あそび【遊び】
①遊ぶこと。遊戯。
②猟や音楽のなぐさみ。
③遊興。特に、酒色や賭博をいう。
④あそびめ。うかれめ。遊女。
⑤仕事や勉強の合い間。
⑥(文学・芸術の理念として)
人生から遊離した美の世界を求めること。
⑦気持のゆとり、余裕。
⑧機械などの部材間・部品間に設ける隙間。
あそ・ぶ【遊ぶ】
日常的な生活から心身を解放し、
別天地に身をゆだねる意。
神事に端を発し、
それに伴う音楽・舞踊や遊楽などを含む。
−『広辞苑 第七版』より抜粋 −
私が幼かった頃、
世界は途方もなく大きくて広く、輝いて見えていた。
太陽を真っ直ぐに見つめる向日葵は、
私よりもずっと背丈があって
母親と一緒に行ったスーパーは
迷子になる程入り組んでいて
ラムネから取り出してもらったビー玉は
何よりも大切な宝物だった。
そんな世界で生きる私はいつだって自由だった。
多少無茶をして怒られることもあったけれど、
それでも私は何でもすることができて
世界はそんな私にとって
これ以上ないほど魅力的な遊び場であり、
また唯一無二の友人であった。
誰だってそうではないだろうか。
空を漂い毎秒姿を変える雲に
私たちは動物や好きな物を見つけることができた。
車窓を流れる景色には並走するもうひとりの自分がいて、
白線の上だけが安全で、外には広大な海が広がっていた。
自分にまとわりつく数字が増えるにつれて
私は世界と遊ばなくなっていった。
そうしてある時、ふと気が付いたときには
私の世界は「社会」へと名前を変えていた。
あれほど一緒に遊んでいたはずなのに、
かつての友人は今では私のことを知らんぷりする。
私は「私の世界」と仲直りをしようと決めた。
大好きでかけがえのない友人の姿を
もう一度この目で見たいと思った。
辞書によると「遊び」とは
「人生から遊離した美の世界を求めること」であり、
「遊ぶ」とは
「日常的な生活から心身を解放し、別天地に身をゆだねる」ことであるという。
つまり、日常の中から遊びを見つけること/遊ぶことは
社会が持つ美しい姿に、「世界」に
自ら目を向けるということになる。
遊びを見つけることは私と世界を繋ぐ「魔法」である。
私は強く柔らかくそう信じている。
だから私は、私が見つけた魔法を
こっそりとこの場所に記していこうと思う。
これを読んでくれているあなたが「あなたの世界」と
またあの頃のように笑い合えますようにと願って。