当番ノート 第14期
冒頭の宣伝で恐縮だがいま展示をしている。 「ボンマルシェ(Le Bon Marché)」というパリで一番古いデパートの二つの建物を繋ぐ橋のスペースにグループで展示させて頂いてる。デーマはパリの左岸。パリはその街の中心をセーヌ川が東から西に流れ、川を下る方向から下流を見た際に観た右側(北)を右岸と呼び、左側(南)を左岸と呼んでいる。ルーブル宮殿やオペラ座、凱旋門といった国家的な建築物を始め、プランタ…
当番ノート 第14期
1989年7月31日 最高気温27℃ 最低気温21℃ 小雨 その日、行きつけの自然史博物館へ立ち寄った後、アイスクリームスタンドで買ったよく分からない味の青いアイスを片手に彼の居る動物園の園長室へ行くと、入り口近くの掲示板にこんな貼り紙があった。 “風邪が流行っています” 大きく書かれたその文字の下にはマスクをしたクマの絵が描かれ、「職員は全員マスク着用の事」とあった。その貼り紙のすぐ近くの白…
当番ノート 第14期
Something unexplainable. 説明できないもの。 —————————————
当番ノート 第14期
友人にプレゼントした絵日記。 昔から、らくがきが好きで、よく電話しながら、授業中など何かしら描いていた気がする。 落書きの方が、本番で描くよりいい感じになるし、発想が豊か。 もともとは、日記を書きながら、こういった絵を添えていた。 それを見た友人が、このらくがき絵をほめてくれたのがきっかけで、プレゼントすることにした。 日記といえば、十代の頃から一応続けている。 日記を始めた理由は、自分の忘れっぽ…
当番ノート 第14期
「あと5分。。。」 その日は仕事を時間通りに終える事ばかり考えていた。というのも、僕は定時の10分後に発車する電車に乗らなければならなかったからだ。週末の夕方はまだまだ人が多くて、お店のあるショッピングセンターは、たくさんのお客さんで賑わっていた。働いている場所は特別田舎ではなかったけれど、利用者のわりに電車の本数が少なく、タイミングを計って駅に向かわないと、次の電車まで30分待つ事も珍しくなか…
当番ノート 第14期
俺には身分を証明するものがない、いまさっきまで、二日ほど。 何て心もとなくて何て心晴れやかだったろう。 切っ先に立ってへらへらしたって胸ぐらは絶対放さない。 よく分からないがそんな感覚、夜の玉川上水のせいですね。 あ、財布、 ルイヴィトンなんですよね?、な、財布がぺしゃんこだったから、たぶん。 戻ってきましたがね、美しいカードのまとまりと。 お金に同じものなんかないのでそれだけは使えない使えないと…
当番ノート 第14期
ケーキというものは 美味しくある事が まず大前提。 さらにそこに「カワイイ」がついて 完成する気がします。 ただ、カワイイの基準は人それぞれ。 色の綺麗なもの フルーツが盛られたもの 細工が施されたもの カワイイデザインは溢れていますが 私がケーキの中で最もカワイイと思うのがこれ、モンブラン。 元々ヨーロッパでは モンブランの山に見立てて山型に作っていたものを 日本で作られるようになってから 麺状…
当番ノート 第14期
パリに住んでいて、愛用しているものがある。「ナビゴ」という定期券だ。日本の定期券と違うのは、厳密に区間を決めているのではなく買った範囲のゾーンはメトロ(地下鉄)でもバスでもRER(近距離鉄道)でも乗り放題ということだ。 私はあても無くどこかに向かうことが好きなのでとても愛用している。パリ市内はどこまでも大丈夫なゾーンを買っている。なので通りかかったバスに乗り、気ままに降り、また違うバスに乗ったり、…
当番ノート 第14期
1989年7月4日 最高気温26℃ 最低気温20℃ 小雨 今朝、ピゴの元へ行くと珍しく不在であった。 ドアに貼り紙があり、見ると見慣れた筆跡で「先に入って待っているように」とあった。 中へ入ると淹れたての紅茶の入った大きな硝子のポットが置いてあり、私がいつも座る席と、ピゴの椅子の前にカップが置いてあった。 ピゴの椅子のすぐ隣には二回りほど小さな赤い硝子のカップがあった。多分、クローナの為に…
当番ノート 第14期
She, Drinks, Smokes, Dreams and Runs away fast. ————————————————-
当番ノート 第14期
猫の名前は ”チロ” わたしが10歳の頃に我が家にやってきた。 肩にちょこんと乗ってしまう程の小さな小さな猫だった。 あっという間に、たくましい大人の雄猫になったチロ。 わりと人懐っこく、でも淡々としているような性格だった。 家と外を行き来するチロはたくさん野良猫とけんかしては、顔や体に傷をおって帰ってきた。 野ネズミを捕ってきては、何度もプレゼントしてくれた。 夜はほとんど、外で過ごした。 …
当番ノート 第14期
薄いピンクで、1-1から順番に番号がふられている5階建てのマンションに僕たちは住んでいる。冬は早くから朝日が入るのと、夏は直接光が射し込まないのでとても快適だった。そして、ソファに座ると、窓からは空しか見えないというところも気に入っていた。クリスマスが終わった頃に引越しをして、一度契約を更新したから僕は3年半近くここで過ごしたことになる。 部屋は古いけれど真っ白にリフォームされていて、二人で住…