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2F/当番ノート

第四回 フランスのご近所付き合い、その実態とは

当番ノート 第18期

皆さんこんにちは、雪だるまがトラウマになりそうなバンドネオン奏者の早川純です。
今回はバンドネオンの事は置いといて、引っ越してからの日常のお話しを少し。

フランスに来た翌日、不動産屋を訪れて、初めに見に来た物件に即決で移り住んで、3週間近く経ちました。
パリの地下鉄11番線の東の終点、Mairie des Lilasという駅にほど近く、マンションの中庭的なエリアにちょこんと建つ小屋が、新居です。
マンションの一部屋、というのではなく、小さくとも独立した小屋、というのがポイント。
何せ音楽家が夫婦二人で住むわけで、かたや小型の大音量発生ボックス、バンドネオン。かたや大型の大音量発生ボックス、グランドピアノ。その騒音たるや、僕の実家近辺を日夜走り回っている暴走族に勝るとも劣らないことでしょう。
そんなわけで、「独立した小屋」の一点にこだわって引っ越してきたものの、周囲に人が住んでいないわけではない。
実際に初めのうちは、大人しくそーっと練習しておりました。

数日して、妻の提案で人気のチョコレート店で貢ぎ物を購入。それを持ってご近所に挨拶周り。
「チョコあげるから、練習少し(実際はかなり)うるさくても許してちょ」
なんて、日本的なご挨拶に見せかけた、実際にはかなりアコギな取引ですが、
幸運にもご理解のある隣人ばかりで救われました!

数日後、我がもの顔で練習していると、ドアをノックする音が。。。
やべー、うるさ過ぎたか…?
若干ビクビクしながら出ると、向いに住んでいる家族のご主人。
「先日はチョコレートをありがとう。よかったら今度、ディナーでもいらっしゃいませんか?」
なんと温かいお誘い!練習の言い訳にご挨拶ついでにお渡ししたチョコレートのお返しに、食事に招待して下さるなんて!
なんだか申し訳ないような、図々しいような。。。
でもお呼ばれしましたとも!

向かいのお宅はご夫婦と娘さんの三人家族。
一緒に食卓を囲んで、美味しい手作り料理と、これまた美味しいワインを頂きました。
奥さんは日本語を8年間も学んでいたらしく、日本への旅行経験もあり、日本文化にもとても理解・感心のある様子。
ご主人はタンゴが元々お好きだったようで、バンドネオンやモサリーニ氏の事もよくご存知。
娘さんはパリでも有数の進学校に通う高校生。小さい頃からフルートを習っていたようで、今も高校のオーケストラ部(?)に参加しています。
意気投合して遅くまで話し込んでいると、娘さんの出演するオーケストラのコンサートがたまたま翌日あったようで、
よかったら一緒に聴きに行きませんかとご夫婦に誘われました。
プロオケでは無いけれど、フランスの高校生のオーケストラ演奏。なかなかに興味深いではないか。
と、またしても夫婦揃ってご一緒させて頂きました!

翌日の夕方、待ち合わせて向かった娘さんの通う学校は、パリで最も歴史ある高校。
趣のある建物の中に、小さな劇場のような建物が。コンサートはここで行われます。
開演間近に迫る頃には、在学生や保護者の方達と思われるお客さんで席が埋まります。
ドビュッシー、メンデルスゾーン、グリーグのオーケストラ曲を、途中合唱も交えながら一時間程のプログラム。
アットホームでどこか懐かしい、温かいコンサートでした。
聴きに来ていた普通の女子高生が、グリーグの「山の魔王の宮殿にて」でノリノリになって楽しんでいたのも、なんか微笑ましかった。
帰りの道は、寒さを感じないほど暖かな心持ちでした。

一枚のチョコレートから始まったお向かいさんとの交流。
昨年フランスに来た時も、こんな風にふとした事で始まったお付き合いが幾つかあります。
意外と情に厚い、フランスの人々。もっと沢山お話ししたい!
その為にも、「原始人フランス語」を早く脱却したい、今日この頃です。
今日はクリスマス。皆様、良いクリスマスを!
Joyeux Noël!

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早川 純

早川 純

バンドネオン奏者。作・編曲家。
新しいタンゴを創出するユニットTango-jackと、古典タンゴの再評価を目指すユニットTango Azulを主宰。菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールのメンバー。
現在日本とフランスを行き来しつつ、バンドネオンの新たな可能性を模索している。
2月25日(水)、一時帰国のタイミングで、主宰するTango-jackというバンドのライブを予定している。聴きに来るべし。

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