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2F/当番ノート

旅する音楽 Vol.7

第24期(2015年12月-2016年1月)

雅楽をご存知でしょうか?雅楽は中国大陸、朝鮮半島から渡ってきた千数百年に及ぶ日本最古の音楽で「世界最古のオーケストラ」と言われています。面白いのは複数の弦楽器、管楽器、打楽器によるオーケストラ編成であるにも関わらず指揮者がいないということです。西洋音楽的な主役による絶対的な統括力によって推進するのではなく、各奏者の阿吽の呼吸によって合奏されるというのは非常に日本的な姿勢のように思われます。

雅楽を耳にする機会は少ないかもしれませんが、普段何気なく使っている身近な言葉の由来に雅楽からの影響が残っていたりします。例えば、「二の舞いを踏む」は舞楽の「二舞」という舞からきた言葉であったり、「やたらに~」というのも雅楽の拍子にある「八多羅拍子」といういわゆるポリリズムからきた言葉だと言われています。

20世紀に入るとトラディショナルな雅楽としてではなくより新しい音楽を模索するかたちで現代音楽の分野で雅楽楽器を用いた作品が書かれるようになってきます。例えば、ジョン・ケージ「One9」は雅楽の代表的な楽器である笙独奏のためにかかれた作品です。

僕の大好きな武満徹さんも『秋庭歌一具』という作品を残しています。

このような明快なリズムもメロディもドラマチックな展開なく曖昧な音響がいつのまにか始まっていつの間にか終わっているという形式はアンビエント・ミュージックやドローンに通じる部分も多くて日本古来の美意識に基づいたものだとも言えます。

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10年近く前からずっと雅楽楽器の一つである笙を使用して作曲したいと思っていて、東京には立派な演奏者の方々が沢山いらっしゃるので演奏していただくということも出来るのですが、この楽器や文化についてもっと深く理解してゆきたいという思いから下手くそでもやっぱり自分で演奏しようと思い、牛の歩みで少しずつ練習を始めています。今年は『笙×電子音楽』探求したい!

yui onodera

yui onodera

音楽家。音楽と建築を学び建築音響設計を経て、サウンドプロダクションCRITICAL PATHにて国内外の広告メディア、プロダクト/インターフェイスのための楽曲提供・サウンドデザインを手掛ける。国内外のサウンドアートレーベルより先鋭的な電子音楽作品を発表。英『Wire』誌や英『BBC』など国営公共放送局含む各国メディアにて高い評価を受ける。Brian Eno等との『foundsoundscape』などその活動は多岐に渡る。

Reviewed by
佐藤 研吾

12音階の否定から始まった現代作家達のヴェクトルと日本の古典的音楽の形態が近しい所にあるのはスッと理解ができるが、一方でその音を作り出す楽器の造形の凶暴さとの関係を考えてみたい。笙などはかなりイカレタ形をしている。ゴシックのカテドラルのように抽象的に天空を指し示しながら、その材料はどう見ても竹なのである。風が止んで笹の動きが停止した瞬間の竹林の静けさのような音なのだろうか。日本の楽器、ひいてはアジアの楽器にはそうした形態が生まれ得た必然の自然の風景をそれぞれに持っているのではないかと感じる。そしてその背後の自然風景と楽器が奏でる音の関係は、奏者の心持ち次第なのでもあろう。

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