入居者名・記事名・タグで
検索できます。

2F/当番ノート

第八回(最終回) À bientôt!

当番ノート 第18期

2012-12-28 18.46.04

皆さんこんにちは、バンドネオン奏者の早川純です。
いよいよ今回が最後の記事となります。
これで連載が終わるのかと思うと、〆切に追われる感覚から解放されて、
ホッとするような ちょっと寂しいような
…いや、実際はかなりホッとします(笑)

僕としては、この「アパートメント」連載を通して
これまでタンゴもバンドネオンも殆ど知らなかったような人達に
この機会に少しでもその実態を知ってもらえる事ができたなら、
或いはそこまでいかなくても、 

へー、そんな世界があったのね

程度に認識してもらえたなら嬉しいです。
そこから実際に音楽を聴いてくれる人が一人でも二人でも、
…百人でも千人でも増えてくれれば言うことはありません。

これまで音楽家として活動してきて、色々な形で色々な方と演奏してきました。
人のCDに参加させて頂くような機会も沢山あったワケですが、
自分が中心になってCDを制作したことはまだありませんでした。
ずーっと、自分の音楽を録音したいなーと思ってきたのですが、
今年は念願叶ってそんな機会を持てそうです。
新しい曲やアレンジを沢山書き下ろして、俺のバンドネオンは、音楽はこんな感じじゃー
というパンチの効いたヤツを出したいと思っているので、
連載が終わっても忘れないでいて下さい。。。いやほんと、切実に、忘れないで。。。
出来上がったらホームページで宣伝しますんで!
→ http://hayakawajun.com

音楽家って、「お仕事」としてはかなりキビシいです。
先ず儲からない。
一人暮らしするにも社会的な信用が無いから不動産屋も渋くなる。
そのくせ普通のマンションとかは練習も出来ないし住めない。
ボーナスも無い。定休日も無い。
仕事の無い日も、専ら練習してなきゃならんわけです。
超面倒くさがりを自認する僕が、なんでこんな職業を選んでしまったのかと
我ながら不思議に思いますが、
ごく稀に、信じられないような幸せな瞬間があります。

何十回も(何百回も?)演奏してる仲間と、ライブ中に感じた一体感。
世界一尊敬するバンドネオン奏者とデュオで演奏した時の、包み込まれるような安心感とピリピリした緊張感。

「信じられないような幸せな瞬間」なんて、正直、滅多に無いです。
それでも、そんな瞬間があるから、辞められないワケですな。
そんな「瞬間」の一つに
思い通りの音楽を自分のCDに収められた瞬間。
なんてものも加えてみたい。いや、加えてみせますとも。

いつかどこかで、コンサートを聴きに来て下さい。
音を通して、何かを感じて頂けたら
純粋に楽しいなーと思ってもらえたら本望です。

いつかはモサリーニ氏のように、たった一つの音で人の心を鷲掴みにしてしまうような
演奏が出来るようになりたいです。
音楽家という生き方。人に気軽にオススメする気にはなれませんが、
悪くはないです。
それではまた、 À bientôt!

早川 純

早川 純

バンドネオン奏者。作・編曲家。
新しいタンゴを創出するユニットTango-jackと、古典タンゴの再評価を目指すユニットTango Azulを主宰。菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールのメンバー。
現在日本とフランスを行き来しつつ、バンドネオンの新たな可能性を模索している。
2月25日(水)、一時帰国のタイミングで、主宰するTango-jackというバンドのライブを予定している。聴きに来るべし。

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る