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2F/当番ノート

最終回 宇宙CAMP

当番ノート 第18期

こんにちは。今日の東京は、日差しがほんとーうに気持ち良い快晴です。

ご縁あって参加させていただいたアパートメントさんでの連載も最後となりました。
初めましての方にむけて自分のつくっているものを紹介させてもらうって、やっぱりとても緊張するし、書いてみてはなんだか違うぞ、と直すことの繰り返し。
でもこうやって改めて文章と写真で振り返るっていう作業をできて、しみじみと思い返し発見するところもあり。
とてもよい経験をさせていただきました。
この機会をくださった管理者の方々、下手くそでまとまらない文章を読んでくださった方々。本当に、ありがとうございました。

さてさて最後の回は、
一年半前の夏に仲間達と繰り広げた愛と勇気の大冒険について、かかせてもらえたらなと思います。
その名も「宇宙CAMP」。

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2013年8月末、千葉県富津市にある廃校で、みんなで宇宙をテーマにキャンプをしようという一泊二日のイベントです。
きっかけはその一年前の夏に、渋谷にあるco-baというシェアオフィス(http://tsukuruba.com/co-ba/)でイラストレーターの友人のnorahi(https://norahiukabuworks.squarespace.com)と町田早季(http://machidasakiki.tumblr.com)と三人で行った展示「宇宙図書館」でした。

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そこで、co-baの運営会社であるtsukurubaさんで勤めている山本倫広くんと出会います。
千葉大学の建築の出身である彼は、廃校になってしまった千葉県富津市旧環南小学校横の郵便局を友人たちと数年がかりでリノベーションをしており、ここの場所を使って何か、人が集まって楽しいことをできる企画をしないかと話をしてくれました。

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過疎化の問題を抱えて無くなっていく施設も多い町だということでしたが、
山、海、とても豊かな自然に囲まれていて、夜は満点の星がそれはそれは奇麗に見れたのです。

ここでみんなで寝転がって、星を見たら。
おいしいごはんを食べたり、素敵な音楽を聞いたりして。
それは何か、ちょっと良い時間が流れるに違いない!

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きっとこんなかんじ、と絵がうかびました。
名前は「宇宙CAMP」だね、と一番最初に決まりました。
そうしてこのプロジェクトが動きだしたのです。

この人が一緒にやってくれたらそれは良いだろうなあと思った友人に躊躇なく声をかけ、
集まってくれた約30人での有志の実行委員会「宇宙家族」が結成されました。

広報やデザイン、音楽などなど班に分かれ、さあさあどうやっていこうかねとみんなで企画を考えていくこと約9ヶ月。
とはいっても本当に0から始まった、完全ボランティアのチームです。
20代後半から30代前半、みんなそれぞれ働き盛りな時期の中、話し合いは時折連日深夜までに及びました。いわゆる音楽フェスでもキャンプイベントでもない、じゃあ何なんだ、と 完成イメージを共有するのも難しいことでした。
お金も儲からないし熟練の経験者がいるわけでもなく成功するかわからない、人が来ないで赤字で終わる可能性も多いにある。
時間がたつに比例してみんなの疲労も高まり、宇宙CAMPは難航に難航していきました。

更に、言い出しっぺである私はその時ロンドン在住。
距離なんて今の時代大した障害じゃあない、と思ってスタートしましたが、全くもって、全くもって大きな障害でした。
こういった、仕事じゃない、でも決して生半可にできるものじゃないプロジェクトを進める上で大事なものは、
これをやることが何かしら自分にとってプラスになるだろうと思える期待、
そして役割を担保するメンバー同士の絆。

この、目に見えない生き物のような大切な要素をなくさないためには、やっぱりのところ 面と向き合って話し合う他なくって。
どんなに時代が進んでも最終的には本当にそこだなあと、心底痛感しました。勢いと直感で周りの友達を巻き込んではじめた行動だったけれど、ああそうか、これは私は、何よりも友達を失うかもしれないという状況にいるんだな、と気付いた時の恐怖。

開催予定の8月が差し迫ってきたころの初夏には、関わったメンバーの全員が心身共に疲れ果てていました。
今だからこそオープンに言える話ですが、
本番一ヶ月前、参加者募集のwebを公開する直前の全体会議では、このまま赤字覚悟でやってみるか総解散するか、どちらかの選択だという話し合いになりました。

でもそこで全員一致で出た結論は、「やってみよう」でした。
最初は手伝いで始めたけれどいまはもう自分自身のためにやってる、とメンバーの一人の子が言っていたのがとても印象に残っています。
なんていうか、なんていうか。
本当に感動したのです。

ひとりでできることなんて実は何もない、でも、仲間がいれば。
できるはずだ。

websiteが公開され、クラウドファンディングで資金を募り、告知が始まりました。

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http://camp-fire.jp/projects/view/705

やるとは決めたけれど、上手くいくのかなあと不安に思っていなかったメンバーはいなかったと思います。
ただ、ほんとうに本当にたくさんの方々のご支援を受け、ファンディングで目標の資金に到達することができました。
そして、naverまとめさんとwebマガジンのWIREDさんがこの宇宙CAMPを取り上げてくれました。
http://matome.naver.jp/odai/2137507277000197801
http://wired.jp/2013/07/27/space-summer-camp/
なんとその結果、予定していた参加人数を遥かに上回る数の応募が来たのです。

