当番ノート 第12期
コンコン ぴとぴとと、アパートメントの外縁をなぞり垂れる雨音を遮るように 少し強めのノック音が入り込みました。 「こんにちは」 見るからに優しそうな男の人が扉から顔を覗かせると、 みみこちゃんが「げっ」とでも言いたげな顔をしたので ねこたくんはほんの少しだけ不思議に思いましたが、 「かずとさんですね。さあこちらへどうぞ。」 といつも通りの顔をして、客人を室内へ招き入れました。 「やあ、元気だった?…
当番ノート 第12期
アドバルーンというバンドで、インドネシアまでライブをしに行くっていうので、 その日は朝5時に起きる羽目になった。 まったく良い迷惑だ。 前日の仕事が遅かったせいで、二時間しか寝ていない。 酷い低血圧なので、寝起きがとにかく悪い。 三十分で仕度するために、無理矢理身体を起こし、冷蔵庫のミネラルウォーターをガブ飲みする。 俺は東京人でも無いのにミネラルウォーターを飲む様な輩が大嫌いなのだが、 彼女と同…
当番ノート 第12期
皆さんの故郷はどこですか? この質問でどういう答えが返ってくるのか、とても興味があります。 僕にとっての故郷はずっと住んでいる名古屋ですが、第2の故郷は大阪です。 母親が大阪出身ということで、高校に入るまでは長期連休のたびに大阪へ行っていました。 春休み、GW、夏休み、冬休みと合計すると1年のうちの2ヶ月以上も滞在していたことになります。 大阪という土地が無性に好きでした。 土地柄、おっちゃんらの…
当番ノート 第12期
ある日、カレーを作ろうと思ったのです。 大阪に住んでいたとき、好きなカレー屋さんがあって、 おいしいなあ、といつも食べてたのです。 そこのカレーは20種類のスパイスを使ってました。 その日もそのお店で、 おいしいなあ、と思いながら食べてたのですが、 ふとお店のキッチンに目をやると、 たくさんのスパイスが瓶に詰まっていて、 いろんなかたちの種だったり、色とりどりの粉になっていたり、 はて、あれが、こ…
当番ノート 第12期
みなさんこんにちは はじめまして loudly,clearly ’おおきな声で、はっきりと’ 最近の目標です。 不自由な分、言葉がまっすぐにでてくるので、 かたことの英語で書かせてもらいました。 ・・・・・・・・・・・ わたしの使命は絵を描くことです。 すごく好きだからね。 よくがんばれます。 みなさんの毎週土曜のお楽しみになりますように ∞ sae
当番ノート 第12期
愛猫むぎお 愛称むーさん 彼は空き地に舞い降りた天使なのかもしれない むぎおは日々のんびりと暮らしている。 私の起床と共に目を覚まし ごはん頂戴と 朝のご挨拶。 ニャー。 お腹いっぱいになると家中を軽く偵察し、毛づくろいをし、 目の前を行き来している私にちょっかいを出したりしている。 一通りのことを終えると 仰向けにの格好になり またゴロゴロ。 寝転んでばかりいるむぎおだが ご主人様のお見送りは日…
当番ノート 第12期
コツン、コツンと 弱気なノックの音がはじめに部屋の中に入ってきました。 「どうぞ」 小さな体にはややアンバランスなサイズの蝶ネクタイをつけた、ねこたくんがそう呼びかけます。 「どうぞ、こちらにおかけになってください。そしてお名前を。」 部屋の外はこの時期には珍しい、しっとりした雨が落ちていました。 ここは小さなアパートメント。 床も柱も木でむき出していて、大きな風が吹いた日にはすぐに飛ばされていき…
当番ノート 第12期
というわけで「うさぎのまんが」始めました。 MARUUは普段、おもにイラストの仕事をしています。 このたびは「アパートメント」になるべくない感じの 異様にかる〜いスーダラな物が作れたらいいな〜と思い そうだ、ではエッセイ漫画などどうだろうか?と思いついたのです。 まず手始めに、 ものすごーく身近な ものすごーくゆるいものを描こう、とだけ決めて描き始めました。 そうしたら楽しくてしょうがなくなってし…
当番ノート 第12期
<タバコがやめられるかもしれない話> 午前11時30分に足が攣って、激痛のうちに目覚める。 三十秒くらいうめき声をあげていると、痛みは次第に和らいでゆく。 しかし勢いよく足を動かすと、また攣りそうなので、ゆっくりゆっくり足を元の位置に戻す。 心拍数があがった状態で、とりあえず枕元のiphoneを手に取る。 LINEが8件、メールが三件、着信が1件入っている。 舌打ちをしながらそれを放っておき、性欲…
当番ノート 第12期
今年の夏にアパートメントの住人にならないかと打診を受けた。 実はアパートメントが始まった頃にも1度あったのだが、断ってしまった。 僕はあまり文章を書くのが得意ではない。 だから、不安になってしまったのである。 そういう経緯もあり、またお話を頂けたのは不思議なことであった。 続けて、彼はこう言った。 「ふみちゃんが何を書くのかをみてみたいのです。」 そうか。興味を持ってくれる人がいるのか。 2回もお…
当番ノート 第12期
18歳で生まれたおうちを出てから、 すでに10年以上経っていて、 そのあいだに、そのおうちがなくなりました。 そのおうちもなくなったし、じぶんの有様も、 そこに住んでたころとは幾分変わっています。 いろいろな町、いろいろな部屋に住んで、 今回はこのアパートメントに引っ越してきました。 面白いことに、これまで住んだ町や、住んだ部屋と違って、 いろいろな声が聞こえてくるようです。 もしかしたら、目が合…