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2F/当番ノート

おとなの五教科_6 理科【物理の法則】

当番ノート 第36期

以前、ライターとして高校生向け情報誌の仕事をしていた時に、物理の定理や法則の名前を知る機会があった。
高校で物理なんて無縁の科目であったし、物理用語が意味するところは、まったく理解不能だったのだけれど、
なぜか時々、仕事の段取りや人との関わり方のことなどをぼんやりと考えているときに、
法則の名前なんかが不意に頭に浮かんだりすることがある。

そうして勝手な解釈で、その定義をつらつらと紡ぎ始める超文系の私がいる。

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【自由落下の法則】
 昇りつめてゆくことで磨耗してしまった運動体の自由意志によって、それは始められ、
 ゆるゆると、ふわふわと、漂いながら落ちてゆく運動。
 その運動には、他者の視線や評価、圧力などというものの影響を受けることはなく、
 着地点は、上昇して行く前の起点とは一致しないという法則性が見いだされている。

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【熱量保存の法則】
 誰しもいつも熱い思いばかりもち続けていられないわけで。
 萎えることもあれば凹むこともあるしモチベーションが下がることもある。
 だけれども、ひとりの熱量が低下したとき、励ましてくれたり、力を貸してくれる隣人がいたとしたら、
 ひとりの熱量は空気中に虚しく霧散していったわけではなくて、
 隣人がしっかりと受け取り、チームの中で「保存」され続けていく。
 隣人、友人、恋人、家族。
 難しいことも面倒くさいこともいろいろあるとしても、関係性の中で熱量は保存されると思えば、
 補い合って、なんとかやっていけそうな気がしてくる、よね?

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【等速直線運動】
 分かれ道で、悩む、迷う。
 シフトチェンジのタイミングに神経を使う。
 そのような煩わしさから解放されて、常に一定の速度で、ひたすらまっすぐな道を自動運転で進む人生。
 自らを操作し続ける煩わしさからは解放されるが、
 ゆるいカーブを曲がりながら、その先の風景が少しずつ視界に入ってくるときに感じる新鮮な感覚や、
 路面状態に合わせてギアや回転数を自らの意思で判断し選択し、
 それが噛み合い加速し始める時の高揚感など、まったく味わうことはできない。

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つい最近、親戚が集まって、25年前と17年前に他界した、私の母と父の思い出を語り合う機会を得た。
もっとしっかり、二人の人生の歩みを聞いておくんだった!という後悔が、ずっとあるのだけれど、
故人の思い出話の落とし所として、
「そんな体験をしていたから、ああいう考え方を貫いたんだね」と、しみじみと頷いて終わることが多い。

人が生きてゆくという最大の学問領域の中で、自分の体験や多くの人との出会いの積み重ねの中から、
「生」の法則や定理というものを自分で見出していく過程こそが、生きるということなのかもしれない…
と、新しい年を迎えて、あらためて思う。

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[参考]

自由落下の法則(自由落下運動)
 物体が空気の摩擦や抵抗などの影響を受けずに、重力の働きだけによって落下する現象。
 真空中での落下。重力以外の外力が存在しない状況下での運動のことである。
 人工衛星や月、地球などの天体の運動がこれにあたる。(wikiより転載)

熱量保存の法則 
 高温物体と低温物体を接触させると高温物体から低温物体へ熱が移動する。
 このとき高温物体の失った熱は低温物体の得た熱に等しく,
 全体として熱量が保存されるという法則(学研キッズネットより転載)

等速直線運動
 スピードを変えず、一直線上を進む運動を等速直線運動という。
 摩擦のない平面を物体がどこまでも滑っていく運動をイメージすればいい。(物理学解体新書より転載)

簑田 理香

簑田 理香

熊本県生まれ、栃木県益子町在住。地域編集室主宰|益子の人と暮らしを伝える『ミチカケ』編集人。大学特任教員|学生とウェブマガジン作ったり、地域づくり系の授業を担当したり。地域活動|映画の自主上映会や暮らしまわりのワークショップやセミナーを企画・主催したり。

Reviewed by
たからさがし。

当たり前を当たり前と思わずに、ふと浮かんだ些細な疑問から生まれた、世界中の定理はたくさんある。
きっと今日わたしが、なんでだろうって思ったことは、とっくにどこかの誰かが解明してくれてるんだろう。
だけど、多くの定理のなかで、信じたいものもあれば、納得できないものもあって。
視点なんか気にせずに、なんでもいいですよ、なにしてもいいですよ、って、そんなときに動く自分の方向を大事にしたい。

自分がなにをしたいか、人生でどんな体験をしたいか考えたときに、大きな壁にぶつかったことは何度もある。
そうやって気づいたことは、誰かがつくった法則や、定理のままに道を進んだとき、その誰かと同じ結果しか生み出せないということ。
恵まれたことに、どこまでも選択ができる今、自分が掴んで、進んだ道は、結果がどうであれ、自分色に変わりはないと思いながら生きていきたい。

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