当番ノート 第5期
僕は秋乃のことが大好きだ。 このことは出来るかぎり真っすぐに伝えたいと思っている。 だから秋乃の姿も真っすぐに撮りたいと思っている。 真っすぐな瞳をフイルムに閉じこめたいと思っている。 去年の春に恋人同士となった。 僕は長野で、秋乃は千葉で暮らすことになった。 僕にとって秋乃を撮るということが特別なことになった。 秋乃の姿が好きだ。 秋乃の心が好きだ。 秋乃の名が好きだ。 僕は秋という季節がとても…
当番ノート 第5期
誰か胸のうちをえぐって 私を罵倒してほしい 思いつく限りの汚い言葉で あらん限りの仕打ちで 私を砕いてほしい 私の跡形などまるではじめから無かったように 誰の記憶にも残らないように 私を消してくれ 砕いてすり潰して溶かして 固めてもう一度砕いてくれないか 火をつけてくれ 切り刻んでくれ 逆さまにして血を抜き取って カラカラになった私を嘲笑ってくれ できないなら どうしたらあなたに愛されるのかを 教…
当番ノート 第4期
前回、エドワード・ウェストンの話をしました。彼の日記を読むとウェストンの写真を最初に買い始めたのはロサンゼルスのリトルトーキョーに暮らしている日本人達だったということが綴られています。 今から90年前、絵画主義的な作風で若くして高い評価を得ていたウェストンは、その地位を捨て、メキシコの前衛芸術家達との交流の中から新しい写真表現のあり方についての実験の最中で、当時彼の新作を受け入れる様な環境はほとん…
当番ノート 第4期
昔から、ジムなんかによくあるランニングマシンに乗って走ってる人、あれバカなんじゃないかな?と思っていたんだけど(だって同じ場所をハムスターみたいに走り続けてる姿ってマヌケにしか見えない)、最近、僕自身がランニングマシンにはまり出した!あれはおもしろい。実際やってみて思ったんだけど、あれって引きこもりとジョギングの融合だよな。引きこもりとジョギングという相反する二つのジャスティスの幸せな結婚ですよ。…
当番ノート 第4期
世間では、夏は終わったとされている。 私は今年の夏がいつから始まって、いつ終わりを告げたのか全く検討もつかない。 私は、私以外の誰もが好意を持っていないであろう 真っ赤な口紅を塗りたくる。 旦那の顔も 息子達の顔も 近隣の住人達の顔も 別にどうだっていい。気にしていない。 私は若い頃、この真っ赤な口紅がとても似合うと褒められていた。 年老いた今、自分自身で不似合いを認めるわけにはいかないの…
当番ノート 第4期
三回目に書いた記事、「アンテヴァシン/境界に住む者」で書いた 家族が冒された癌のことについて最初にもう少し書いておこうかなと 書き始めました。 癌になった本人の調子がいいときに、誰かが見舞いにきてくれて 果物をぱくぱくと食べてるその最中に突然大量の吐血をした 一度は私の親友の前でそれが起こった それから足の神経をつかさどる脊髄に癌が転移をした後は歩けなくなってしまって 本人が家族に迷惑をま…
当番ノート 第4期
これが9回目、最後の当番ノート。 涙もろい。これが私。 私は映画やテレビでとんでもなく涙もろい。 映画やテレビだけではない。本も。日常も。 例えば本編が始まる前の映画のコマーシャルでさえ、そのシチュエーションから涙を流す事もしばしば。これは子供の頃からで、頭で考える前に涙が出ていると言った方が正しい。なので友達にも「なんで泣いてるのー?!」と言われても、その瞬間どうして涙したのか、うまく説明する事…
当番ノート 第4期
「勧善懲悪ってさあ。みんな好きなわけじゃない。でもさあ、博之さん。あんたの場合、完全超悪だよ。今これ漢字に直すと全然感じが違ってくるんだけど、そのフィーリング感じてくれてる?」 「キ、キキさん!いつからココに!!いるかな??ココに!!」 「いるかいらないかで言ったら、キキさんはいるよ。でもオンバの写真は今はいらない。分かるよな、博之。」 「ええい。もうこうなった以上は仕方あるまい。かくなるうえはー…
当番ノート 第4期
直面する壁に 三つの梯子が付いて在り 例えば私は 真中ひとつに位置をとり 上の盤石な 鉄のひとつに触れて錆を手に先に行くのか 下の拉げた 鉄のひとつに触れて錆付いた私を歩くのか 僕はまず、自分の手帳を開けてみた。八月と九月のページを。 「白いページの余白に」を書いた時、相方のお父さんの四十九日だった。 「一切を無言で。」を書いた時、海に野営に出掛けていた。嬉しいのに、で…
当番ノート 第4期
1988年とか89年頃のことです。写真術誕生150年の節目という時期でもあって、東京では大きな写真展がたくさん開催されていました。 記憶に残っているのは、銀座の松屋デパートで、エリオット・アーウィット、ブラッサイ、アジェ、あとは池袋のセゾン美術館でも大きな写真の企画展をやっていました。プランタン銀座で開催された日大芸術学部と東京工芸大学の所蔵するオリジナルプリントが一同に展示される、という企画展も…
当番ノート 第4期
す、すいません…!生きてます! 締め切りを大幅に遅れてしまった。。。 今までこのアパートメントの連載で、とばした人っているのかな…? 危うく、、、やってしまう所でした。 というわけで、しばらく関西にいたんですが、昨夜遅くに東京に帰ってきて、いま浅草六区のマクドナルドにいます。 ようやくWi-Fiがつながった〜! 今日はなんで浅草にいるかっていうと、cakesという所で書いた「東北」(https:/…
当番ノート 第4期
透明な灰皿は、 短くて くしゃっとしたタバコでいっぱいになっている。 この部屋には二人のタバコの匂いが染み付いているんだろうけど、 私たちしか入ることがないので、そんなことはどうでもよかった。 私はあなたよりも先に目覚めていて、 ベッドの上でぼんやりと天井を眺めたりしている。 なんとなく顔が見たくなった。 寝息をたてているあなたの顔を見ていたら、 あなたは私の気配を…