当番ノート 第55期
「たくさんある!」と喜んで食べ始めたものは気がついたらすぐ「もうこんだけしかない…」となる。いつもいつもそうだ。絵と言葉を繰り返しボンドやら何やらでくっつけたり離したりした日々も終わってしまう。膨らんだパンは、型の中で「形通り」になってしまう。もっと膨らみたくても、行き先がない。 「何か」の中でしかものをつくれない区切りがあるから「終わる」こともできるのだけど、たとえばサグラダファミリアみたいに、…
当番ノート 第55期
ここのところ、なんだかずっと居心地が悪い。居心地が悪くって、ずっと寂しくて、ずっと帰る場所を探しているような気がしている。 私は自分が居心地が悪い場所にいたことに、居心地がいい場所に行ってからじゃないと気づけない。嫌だったのかとか、無理していたかどうかが、その場を離れて見ないとわからない。ずっと馴染めなさをどこかで感じながら、馴染めないのを自分の実力不足だと思い込んでしまう癖がある。きっと、そもそ…
当番ノート 第55期
小学生の時、「おじいちゃん」「おばあちゃん」と一緒に暮らしている友達を羨ましく思うことがあった。彼らが話す「おじいちゃん」「おばあちゃん」の言葉には、家族としての距離感があった。 私の両親は福岡出身で、千葉で核家族をしている。両家共に祖父母達は福岡。私にとって「おじいちゃん」「おばあちゃん」は夏休みになると時々会う、血の繋がった顔見知りの「おじいちゃん」「おばあちゃん」だった。 会社を辞めて千葉の…
当番ノート 第55期
武士は食わねど高楊枝とは見栄を張りやせ我慢している時に使う言葉だが、私にとってのアロマテラピーがちょうどこれに該当する。高校卒業した後に始めたので、もう8年の間私の大きな味方になってくれている大事な趣味が香りだ。 とにかくアロマオイルは高い。比較的安い柑橘系などの精油でも、一本600円はする。正直同じ値段で3日分のタンパク質が買える、などと猛スピードで算盤を弾いてしまう。生活保護を受給しはじめてか…
当番ノート 第55期
雷がすごかったね、お気に入りのスニーカを洗ったんだ、久しぶりに歌をたくさん歌ったんだ、あのねあのね、と息ができなくなるくらいに言葉を次々と発してたらしい少女の自分。その様子をおばあちゃんが笑い皺を作りながら言っていたことを思い出しながら絵の方向がどんどんわからなくなった。 たった7日間、ずいぶんと思ったことがあって、ここで手紙のように伝えたかったんだと思う。もっとわかりやすくまとめなきゃと慌てる。…
当番ノート 第55期
駅中にあるフレッシュフルーツを使ったミックスジュースは特別で、それを自分が飲みたい時に飲めるようになった時、大人になったんだなって思った。 髪色を明るくしてから、街で色んな人に声をかけられるようになったけれど、髪色変えたくらいで生まれた関係はやっぱり大したことなかった。 夜中の空いている電車でやること。目をつぶり、体の力をできるだけぬいて、浮き輪に乗り水の上で浮いてるこ…
当番ノート 第55期
千葉の実家を出たのは、横浜にある大学院に通い始める時だった。家事もほぼせず、家族に甘えて暮らしてきた私にしては、自分でも意外なほど、その出発はあっさりとしたものだった。 本来なら「一人でやっていけるのだろうか」「寂しさにうちのめされないかな」などと考えそうなのになぁ? そうだ、私はすでに「実家を出た」経験をしたんだった。 新宿の輝く街を見下ろしながら、大学病院で入院を半年間、さらに一ヶ月間の入院を…
当番ノート 第55期
>>通過儀礼6日目 友人Kが結婚した。大学時代のサークルで知り合った、ちょっとした悪友である。いや、私が勝手にそう思っているだけで、本人はただの同期だと思っているかもしれないが。「私たち友達よね」とかいちいち確認しないので、お互いにとっての関係性はきっと一生不明だろう。 先日、めでたく結婚式も行われたとのこと。コロナもあってか特に出席するような感じではなかったし、あまりしっかりお祝いす…
当番ノート 第55期
軽いバイトには落ち、既卒ニート・フリーター向けの就職エージェントには「服薬・通院中の方は受け付けていません」と門前払いにされた私の精神的な打撃は大きく、できることなら今回のテーマは「生きることの苦しさ」とか「障害は社会の側にある話」とかにしたい。 でもそれは自分の心を抉って出た血で字を書くようなものなので、あえて関係ないことを話題にしようと思う。 ちょっとしたインフルエンサーにまで進化しそうな母の…
当番ノート 第55期
物理的な道でも、心理的な道でも、どこかへ進もうと思うと、やれ段差につまづくやら、思ってもいなかったことで苦しい思いをするやら。道端のねこがかわいかったり、カフェや本屋に目移りしたり、だからケガするのになあ。 時には自分で思ってもいない、とんでもない道に「ほいっ!」と掛け声をかけて飛び移ってみたりする。またケガするかもなあ、と思いながら、今までの傷をちょっとずつ縫ったりひとやすみしたり、もっと、そう…
当番ノート 第55期
銀座って四角い。 大きな四角い箱の中に、様々な四角を上手にはめ込んで出来ている。積み木を箱の中に戻す時みたいに、まず大きいものを詰めてから、できた隙間に小さなパーツをはめていく。銀座は、なんとなくそうやって作られていうような感じがする。一度そう思ってしまうと視界に入るもの全てが四角ばかりになって、歩いている時の体感も小さいころ兄がやってたRPGゲームのキャラクターになったみたいになってくる。 先日…
当番ノート 第55期
mopokaです。ただただ「恥ずかしい」ただただ「晒したい」。 何でも言いたいし、素直に受け止めたい。のに、あぁ恥ずかしい。 スタイは、よだれを垂らした時に、その存在が輝く。素直によだれを垂らしたい。デレっと口元を緩ませたい。 前を向いてない気がする。だから、前を向いてる絵をかいた。 けど、色が暗かった。photoshopで色を明るくしたら、あーこの感じステキだねぇって、明るい気持ちになった。 デ…