当番ノート 第4期
ここアパートメントの一週間に一度やってくる締切に 一週間の間に そんなに劇的な出来事なんてないわぁと 学生時代に授業中に回しあった手紙やら 過去の手帳たちが入ってる、見るのも恥ずかしいような開かずの箱の封印を解いた そこにすっかり忘れていたものがはいってた それは簡易家計簿のようなもの。 上京組であった私は大学時代、家賃と高熱費は親に送ってもらっていた 生活費と遊び代はバイト代で稼いで、という経…
当番ノート 第4期
今日はあまりにも暑い日曜日だったので海に行った。 子供の頃から海に縁がなかった。 両親がそんなに海に行かなかったせいだろう。 自宅から海までは電車か車。結構時間がかかるし、行くならば一大イベントだった。 あげくの果てに、中学校、高校と水泳の授業がなかったのでどうやって泳ぐのかも忘れていった。 日本では大きなプール施設があり、流れるプールだったりウォータースライダーといったような アトラクション感覚…
当番ノート 第4期
「ええっ!グルメ三昧ツアー??そんなのわざわざこの島でする必要ないじゃない。 東京のデパ地下ででもやってるんだし。どうしちゃったのケリーちゃん。最近疲れが溜まってるんじゃない? グルメ三昧ツアーにでも行ってきてリフレッシュしてきなさいよ。ええっ!グルメ三昧ツアー?? ちょっとケリー。それって島でやってみたら面白いじゃない!!やろうよ。」 ケリーは疲れていた。マッサージチェアに100円追加しようにも…
当番ノート 第4期
栗色の斑毛 猛禽ひとつ 木陰の水場の手摺に。微動だにせず おまえが 凝視しているのは 開かれた斜面に広がる 無数の花。 無言の 姿の 役割を果たすために。風の中から 現れ。欲して 鳴きもせず咽を嗄らし 気付かない 苛立ちもせず。 羅針を持たない放縦と 尾の方舵の器用は 羽搏きせずに飛ぶ狡黠を好んだ。 その唇は鉤の喙で おまえの寝所は班渓の滝を見下ろす岩の 縦割れに隆起した 崩れない上に…
当番ノート 第4期
今年から東京以外の地方都市に直接出かけていって出張展示する「出張ルーニィ 写真へようこそ!」という企画を立上げまして、1月に岡山市に、5月に名古屋市へ出かけました。今東京には80を越える写真ギャラリーが存在し、とりわけぼくのいる新宿~四谷地区は25軒以上も集積する写真の町になっています。しかし、日頃から写真展巡りが楽しめる地域は東京の他には、大阪と京都くらいしかなく、その他の地域には、ほとんど存在…
当番ノート 第4期
最近、男は全員座って小便する方が世界が平和になるんじゃないかと思っている。 なんでかというと、男が従来のように立って小便する限り、便器前部分が常にこぼれた小便、ハネた小便で汚れるからだ。 女は知らないだろうけど、だいたいの公衆トイレの小便器には「殿方、一歩前進」的な貼り紙がしてあって、それでもまあ ほとんどの男は馬鹿なのでそんなお願いを聞き入れる事なく、自分の好きな位置(ラクな位置)から小便をする…
当番ノート 第4期
こんな時間に目があいた理由は、 初めは全然わからないんだけど、 首が汗でじっとりと濡れているのを確認したら、 ああ暑苦しくて目が覚めたんだとわかった。 ひとりきりの真夜中に Facebookのニュースフィードってとこには、 お盆休みで出かけるみんなの楽しそうな写真がアップされている。 私にはお盆なんて関係なくて、 夏休みなんて関係なくて、 明日の朝も、いつもより…
当番ノート 第4期
病院という場所で病人としてではなく、 看護する側としてそこで生活をする日々を体験した事があるでしょうか 私には過去、病院で実際に寝泊まりをし、 日中仕事の時間はそこから出勤していたという日々があった 自分が検診などでたまに病院へ行く分には あのエタノール臭や(たとえ光がたくさん入る病院であっても)なんとなく 薄暗く感じる空間、それから放射能注意と無機質に冷たく書かれた文字の扉などに 早くここから…
当番ノート 第4期
先日、マルセイユで公開中の映画を見に行った。 その作品の中である詩がでてきた。 「ことばなんか覚えるんじゃなかった」 この言葉がずっと頭の中をぐるぐるとまわっている。 フランスはマルセイユで踊れる事になって来仏した時はほとんどフランス語を知らなかった。 簡単なあいさつでさえ口にするときは緊張して声が震える。 単語も英語と違う。発音も違う。そんな中で私は孤独を感じた。 フランス人に笑って言われた。 …
当番ノート 第4期
「で、ケニーさん。さっきから歯ごたえがコリッコリッとしてるんですけれども、 これってホントにベーコンオムレツバーガーなんですか?そもそもバーガー無いじゃないですか!」 「健次郎や。食べる時に目をつむって食べる習慣はほめたもんじゃああるが、目を 閉じておいでよ。さあおいでおいで。鬼さん、こちら。手の鳴る方へ!!」 私は(私とは健次郎のコトです)静かに目を開ける。 確かこの島には謎の甘納豆が発見されて…
当番ノート 第4期
その月は心が渇いて仕方がなかった 霧雨が降る時が幾日かあり時折に上を向いて口を開けてみる 空気の中に滲んでいる私の心の中にはない潤いを それを胸に吸い込むと少しは きっと救われるのかも知れないと勝手をしてみたら なおさら渇いていって仕舞う 潤すものはどうやら水分のように滞留し漂い 上から下に或いはその逆に行ったり来りをするような不確定の先生の様でもあるが 決定的に必要とされる要素でもな…
当番ノート 第4期
ぼくの本籍地は東京都豊島区で、池袋駅から北へ少し進んだあたりらしい、ということは、自分の運転免許証で知っていました。ぼくの父親の実家は巣鴨・とげ抜き地蔵の近くで、池袋は隣の町ですから昔その辺に住んでいたのかもしれないのですが、その理由については祖父母も父親も亡くなってしまっていて、ついに聞けずじまいでした。本籍の場所なんか行った事がなくたって日常生活に全く支障はなく、だからこそ、40歳を前にするま…