当番ノート 第28期
地下鉄の駅を出て長い階段を上り、交差点に立った時、和光ビルの時計が九時を告げた。周囲のけばけばしい明かりとは違って、あの時計の光は柔らかい。けれどそれを眺めたのは一瞬で、僕は信号が青になると同時に歩き始めた。夜になったというのに、茹だるような暑さだ。 なぜ銀座に来たのか?熱風に髪をなびかせながら、僕はふと疑問に思った。ここ最近ずっとそうだ。僕は自分が何をしようとしていたのか忘れてしまう。お湯を沸か…
当番ノート 第28期
はじめまして。 韓国生活で日々感じること、考えさせられることを綴っていこうかと思います。 自分は韓国で美容師をして4年目を迎えている。 この3年ちょいでいろんな大変なことがあったでしょ?とか、どうして韓国で美容師をしているの?など 良く聞かれるがまたちょくちょく機会があれば書いていこうと思う。 今回は最近感じたことを文字にして整理してみることにした。 今の自分のお客さんの割合は日本人50%、韓国人…
当番ノート 第27期
フジコの一生は散々だった。一生、と銘打ってはみても、まだ人生を終えずにちゃっかり生きているのだから、それが情けない。 フジコは三重県四日市市の生まれ。兄弟は居らず、一人っ子。フジコと呼べども男の子である。幼い頃はよく女の子に間違われた。本当は女の子が欲しかった両親が、フジコに女の子の格好をさせていたせいもある。無理も無い事だ。本名は藤原雅美。これも両親の計らいにより、男の子でも女の子でもどちらでも…
当番ノート 第27期
映画「恋人たち」を観ましたか。 公開当初香川での上映予定がなく、しかしどうしても「劇場で観なければ」という気持ちに急きたてられていたわたしは、鞆の津ミュージアムで「障害(仮)」展を観たあとで、福山での最終上映回ならばその日のうちに高松に戻ることができると気付き(翌日朝から仕事だったので)、劇場に滑り込みました。 「どうしても」と思ったのは、この映画が「ぐるりのこと」以来7年ぶりの橋口亮輔監督の長編…
当番ノート 第27期
今回は、最後なのでアパートメントで記事を書くきっかけをくれた大見謝さん(みじゃさん)と対談形式で、これまでと今、これからのことを話していこうと思います。 —————————————————R…
当番ノート 第27期
七月もあっという間に最終週・・・ということはこの連載も今回で最終回。 このクールの当番ノートの中で一番最後に現れ、早々(二番目)に去りゆき、寄稿自体も多くの皆様より一本少なく、コンパクトにまとめるこの潔さをアピールしながら綴っていきましょう。(ただのカレンダー上の都合ですが笑) さて最終回にあたり、自分の書いたものをじっくりと振り返ってみると、「何か」に対して物申したり、「何か」を諭そうとしたりと…
当番ノート 第27期
只今7月18日(月)の6:40。起床は4:45ながら弾けだした蝉の声にまどろみを 拭われて、そろそろお尻にチャッカマンな祝日の朝。 先週は京都での2日間の出店を終えて荷下ろし、片付けからスタート。 平生は家業である工場のお客さま主体の糸屋の仕事(地元奈良や各地での営業、受発注、納期管理&折衝、 工場さま向けリサイクルコットンの梱包出荷、計数管理に資金繰り etc…)に追われ、sared…
当番ノート 第27期
わたしは随分長い間、誰かからの手紙を待っていました。 どんな内容なのかはわからないけれども 確かにある、素晴らしい何か。 想像もできないゆめのような何か そんなものを 月を見上げるたび、街を歩くたびに 祈って 願っていました。 そうして長い長いトンネルを抜けた時、 目の前に現れたのです。 それは例えばお茶の時間 毎朝目覚めること 働くことができること 足元のお花 話し合える友達 ほおばったパンの味…
当番ノート 第27期
季節の話をしましょうよ。ほんのちょっとだけ。 息抜きですよ。 あなたはいつが好きですか? 春?もし春だったら、春のどこが好き? 緑とか桃色とか、見上げて広がる青と白とか。 ある日突然気付く色の豊かさの、その瞬間が好き? あ、わかった冬でしょ。 そんな顔してる。 あなたにだけ聞こえる雪の音とその理由。 窓の外の色が失せたせいで、やっと心の色が見えるから? 寂しさを、美しさと呼んでも許されるところ? …
当番ノート 第27期
「虹がきた!」 電話越しに聞こえる声が、あまりにも嬉しそうで笑ってしまった。 夏の夜に、仕事を抜け出してかけなおした電話。 その声の主を、いつの間にか「ひろしくん」と呼ぶようになったけれど、出会ったばかりのその頃は、「ひろしさん」と呼んでいた。 ひろしさんは、尾道で小さな珈琲屋をやっている。 尾道へ行こうと決めたとき(どうしてそう決めたのだっけ?)一緒に行った人が、友人に教えられたその珈琲屋へ行き…
当番ノート 第27期
前回は、これまでふわふわと使っていたファシグラを、言葉で定義して、その存在の輪郭を明らかにしようと試みました。 グラフィックレコーディング、ファシリテーショングラフィック、グラフィックファシリテーションの3つの類型を合わせて、 日本ではファシリテーショングラフィックと呼ぶことが多いと書いたので、今回は残りの2つを紹介しようと思います。 そして、僕自身が目指しているものはどこなのかをまとめることがで…
当番ノート 第27期
飲食業などというものを営んでいると、結局のとこ「お客様に喜んでもらってナンボ」という要素が少なからずあります。 人(お客様)に喜んでもらうということは、すなわち人に認められるということ。 「人に喜んでもらいたい」から来る「人に認められたい」という欲求。 そう・・・今の私はある意味、承認欲求の塊なのです。 何を言いたいかと申しますと・・・ 本来、今回書くつもりだった内容の記事を、納得できる形でうまく…