ここで友人が体験した、小話を一つ。
老若男女問わず誰もが参加できる俳句大会でのこと、先生と呼ばれる方がその会場に集まった皆に、こんな質問をした。
「みなさん、俳句を作る時は何を飲みながら作りますか?」思い思い考えて、それぞれ答える。
俳句歴40年のおじさん「うーーん、コーヒーかなぁ。。」 俳句歴10年のご婦人「わたしは、紅茶かしら」
俳句歴60年のおじいさん「わしは、渋い日本茶だな。ふむふむ。」俳句歴3年の女子高校生「私は、コーラかなっ」
俳句歴1ヶ月の小学生「僕は、唾(つば)っ!」
・・・。(一同呆然)
「つば」って。。
(そこにいた誰もがうなったと、いいます)
狙って言ったのではないにしろ、この小学生の子は、ごくごく普通の事を言ったのだと思いますが、見方を変えれば、ここに素晴らしいセンスを感じるとともに、絶妙なまでの冗談をも、感じます。
「宿にこそ、冗談を」
これがホトリニテのコンセプトであり、目指すべきところです。
先ほどの話ではありませんが、ごくごく当たり前だったことを、絶妙なまでの冗談で「宿」をあらわせられたら、いいな と思っています。冗談は、時として嫌味に変わるときもありますが、冗談が言い合える状況こそ豊かなものはないと思っています。ただ、それが対「お客さん」なのだから毎日、命がけ。
千変万化、宿に来てくださるお客さんも様々です。だから、そのお客さん、一人ひとりにあった「冗談」が必要なのだと毎日考えさせられていますが、かといって、何回も宿に来てくださるお客さんの顔が覚えられず、調子よく「うちの宿は、はじめてですよね?」と聞くと。「いや、3回目です」とかって言われた時は、本当にあせりました。そのお客さんは いい人だったので、今でも宿に来てくださっています。
お客さんから、いつも教えてもらえるのは「ものの見方」です。
いいも悪いも 変に決め付けるのではなく 違いが違いのまま 存在しうる そして「ものの見方が変わる」そんな冗談のような宿ができたら、嬉しい限りです。