きゃーっとうれしい悲鳴で募集を打ち切り、
そうなるとメンバー内の志気も最高潮になり。
あとは準備を進めるのみでした。大学の夏の長期休みを使い帰国したもの制作場所をどうしようかと悩んでいたところ、東京荻窪の一軒家のはなれを使っていいよと快く申し出てくれた友達がいて、ご好意に甘えて約一カ月、住み込みでひたすら制作しました。メンバーみんな、仕事おわりに手伝いに来てくれて そこは合宿そのもの。カレーを作って食べたり銭湯にいったり寝食を共にしながら準備を進めていくうちに、宇宙家族という名のチームが本当の家族のような存在になっていきました。

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そして8月31日、本番。

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一週間前には台風が直撃との予報も見事にはずれ、良いお天気の中開会式が行われ、
たったの一泊二日のイベント、宇宙CAMPが開催されました。

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お料理クリエイターの方々による宇宙をテーマにしたごはんや飲み物、
宇宙CAMPのイメージとぴったりだとお願いしたミュージシャンの方々による演奏、
ごろんと寝転んで宇宙の本を読める「宇宙図書館」、
スタンプラリーや特大ロケット制作などなど、
宇宙にちなんだアクティビティが催されました。

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そして夜。
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ごはんが済み宇宙の講義を聞いた後、
一瞬 全ての明かりと音を消して、集まってくれた約150人のみんなで校庭に寝転び、夜空を見つめました。

快晴にはならず、星達は雲に隠れてしまいながら、それでも時折キラっと見えると「あそこだあ」と声が上がったりして。
星たちを探しながら、それぞれがそれぞれに何かに想いをはせながら、同じ空を見上げていました。
私はこの時、何を考えていたのかなあ。
今ではふわりとした記憶で、ちゃんとは思い出せません。
何も考えていなかったのかも。
ただただ、言葉にならない、それはそれはたくさんの違う種類の感情が同じところに集まって、濃紺の空にすうっと消えていきました。

星を見て、夜が明け、
宇宙CAMPは無事に終了することができました。

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参加してくれた方々は、だいたい半分がメンバーの友達や近しいひと、半分が全くよそから応募してきてくれた方でしたが、みなさんの寛大さと表情の柔らかさに驚きました。なんていうか、この日の旧環南小学校は、やさしい人々に包まれていました。

一年がかりで作り上げたこれは、
「大人の全力文化祭」の一言に尽きます。
たった二日間の小さな小さなイベントです、
ただ間違いなく自分にとって、それまでの26年間で一番の試練であり、一番の幸せを感じた時間でした。
宇宙家族として一緒に作り上げてくれたメンバーのみんなの存在は、文字通り家族そのものでした。

そしてとても書ききれないほどたくさんたくさんの人が応援してくれ、助けてくれました。
心よりお礼を申し上げます。

私にとって、このプロジェクトをやるとても個人的な狙いは、
この宇宙CAMPというものを通して関わる人々間の関係性がどう向上するか。
「人間関係という資本」に対してものづくりができることを検証することでした。
その結論は、一言にまとめられるものではないけれど、
本当に本当に、これから活動していく上で助けてくれる経験になったというか、
自分にとって、コミュニケーションを創り出す活動のはじまりの地点となりました。

ものづくり×生活×人。
それらが掛け合わさった時にそこに生まれる喜びと、確かなプラスのエネルギーがあるんだと思います。
暖色で、透明で、あたたかくてまあるいそのエネルギーは、風船のように膨らんで、広がって あたりの温度をほんのちょっと上げてくれるんだと思います。
そんな風船をつくれたら、それはそれは 幸せだなあと思います。
まだまだほんのビギナー、駆け出しですが、がんばっていきたいです。
ご精読、ありがとうございました。

今度はぜひ一緒になにか、楽しいことをつくりましょう。

YORIKO

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宇宙CAMP STAFF

共同責任者:山本倫広(プロデューサー)/YORIKO(ディレクター)
会計・マネジメント:鈴置泰隆 企画:平野咲※/綾野万里菜/大木もと子/星野槙子
音楽:馮 意欣※/井関麻里子/保永剛/山本恵里 PR:川上辰夫※/岩嵜修平/薄信行/田辺泰大/中西太河/
馮 意欣/平山直子/麓遼子/前迫昇吾 デザイン:田辺泰大※/暮沼美沙/平野彩/町田早季
建設:鶴岡諭※/兼平翔太/冨田裕也 アドバイス:冨田裕也/成木恵理子

写真:中西太河/馮 意欣 イラスト:平野彩/町田早季 テーマソング:yAi♭ 
映像制作:馮 意欣 Web制作:前迫昇吾/田辺泰大/YORIKO (※各部門責任者)

YORIKO

YORIKO

色々な場所で色々な人々と一緒にものづくりをしています。
つくる×人々×生活から生まれる喜びから抜け出せません。

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