当番ノート 第17期
木漏れ日揺らす土煙り お庭や掘ったその犬は ローマを目指しトンネルへ 見よ、穴深く消え失せて こもれひゆらすつちけむり おにわやほったそのいぬは ろーまをめさしとんねるへ みよあなふかくきえうせて コジヤジコ うちのマルはときどき穴掘りをします。 まるで秘密の儀式みたいに穴掘りはいつも静かに開始されます。 コジヤジコさんのこの口語いろは歌のように、土が舞いはじめてる!と思って様子をう…
当番ノート 第17期
女性と付き合うことは同時に、女性のもつ生理現象と付き合っていくことである。 高校を卒業後の19歳になって女性と付き合いを始めたころ、いつもは穏やかな彼女が急に怒り出したり不機嫌になったりと、感情の起伏の激しさに驚かされたことがあった。激情型の人間というのとも違って、スイッチは無く急にモードが変わったようになる。その時はどんな話をしても理不尽に責められる。 この話を女友達に相談すると「生理なんじゃな…
当番ノート 第17期
みなさん今晩は。妄想J-POPのお時間です。 この妄想J-POPは私typhoon soupの妄想の世界で作られたお話です。 ご紹介する全てはフィクションですので、みなさんも思いっきり妄想してください。 さて、80年代が2回続いたので、今週の妄想J-POPはぐっと時計を早め、1998年に発表された曲をご紹介します。 およそ1980年代に生まれたいわゆるヴィジュアル系ですが、1990年代にはTVに出…
当番ノート 第17期
世界の片隅の扉の向こうに、その町があり、その箱がある。 ”ココロ・ファーストエイド・キット・ボックス” 住所:ツバメ町 R地区 楓の小路 店主はこう語る——— 「どんな心も、傷を、あるいは病を負っておる。柔らかい心にある引っかき傷、固い心にあるひび割れ、とにかく生きとし生けるもの、皆傷ついている。私は別段悲観論者じゃないけれどね、それでも認めざるをえないだろう?『全ての心は、傷を追っている』…
当番ノート 第17期
男性と女性がいて、一緒に過ごしていれば、やがて生まれてくるのは子どもなのだが、作家という人間は、女性の生み出す力を、時に自分の作品にしてしまう。自然な人間という存在のことを考えれば、男性と女性が生み出すものは、本当は子どもであるべきだ。でも、その最初のアダムとイブは、他にも様々なものを生み出せるし、自分たちだけの世界を作り上げることもできる。 もちろん、当然のことながら、社会というものは、そういう…
当番ノート 第17期
ああぼくが愛した白いブランケットに今年の秋の光が積もる 藤田千鶴『白へ』 秋は、犬も過ごしやすい季節のようでマルは毎日ご機嫌です。 もう少し寒くなると冬用ベッドを出します。 一昨年から使っている茶色のベッドは、マルが噛んだり掘ったりしてしまい、去年とうとう穴があきました。 ドーナツのような状態になったベッドの、穴の部分でマルは寝ていました。 穴のあいたベッドはかわいそうだと思って、すぐに新…
当番ノート 第17期
私は父になる前に、ツマと結婚をしたひとりのムコである。 結婚は、法的には書類一枚の手続きで完了するもので、とてもあっさりした手続きだ。 そのあっさりさゆえにそこに意味を見出せないという人も多い。 「紙切れ一枚で何が変わるのか」という意見や、 「婚姻制度そのものに反対だ」という意見も少なからず耳にする。 わからなくもない。例えば日本では同性婚が認められていないという事実ひとつとったって、実状とのねじ…
当番ノート 第17期
どうもこんにちは、typhoon soupです。 月曜日担当と言いつつ、都合により火曜日になってしまいましたことをお詫び致します。 さて、今週の妄想チャンネル改め、妄想J-POP第2回です。 番組がひとつしかないため、チャンネルの看板を降ろしました。 最後までこのシリーズで駆け抜けます。 妥協ではありません。決断です。便利な日本語ですね。 今週は売れなかった歌手ではなく、一世を風靡した懐かしのあの…
当番ノート 第17期
世界の片隅から、この手紙は届くだろうか。 手記という名のコラム ”とある絵描きのエアメール” 住所:ツバメ町 T地区 猫の小路 ここ何日か、ツバメ町の中を一人の男性が精査するごとき真面目さで歩きまわってる。 一目見て、すぐに分かった。”外”の人だ。 俺と同じ、ツバメ扉の外から、この不思議な町へやってきた……ただし、俺と異なるのは、町に永住するわけではないらしいとい…
当番ノート 第17期
僕はあまり国際経験が豊かなほうではないが、Oh! my Godという言葉にはとても関心がある。何かとんでもないことをしてしまった時、何かとてつもないことが起きた時、彼らが「私の神よ。何してくれるねん」と関西弁で自分の神様につっこみをいれている情景が目に浮かぶからだ。 神様につっこみをいれるというのは、彼らのその自身のメンタリティを守るために、とても役立っているのかもしれない。僕はと言えばどうだろう…
当番ノート 第17期
鳴き声のうるさき犬であったなあ庭にゆすらの赤き実たわわ 久野はすみ『シネマ・ルナティック』 うちのマルは、よく吠えます。 遊んでほしいと吠え、おやつがほしいと吠え、トイレシートをかえてほしいと吠え、ちょっとこっちきてくださいと吠え、 要望が通るまで、できるだけ吠えます。たぶん近所で一番無駄吠えが多い犬です。 前にいた犬はこんなに吠えなかったのになぁ、ちゃんとしつけなければいけないなぁ。と思…
当番ノート 第17期
転校というものを経験したことが無いのでわからないのだが、こういうものなのだろうか。 誰も知る人のいない教室の一番前に立って、数十人のクラスメイトに挨拶をする。クラスメイトといっても、まだ何も関係を持っていない人達の前で、身体ひとつ、名前と、いくつか、自分に関する情報を伝える。 私にとって今がその始めての瞬間だ。文章でそれをするのだから黒板だけを使ってそれをしているようなものだろうか。 アパートメン…