当番ノート 第41期
電車を使って大阪から京都に向かうとすれば、選択肢は3つあって、阪急か京阪、それかJRで行くことになる。 このうち、京阪は始発駅の淀屋橋からずっと淀川をまたがずに敷設されているが、阪急とJRは梅田駅(大阪駅)を出て早々に淀川を越える。淀川を挟んで、3路線の線路はきょうだいのように並んで走っている。ちょうど、背骨の両脇に太くて大きい筋肉があるように。 淀川は琵琶湖を水源とし、瀬田川、宇治川と名前を変え…
当番ノート 第41期
周りで起こる化学反応 小さなことが 当人同士だけではなく 色んなところに影響を及ぼす その小さな変化が 波のように伝わっていく 毎日の気持ちが忙しい 全て整えて 1日1日を過ごせたなら でも それよりも 感情のうねりの日も 穏やかな日も そのままに受け止めて 味わってみる 今しかないこの気持ち それを味わう きっと味わわなかった気持ちは どこかでいつまでも存在する 味わってそれを昇華していく 昨日…
当番ノート 第41期
連載の第2回と第3回でそれぞれ自宅から徒歩圏内のまちを紹介してきて、近場について書きすぎるのもどうかしら、と思いつつ、やっぱりどうしても外せないと感じるのが、天神橋筋六丁目から扇町の一帯だ。 大阪は東京と違って、近接する乗り換え可能な駅同士で名前が違うことが多々ある。そして、「まちの名前」として知られている呼称と、駅の名前も必ずしも一致しない。 先に書いた「扇町」という呼称を、大阪の人はあまり使わ…
当番ノート 第41期
知り合いのダンサーが引退したと聞いた。 まだ30代になったばかりだったと思うけれど、身体が持たないらしい。 彼はバレエの先生になると聞いた。 それを悲しそうに話したらしい。 悲しみのさきに 幸せがあるのだろうと友人が言った。 人生とはなんだろう 悲しいこと 残念なこと 嬉しいこと 楽しいこと そのさき そのさき ウィーンからブカレストへの電車の中より
当番ノート 第41期
1つの路線の終着駅というのは、そこで行き止まりという訳ではなく、むしろその先のもっと広い世界に開かれているような感じがしてわたしは好きだ。 大阪メトロ堺筋線の終着駅、天下茶屋(てんがちゃや)もわたしにとってはそういうまちで、改札を出て真向かいの南海線に乗り換えると、特急で関西国際空港に行けるというのがそのイメージに拍車を掛けている。 天下茶屋というまちの名前は、かつて豊臣秀吉が、住吉大社参詣の折に…
当番ノート 第41期
ドンキホーテの公演が9月の終わりにあった。 今シーズン最初のバレエの公演。 スペインを舞台にした若い男女の恋物語。 明るくコメデイの要素も強い作品。私たちの劇場ではいつもとても盛り上がる演目の一つだ。 一度この演目の公演の時に、中高生団体が2階席にずらっといて、ものすごく盛り上がっていた。 この国では中高生が休みの日にみんなでバレエを観にくる。舞台芸術が浸透していることを感じ感動した。 日本にはこ…
当番ノート 第41期
連載の初回に書いた通り、主には付き合っていた男と別れるために東京を出てきたのだが、京都に住んでいた2年の間にも多少のやりとりはあった。大阪に移ることを話すと、ミナミで青春を過ごした彼はちょっと嬉しそうで、やがて「必ず足を運んでおくべき店リスト」が送られてきたのだった。 この「店」というのはすべて飲食店で、彼が満を持して推す店が10軒ほど並記してあった。 突出した部分と欠落した部分を極端に兼ね備えた…
当番ノート 第41期
人と関わるということ それを教えてくれた友人がいる。 この人との出会いで私は 人との関わり方が大きく変わった。 何かを得るための関係ではなく ただ一緒に過ごす時間の大切さ 目の前にいる人を受けとめ その主張より 真ん中を見る 許し 寄り添う 毎日の小さな選択こそが自分を作り この世界を作っている大きな選択になること 人生とはなんだろうと思いながら生きる この広い世界の小さな自分 長年の関わりの中で…
当番ノート 第41期
わたしが現在住んでいる家は、梅田からも徒歩圏内なのだが、他にも3つの駅に歩いていける立地にある。 大阪のまちはコンパクトで動きやすい。京都もコンパクトだと言われるが、市内の電車移動の利便性で言うと、大阪に分があるように思う。 1km四方にメトロの駅が4つほどあるので、例えば人と会って解散するとき、「わたしはあっち、あなたは?」という会話が自然に発生する。それぞれが、自分のいちばん便利な路線まで少し…
当番ノート 第41期
Tîrgu Mureș 私の住む街、黒海近くのconstantaよりバスで12時間かけて トランシルヴァニア地方にあるTîrgu Mureșという街に公演に行ってきた。 constantaとは全く違った雰囲気の街。 まるで違う国に来たよう。 海の近くで開放的でジプシーも多く、人々のしゃべる声も大きく、混沌としているconstanta。 Tîrgu Mureșは山に囲まれた静かで綺麗な街だった。 オ…
当番ノート 第41期
東京に30年、そして京都は嵐山に2年住んだのち、大阪に移ることを決めた。 大阪には、学生の頃から10年ほど通い続けていて愛着があった。ゆかりの深かった大阪市南部にも憧れがあったが、北部のターミナル駅である梅田に徒歩で出られることを条件に物件を探した。東京は23区を二分して語る場合、下町感のある東部と、副都心とよばれる新宿・渋谷・池袋などの街を含む西部とに分けて語るのが一般的だが、大阪は南部と北部と…
当番ノート 第41期
お客さんと一緒に踊る 昨日は美女と野獣の舞台だった。 今シーズン初めての上演で、今月に後2箇所違う街で公演がある。 私達の街の劇場Teatrul National de opera si balet Oleg Danovskiでは 毎回温かい拍手で迎えられる。 昨日もスタンディングオーベーション。 客席に明かりがついた時、主役はお客さんだと思った。 毎回同じ場所に座ってるおばあちゃんが昨日も来てい…