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2F/当番ノート

ヴァーチャルスナック・モモコー池袋の黒い袋ー

当番ノート 第45期

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いらっしゃいませ。
ここはアパートメントの中にある日常の非常口「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。
ありきたりのどこにでもあるような路地裏スナックよ。
私は店長のミス・モモコ。
もうこの道は覚えたかしら?
どうやら、選ばれし者しかここには来れないみたい。

迷いがちのこの東京で、有名な待ち合わせスポットと言えば、「いけふくろう」じゃないかしら。
池袋と言えば独特の磁場が渦巻いているような気がするの。
埼玉と、東京の間に渦巻いている磁場が入り混じった池袋。ハザマは人をおかしくさせたのか、なんなのか。

cover
今回は、私が体験した「池袋の黒い袋事件」でもお話ししましょうか。

あれは何年か前の夏、お付き合いした男性がいたのね。
その彼は…もうおわかりの方もいらっしゃると思いますが、池袋に住んでいたのよ。
そうして池袋に行く機会が増え、いけふくろうで待ち合わせ、ようやくあの池袋のだだっ広い構内を迷わず出口に向かえるようになった秋口。
「なんとなく夏も終わったし」という理由でお別れすることになり(あえて美しくお伝えするわよ)
しばらく経ったあと

「置かせてもらっていた化粧品や、洋服を返してほしい」

と連絡したところ、死ぬほど歯切れが悪く「うん、まあ、そのうち」
といったのち、音沙汰が取れなくなり、何週間か経ち、いい加減温厚な性格で有名のママも、痺れを切らしたので
その後、何度目かの電話で

「家まで取りに行くから、いい加減返してくれませんか」

と伝えたところ
「家に来てもらうのはちょっと困るので…すぐに送ります」

と言ってヤレヤレと思った後日。

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「お届けものでーす」と宅急便が届き
ようやく
待望の
荷物が…

届いたものの、その黒い袋に入っていた洋服の様子がおかしい。
チャックが閉まらない。

そもそも、チャック自体が根本から破壊され、服が割かれていて、服が真っ二つに。

そんな調子で同梱してもらったズボンも
『お尻が見えるくらいやりすぎなスリット』が施さている模様。

でも…

この時まで能天気にも「洗濯機に引っ掛けちゃったのかな?」
と、思ってたのね。本当におめでたいわ!

そして出てきたのよ。
黒い袋の底から、

「人の彼氏と遊んで楽しかったですか?次はあなたに慰謝料を請求します」

と、書かれた手書きのメモが。
キャー!
香ばしい香り!

ひとまず彼に電話を掛けると
「もう返すものは返したんだし」と、言わんばかりに当然のごとく不在。
よくよく送り状の電話番号を確認して、再度電話。
「この電話は現在使われておりません」
と、偽の電話番号!

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これは何か「次」されたら困るわね。
と思って、先手を打って最寄りの警察署に電話することに。

「あのう、昔付き合っていた彼に嫌がらせと脅迫を受けてるんですが、どこに相談したらいいですか?」

と、電話したところ、「はい、じゃあ生活安全課に繋ぎますね〜」
と電話を繋いでもらえました。
これこれこう言う感じで、と事情を話すと

「ううーん、状況を把握するためにも彼氏さんにこちらから電話してみて、状況を確認しますね」

と言って番号を伝えたところ、繋がらなかったらしく「家に行って、状況を確認してきますわ」
とまで言って、フットワーク軽く相手の家に行って動いてくれることに。

そうして、深夜2時ごろ戻ってきた警察の方が、家に来たのよ。
そうすると、

「彼氏さんの家に行きまして。確認したところ、彼氏さんは不在でした。しかし・・・・家に女がいました」

「どういうことですか?」

「うう〜ん、なんて言うんですかね。自称婚約者と名乗ってまして・・・その女曰く、喧嘩して実家に帰っていたらしく、戻ったところを別の女の洋服を発見して、腹が立って引き裂いたと白状しました。」

「まあ・・・なんということでしょう」

としか言えないわよね。
ここに来ての「第二の女」の新展開にびっくりよ。
(いや、向こうにとっては私の方が第二の女ってことね。ややこしいわ)
つまりは、向こう側は二股をかけていたってことね。

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「とりあえず警察署に連行して、彼氏さんも呼んでもらってもう二度と関わらないという旨の念書を一筆書いてもらって、記録は残しましたので。今後何かされることはないと思います。一応、1週間経ったら、再度何かないかもう一度お電話しますので・・・」

と言ってくれたものの、引き裂かれた洋服はもう戻らず、損害賠償を起こすだけ労力とお金が損になるとのこと。
結果、洋服程度ならもう諦めた方がいいと言うこと、などの手続きを淡々と語り、証拠品の破られた洋服を持って、彼らは帰って行ったわ・・・。

その呪いなのか、次の日38度の熱が出て一日寝込んだわ。
本当にあれは呪いだったと思うわ。

ま、今回は警察がこんなプチ事件にも関わらずすぐ動いてくれることがわかっただけラッキーね。
本当は後ろから天誅を食らわせてやりたい気持ちを、大人だからグッと飲み込んで
警察署に連行されると言う時間と精神的ダメージを食らわせてやった、ということで幕引きとしたわ。
今回の教訓は、なにかあったら迷わずすぐ110番!と言うことね。
このだだっ広いトーキョー砂漠では、自分の身は自分で守ることね!

一番怖いのは、おばけでもなく
「人間」
ですからね!この世では何よりも人が怖いわよ。

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さてさて。サイレンが鳴ったから撤退よ!
ではでは❤️お会計お願いします
また来週〜!

モモ コダテ

モモ コダテ

1988年生まれ/新宿区在住
グラフィックデザイナー、ライター。
ゴールデン街のバーテン、様々な面白い人に出会う中でヒトの面白さに、独特の角度から切り込み、観察中。
2019年5月の文学フリマにジンを初出店。

Reviewed by
たかだ まなみ

【ケダルイ夜に読みたいホラーNo.1】
  
今夜も過激でウワサの”あの”スナックが開店。
今日のお通しは何だろな?
柿ピーもすぐにシケそうな初夏の夜。
大気と共にグラつく街が、光を求めて彷徨い出す。
虫もヒトも同じように、明るさに惹かれぶんぶんブンブン。
 
 

常連の間に腰掛けて、颯爽と頼んでマイボトル。
「私も一緒に頂いていーですか?」
断り文句はどこを探しても見つかるわけなし。
 
 
砕けた氷が溶ける前に、最初の一杯飲み干そう。
ほどよく酔ったら始まるよ。
ミス・モモコが語る今夜のこわ~い噺(ハナシ)。

レビューはたかだまなみさんに書いていただいています。
https://apartment-home.net/author/takadamanami0318/

当番ノート日曜日の担当はモモ コダテさんです。
https://apartment-home.net/column/201906-201907/ikebukuro/

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