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004 耳鳴り

ギャラリー・カラバコ

中秋の名月の昨日、ギャラリーの鍵が届くのを私はなんとはなしに心待ちにしていた。
けれど、届いたのは今日。
満月が中秋の名月とは、限らないのだって。

満月のひかりは特別で、とおくでだれかが歌っているような音がする。

〈前回までの展示〉
『縫い目』
『つむじ』
『鏡』


「耳鳴り」

miminari-vert

絵: 古林希望

耳鳴り

文: カマウチヒデキ

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共通のタイトルだけを手がかりに2人の作家が絵と小説を別々に制作し、掛け合わせていく企画「ギャラリー・カラバコ」。
また来月のオープンをお楽しみに。

Exposition Past              :Exposition Upcoming
01 桟橋                  :Getting Ready….
02 物差し
03 帯
04 時化
05 吃り
06 影絵
07 隠者
08 ウミネコ
09 うぶすな
10 蟹
「ギャラリー・カラバコ」あとがき対談 2017

古林 希望

古林 希望

絵描き

私が作品を制作するあたって 
もっとも意識しているのは「重なり」の作業です。

鉛筆で点を打ったモノクロの世界、意識と無意識の間で滲み 撥ね 広がっていく色彩の世界、破いて捲った和紙の穴が膨らみ交差する世界、上辺を金色の連なりが交差し 漂う それぞれテクスチャの違う世界が表からも裏からも幾重にも重なり、層となり、ひとつの作品を形作っています。

私たちはみんな同じひとつの人間という「もの」であるにすぎず、表面から見えるものはさほどの違いはありません。
「個」の存在に導くのは 私たちひとりひとりが経験してきた数え切れない「こと」を「あいだ」がつなぎ 内包し 重なりあうことで「個」の存在が導かれるのだと思います。

私の作品は一本の木のようなものです。
ただし木の幹の太さや 生い茂る緑 そこに集う鳥たちを見てほしいのではありません。その木の年輪を、木の内側の重なりを感じて欲しいのです。

カマウチヒデキ

カマウチヒデキ

写真を撮る人。200字小説を書く人。自転車が好きな人。

Reviewed by
朝弘 佳央理

今回改めて認識したのは、古林さんがただその画面のなかだけで語る絵描きではないということ。
立体的に、共感覚的にはたらきかけてくる。
一方カマウチさんも時間を超えて、感覚の垣根を超えてシャウトしてくるんだけど、ふたりはまるでスピーカーの左右からの音声みたいに、反対方向からやってくる。

能のあとに狂言を行うのは、能で今ならぬ世界にいざなったあとに、この世に戻れるためと聞いたことがある。
古林さんとカマウチさんの組み合わせは、まさにそういうところがある…
などと思いました。

面白い組み合わせのコラボレーションだなあ…と、今更ながら…というか毎回思っていることなんだけど、こうしてレビューを書きながらにやにやしてしまうのです。

また次の満月をお楽しみに。

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