当番ノート 第45期
いらっしゃいませ。 ここはアパートメントの中にある小さなお店「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。 ありきたりのどこにでもあるようなお店。 期間限定でオープン中よ。 私は店長のミス・モモコ。また来てくれてうれしいわ〜 今日も雨だから客足が遠のいちゃうのよね〜 さっ、営業営業。 ・・・えっ?ママはなんの為にこの仕事をしてるかって? そりゃあ決まってるじゃない。 「2000万貯めるためです」よ。…
当番ノート 第45期
よく人から、あなたは優しいよねとか、いい人だよね、なんて言われる人っていると思うんだけど、よくよく世の中に生まれてきた人間って、大人になると大体の人間が「優しくできる」と思うんです。 ただ、優しさといっても「優しい人」と「優しくできる人」ってちょっと違うような気がずっとずっとしてて。だから人と出会い 話し合う時、相手が「根っから優しい人」なのか「ただ優しくできる人」なのかをふと考えてしまう癖がある…
当番ノート 第45期
自分の読書遍歴を言ってくださいと言われたら、答えはノーだ。ノーセンキューです。 読書は、その人の考え方を形成する材料だ。どんなものを好んで食べてきたかで、その人を形作るものの一部が垣間見える。許されるなら「装丁がすごく素敵で買ってみたら中身も面白かったんですよね」って受けごたえで、見栄えのいい且つちょっと中身は難しめの本を並べて見せて、世の中を渡り切りたいと心の底から思っている。 さて、30半ば~…
当番ノート 第45期
19年くらい前、(だいぶ前ですね。)ビューティフルライフというドラマがありました。しがない女子中学生だったわたしは毎週かかさず見てたんですね、ビューティフルライフ。その中で、どうしても印象に残るシーンがあって。物語中盤で、なにかいさかいが起こり、解決に向かい、キムタクが常盤貴子の車椅子を足でクルッとまわして正面から抱きしめて、抱きしめられた常盤貴子が「ねえ柊二、こんなに抱き合っていてもどんなことを…
当番ノート 第45期
いらっしゃいませ。 ここはアパートメントの中にある小さなお店「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。 ありきたりのどこにでもあるようなお店。 ふらりとたどり着けたあなたはラッキーね。 期間限定でオープン中よ。 私は店長のミス・モモコよ。 今日は雨だから、暑さを吹き飛ばすモヒートなんていかがかしら? あら、いつも通りのジャックダニエルソーダ割り? 男は「定番が好き」なのね?もっと冒険してみたら?…
当番ノート 第45期
不思議なんだけれど、大人には何故か 妙な高さへの拘りがある気がする。例えばそれは、マンションに住むなら高い階がいいとか、ドレスを着る時はハイヒールじゃないと自意識が萎えるとか、高層ビルにある会社に勤めているから鼻が高いみたいな 「高い」に越したことはないという変な拘り。 まってまって。 確かにマンションの最上階に住んでれば自慢になるだろうし、10cmヒールを履けば、頭身も脚の長さも見栄えが良くなっ…
当番ノート 第45期
「文章を寄稿してみませんか」と当アパートメント編集長からお誘いを受けた。 快諾した数日後、後悔した。 これが仕事やアートショーのためのプロモーションならば、是が非でも期日内に何らかをひねり出して命と引き換えにでも差し出すのだけど。何もないところに自分事をポンと置くことの行為。当件に関しましてはビジョンもゴールも報酬もない。自由意志で自発的に書きたいことなど持ち合わせていないのだと、自分の空っぽさに…
当番ノート 第45期
昔から、これだな!となにかをさだめることが苦手です。 ものごとを決断するってとても難しい。 くだりのエスカレーターとか、小さい頃ほんとむりでした。 乗るときにどちらの足から出せばいいかわからなくて。 混んでるところだとどんどん後ろから人が来ちゃうし。 大学生の頃は、映画が好きで、よくDVDを借りにいってたんですけど、 なかなか何を借りるか決められず、 これを借りることによって私の2時間はなくなって…
当番ノート 第45期
いらっしゃいませ。 ここはアパートメントの中にある小さなお店「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。 ありきたりのどこにでもあるようなお店。 ふらりとたどり着けたあなたはラッキーね。 期間限定でオープン中よ。 私は店長のミス・モモコです。 ゆっくり腰掛けてハイボールでも飲んでいってくださいね。 さてさて、今日はこないだ来たお客さんについてお話でもしましょうか。 まず、スタンダードの量産型新宿お…
当番ノート 第44期
けっきょく、わたしにとって町とはなんだったか。 アパートメントの連載の話をいただいてから二ヶ月のあいだ、これまで訪れたいろいろな町をよすがに、経験したこと、考えることを書いてきた。わたしはまちがいなく「町」というトピックに惹かれていて、どうにかそれを自分を通して書いてみたかった。 思い入れのある町とない町のこと。同じ町に重なったいくつかのできごとのこと。町に紐づく、あったかどうか不確かな記憶のこと…
当番ノート 第44期
「大切とは」についてそろそろ真剣に考えないと、このさき生きていかれないかもしれない。何かを大切にすることとは、わたしにとって生きることとイコールだとわかったから。 大切だと感じられるものを守ること。「守る」というのは、「庇護する」という意味だけでなく、「遵守する」という意味も含めて。目に見えるもの、見えないもの、全部。生きていく上で必要な、もっというと、死なないための矜持とエナジーは、大切なものを…
当番ノート 第44期
嵐のような雨風の火曜日から一転、爽快な快晴となった水曜日。 朝、いつものように大学の門を通り抜けると、右手に賑やかな雰囲気がある。 近所の保育園児と保育士さんが、のびのびと戯れていた。10数人の園児と、3人くらいの保育士さん。何をしているとは形容しがたいが、とても穏やかな場であることは確かだった。 穏やかな気持ちを分けてもらい、ちょっといい気分で自分の場所へと向かった。 お昼ご飯を調達しに出か…