうサラリーマンに囲まれて満員電車の中おにぎりをむさぼる女性に会う。
立て続けに色々な人々との出会いが数多くあるが、どれも深く入りこむには至らない。
どれも少し「こうなったらいい」と邪まに期待しすぎているのがいけない気がする。
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ここのところの私は、寒がっているナメクジに家をあげなきゃってバタバタと小さい殻を次々渡しては、
「あ~、みんな小さいのね」ってナメクジに塩をかけて、
「じゃあ、ちっちゃくなってよ」って言ってる感じだったのかも知れない。
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疑うこと と 信じること が出来ないことは違う
自分を 偽ること と 騙すこと も。
前者は 滑稽 で後者は 哀れ だ。
どちらもいたく悲しいことにはかわらないのだけれど。
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いつも境目をゆらゆらしていたい。
ふっと消えたりすうっと現れたりしていたい。
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うん す む せう
(雲集・霧消)
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古林
希望