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2F/当番ノート

いきてゆくこと

当番ノート 第51期

自分として、いきてゆくこと

それが今の自分のテーマなのだと思う。




小さい頃から自信がなかった。

何につけても自分を認めてあげられず、なにをすれば自分で自分を認められるのか分からず、

評価軸を他者に預けて人任せにいきてみたり、

自分じゃない人間をいきてみようとしたりした。


でもそうやって過ごしてみても

結局はっきりとしない、つかみきれない自分が深まっていくだけだった。


そうやってなんとなく雰囲気でいきてきて、どこか装っている自分は、

根っこの自分とは違っていて、

私は自分ではない人生をいきようとしているのだ。

腰を据えてようやくそう認めた時、

あやふやな形をした自分の正面へと再び巡り戻ってきて、


今ここできちんと向き合え


と、そう言われている気がする。



自分が自分でいられる温度はどれくらいなのか

自分は何が心地よくて、何がイヤなのか

心地よい人や物事との距離感

自分の資質、得意なところ、弱いところ

どう取り組んでいけば自分でいられるのか

どうしたら自分の感覚と近づいていけるのか


日々のたくさんの小さな出来事たちから、どう吸収して、自分の根っこへと還元していくのか



私にとって、いきてゆくことは

自分自身を見つける果てしない旅路のようなもので、

色々な人と出会い交わり、

何か考え抜いてみて、でも考えたようには実際はならなかったりして、

その起きた出来事にまた改めて向き合っていく。


小さな試行錯誤と工夫、気づきや発見を繰り返し続けて、いきるということを営んでいく。


何をしていても、これからどんな風にライフステージを積み重ねていって

住む場所や暮らしが変わり、たとえば誰かといきていくようになっても、

最終的には己を問われているような気がする。



自分はどう在りたいのか。

どうしていきたいのか。



そんなしっかりとした芯のようなものを持ちたくて、

でも色んな人や出来事に柔軟でいられる自分で在りたい。



そして、これから自分をやっていく中で、忘れたくないこと。

それは、自分が知っていることは世界のほんの少しで、

ほとんどが知らないことばかりだということ。



知っているつもりでいて、よくわかっていなかったこと


想像力が足りていなかったこと


気づきを得て次に活かすという、小さな積み重ねを怠けていたこと



小さな驕りは積もり積み重なっていくと、足元がどんどんおぼつかなくなって、

自分に差し伸べられていたはずの縁も繫がりも、途絶えていってしまうような気がする。


自分は足元の土台がぐわんぐわんとぐらついていて、

あわや崩れてしまう寸前という時に、見えない大きな手に救われたような。



怠けずに根元から整えていき、

これから様々なことを吸収して自分を構築していって、その積み重ねた先、

この世界へ何かを還元できるようになるのかもしれないけれど、

それは果てしなく遠い先のような気もするし、

でももしかしたらその一歩は踏み出せているのかもしれない。


自分の色をより自覚して、

何かしらの色を出せるようになったら、

この世界を少しでもいい色へと染めていきたい。


きっと”感じる”ことや”感覚”についてが、

これから長くお付き合いしていくテーマになるような気がしている。



今は、毎日をどう暮らしていくか、生きていくかが、こんなにも表現につながっていて、

生きることと表すことを一緒に考えられるようになった。

それがまずここでの生活の大きな一歩だと思う。



自分にとってあやふやで、まだ朧げである、いきてゆくということ。

今は自分の目の前とかそばにある小さなことから営んでいき、積み重ねていくことで、

いつか自分の実感のこもった「生きる」につながっていくこと

それを目指して一歩一歩踏みしめていきたい。




そしてまずは、

ここでこうして記事を読んでくださったあなたとの出会いや、できたつながりのようなものが、

世界の端っこから新しい色に染めていくことができるのだと信じている。

yuka

yuka

3年前、鎌倉への憧れから、当番ノートで鎌倉旅について綴りました。
そして今、山と緑の多い北鎌倉で暮らしはじめました。
今回は鎌倉に移り住むまでのこと、北鎌倉での暮らしなどについて書いていきたいと思います。

2017年当番ノート『群青色の街』
https://apartment-home.net/author/anny/

Reviewed by
中西須瑞化(藤宮ニア)

自分が自分でいられる温度って、どれくらいなんだろう。
人間の体のほとんどは水分でできている。だから人間にとっても、水が温度によってその形を変えていくように、「適切な温度」というものがあるのかもしれないと思う。

yukaさんの連載を通して、改めて私自身も私のことを考えた。
うなずきながら、うなりながら、ため息をつきながら、
今日も私は自分のことがわからないまま、自分のことをわかろうとして息をしている。

一度も会ったことない彼女に、いつか会いたい。
ゆっくりとお茶を飲みながら、人生や自分というものについて語り合えたら。
そんなことを思わせてくれる、すごく素敵な時間だった。

必要な時に、必要な言葉と出会えるということがある。
私にとってのyukaさんの連載は、今まさに出会うべき言葉たちなのだった。

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