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2F/当番ノート

タバコがやめられるかもしれない話

当番ノート 第12期

俺はギャンブルの類は一切やらないのだが、競馬が好きだ。
スポーツとして観戦している。
というかスポーツ全般だいたい好きで、ぶっちゃけると競馬と野球と相撲に関しては、ロック音楽よりもよっぽど詳しいと思う。
だいたい家に帰るとロック音楽をほぼ聴かない。
ずっとライブハウスにいるので、もうそれでお腹一杯になるのだ。
レッドツェッペリンとローリングストーンズをちゃんと聴いたことが無い。
そういうわけで今日は競馬の話。
10代の頃、ツインターボという競走馬がいた。
ツインターボは90年代でもっとも派手な逃げ馬であった。
この馬は決して強かったわけでは無い。
G1レースを勝つことは無かったし、重賞レースをときどき勝つのが精一杯の馬だった。
おまけに俺が競馬を好きになった中学2年生の頃には既にピークを過ぎており、
俺は日曜フジテレビスーパー競馬で惨敗したレースしか観たことが無い。
しかしこの馬はとにかくアホで魅力的だった。
何がアホだったかというと、
ツインターボはスタートからとにかくまず全速力で逃げるのである。
で、大逃げの結果、後半バテて大敗するのである。
逃げ馬が勝つための条件は、サイレンススズカのように圧倒的な能力の違いで逃げ勝つのを別として、
ただやみくもに全速力で逃げれば良いわけじゃなくて、
ペース配分に気をつけてうまいことスローペースに持ち込まなければ勝てないのだ。
ハイペースで逃げれば最後の直線で前の馬は潰れてゆき、
力をためていた後方の馬の餌食になってしまう。
しかしツインターボは違った。
勝つとか負けるとかどうでも良いように見えた。
校内マラソン大会で調子こいた一部のヤンキーが最初の一周だけ本気出すのに近いかもしれない。
だから、勝てなくなってからのツインターボには批判も少なからずあって、それはたしかにそうだとは思った。
でもほとんどのファンにとってのツインターボの存在意義というのは、
勝って欲しいということより、逃げて欲しいということだったのは間違いない。
それは俺もそうだった。
そんで、万に一つ、もしかしたら、ほんとにもしかしたら奇跡的に勝つ事がないかもしれないような気がしなくもない雰囲気が無いことも無い可能性の感じというか匂いを俺は愛していたのである。
結局さっきも言ったように、俺が競馬を観るようになってから、ツインターボが勝つ事は一度もなかった。
だからと言って残念だとは思っていない。
ツインターボが活躍していた頃から20年近く経ったが、未だにあんなアホな逃げ馬は観たことが無い。
別にもう出て来なくても良いんだけど。

ここまで書いておれはようやくタバコに火をつけるのであった。

ノダ フルタ

ノダ フルタ

ライヴハウス騒弦店長です。アドバルーンというバンドに参加しています。

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