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2F/当番ノート

さよなら、ヴァーチャルスナック・モモコ

当番ノート 第45期

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いらっしゃいませ。
ここはアパートメントの中にある日常の中の非常口「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。
出口はないけど、入り口も見えない人生へようこそ!

はい、私は店長のミス・モモコ。
暑くて暑くて頭がぼーっとしちゃうわね!
ぼーっとした頭でお知らせなんだけど、
残念なお知らせなんだけど、このスナックは立ち退きなの。

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じゃっ、そんな感じで今回も最後までよろしくね!
前回のセクハラ問題もあるんだけど、本当におじさんって人の心が読めないわよね。
ちっ。
コッチ側(カウンターの内側)の人間には何を言ってもいいとおもってるのかしら?

座って、飲み物を聞く前に「あれ?前より太った!?」
とか聞いてくるやつもいるし
「ん〜なんか面白い話しして?」とか言うとんでもないやつもいるし、
(だったらテレビとでもお話ししてれば?)
他にも「俺はどれだけモテているのか」って言うことを延々と語るおじさんもいたわね・・・
そのおじさんは
「だって俺のこと好きだってわかっちゃうの。
その子の・・・目がハートになってるんだもん!って」
って言っていたから「あんたは超能力者かなんかですか?」ってここまで出かかったのよね。
そう言う人が「俺の彼女」って言って見せてくれる画像、大体美人です。
でもこれ絶対、嘘だろ・・っていう時あるよね。
こう言う小さい嘘をつく人がジジイになると
「俺はキムタクと友達だ」とか言い出す赤羽とか小岩にいるじいさんの片鱗を見たわ。
で、最後に「俺とやるの?やらないの?」とか言われたこともあるわよね。
なんの話ですか?
「俺か、俺以外か」と言ってもいいのはローランドだけよ!
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そもそも「初対面で大してその人のことを知らないのに見た目のことを言及する」なんて
めちゃめちゃ失礼なことだと思うのよね。
ち・な・み・に、みんなやりがちなんだけど
本当にモテたいとか、その子をゲットしたいって思ったら
初対面の女の子に「君超カワイイよねー」とか褒めるのも、実は残念ながらNGなのよね。
挨拶は音楽のイントロと同じ。
「君超カワイイよね〜!」
なんてありきたりのことを言われても
『それしか会話がみつからなかったのかな』
『みんなに言ってるだろ』
『あなたもカッコイイですね♡とでも言えば満足ですか!?』
とか思うのよね
大抵の女子、褒められていい気になるかもしれないけど
その瞬間「こいつ、大したことないな」って思うわよね。
「音楽はイントロを聞いたらその良し悪しがわかる」のと同じように
挨拶で相手がどんな『曲』をかけるのか、大体わかっちゃうわよ!
「君カワイイね〜!」って最初から言うやつ、それは大体そこがサビ!

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あとは「え?君いくつ?」
と聞いてくるやつ。
いや、お前から歳を名乗れええ!って思っちゃうわよね。
これも上記の理由で「外見からの印象から年齢を当てれる俺」よろしく
外見を聞くことに相当します!
ま・・・でも、「俺、56歳!」とか言われてもフーン、って感じよね。
そもそも分類的には「おじさん」「おじいちゃん」「おじさま」「くそじじい」そして数パーセントの「特異体質(カッコいい、芸能人、すごい人)」もしくは「超やばい人」
ぐらいのもんよね。

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でもおじさんもぶっちゃけ「話題がない」のよね
だいたい「どこ出身?」って聞く時点で
『たすけてくれえ!オラ、話題がねえ!』
のSOS救難信号だと思ってください。
そして大して広がりもしないのよ。
まっ、しょうがないわよね。
大体、毎日スーツ着て、会社に行って、おじさんがおじさんとしか話してなかったら
そんな大した話題もないわよね。
アマゾンの奥地に行ったわけでもないし、休みの日だってテレビ見てるか競馬行くか、よ?
あたしたちみたいに『タピオカを求めて三千里』とかやってるわけでもないし
リアルトーキョーシティーに生息するおじさまは、会話にお困りよ。
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他にもおじさんが言っちゃいけないことというと
「えーこんなこと言ったらセクハラかな!?」を枕詞で使うおじさま。
それ言ったら免罪符になってると思ってるのか、そのあとで誰もツッコミづらい空気、作ることも含めての
セ・パ両リーグ開催のにおい。

なぜか妙齢のおばさまが「あんた、カワイイじゃない。いくつ?」てイケメンに言うと途端にサイコ扱いされるのに!
どうしたらもっと、自由に生きれるか探しているだけなのにね!

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ではでは❤️お会計お願いします
また、いつかどこかで!

モモ コダテ

モモ コダテ

1988年生まれ/新宿区在住
グラフィックデザイナー、ライター。
ゴールデン街のバーテン、様々な面白い人に出会う中でヒトの面白さに、独特の角度から切り込み、観察中。
2019年5月の文学フリマにジンを初出店。

Reviewed by
たかだ まなみ

【小さくても消えない灯火を求めて】
 
「ヒトってそんなに大した存在にはなれないじゃない」
とこのカウンター越しにママは言う。
誰かにインパクトを与えたり、変化させたり、感情を揺さぶったり。
ヒーローになんてなれなくても、生きた証を残したい。
生き物ならそう思うものかもしれない。
 
 
自分が会社の歯車に過ぎないことを認められなかったり、
理想と今のギャップに苦しんだりする現実が、
溶けないえのぐのようにコップの底に溜まっている。
 
 
それでもあがいて生きていかなくてはならないから。
小さくても、それが、どんなに小さくても。
消えない灯火のために、今日も酒を流し込む。
 
 
内側でマグマのように煮えたぎる悲しみと、
無理やり笑顔で取り繕う理性にほほえむ巫女として、
「今日も酔ってしまいなさい」
と氷を割り続ける。
 
 
ミス・モモコ、また、いつかどこかで。

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