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2F/当番ノート

星空書簡4―夜明け前

第29期(2016年10月-11月)

こんばんは。
あなたにこの手紙が届くのは夜だけど、私が手紙を書いてる今は、夜明け前。
今朝4時半ごろ、ベッドから南向きの窓を見上げたら、オリオン座がくっきりと。それを見たら、バチッと目がひらいて、すっかり起きだしてしまいました。

早起きは三文の得、かな。いいものを見ました。
オリオンのうしろ、つまり、東側に、2つ明るい星があって、それぞれに、おおいぬ座のシリウスと、こいぬ座のプロキオン。オリオンの肩にあたる赤い星・ベテルギウス。これで冬の大三角がつくれるのだけれど、その三角の中に星を探せたら幸せになれるって話があるのです。大三角の中って、暗い星しかないのだけど、そんな星をつなぎ、昔の人たちは何故かそこにユニコーン(いっかくじゅう座)を描いたの。ユニコーンは、純潔と清浄の象徴。周囲の華々しい一等星たちに対して、暗く、でも美しい何かが潜んでいるように感じたのでしょう。「幸せになれる」っていう話は、もしかしたら、現代のこの星が見えない時代にあって、見つけることができたらラッキー!という、あらたな都市伝説なのかもしれないけれど(笑)。
いっかくじゅうの4等星の星たちが、山梨県・甲府の空で(しかも私の家からは南側のほうが街なので、ますます普段は見えないのです)見えるのは、夜明け前のすきっとした時間だけかもしれません。1日の始まりとして、とてもいいスタートの切り方です。

実はこの手紙があなたに届く日、若い友達の結婚式があって、そこで星のお話で祝福をすることになっているのです。新婦が、八ヶ岳ではじめて冬の大三角の中に星を発見したあとに、とんとん、と結婚話が進んだの、ということを明かしてくれました。新郎のお誕生日の星空には、冬の大三角が宵の空に堂々と輝いていたはずで、しかも、その夜明け前の空には、新婦のお誕生日星座の近くに、明るい惑星たちが大集合! 星占いをするつもりはないけれど、でも、何かそこに二人が出会う前のストーリーがあったように思っちゃいます。何よりも確かなのは、星が教える広大な宇宙が持つ、長大な時間と空間の中で、今ここで出会えるのは、すごいってこと。そんなことを、心込めてお話したいと思います。
 
 この秋一番の冷え込み、という言葉を毎日のように聴く季節ですね。どうぞご自愛を。

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髙橋 真理子

髙橋 真理子

宙先(そらさき)案内人。星空工房アルリシャ代表。星つむぎの村共同代表。
出張プラネタリウム、ミュージシャンとのコラボレーション宇宙ライブ、星や宇宙に関する企画、執筆、大学講義などをやっています。近著「人はなぜ星を見上げるのか―星と人をつなぐ仕事」(新日本出版)

Reviewed by
akira kusaka

これからの時期、夜空に大きく描かれる三角形。寒い季節がやってくるけど、この三角形の中には暖かい物語が隠されていました。肌寒いこの時期にホッとする、そんなお手紙が届きました。

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