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2F/当番ノート

オクユキヲトラエ、タメンテキニキリトル

当番ノート 第27期

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七月もあっという間に最終週・・・ということはこの連載も今回で最終回。

このクールの当番ノートの中で一番最後に現れ、早々(二番目)に去りゆき、寄稿自体も多くの皆様より一本少なく、コンパクトにまとめるこの潔さをアピールしながら綴っていきましょう。(ただのカレンダー上の都合ですが笑)

さて最終回にあたり、自分の書いたものをじっくりと振り返ってみると、「何か」に対して物申したり、「何か」を諭そうとしたりといった内容のものばかり・・・。

思えば最近、眉を寄せていることが多いためか、額が広がるばかりではなく、しわも増えてくる始末。
これは果たして加齢によるものだけなのでしょうか・・・?。

参議院選に都知事選と立て続けにある選挙。
国際情勢、経済政策に社会福祉・・・
テレビもニュース番組やドキュメントばかり見ていて、一つの物事や事件にも常々深く考察する毎日。
同一のニュースも新聞、テレビ、ネット等々で様々な切り口からの情報を逐一集めたうえで熟考。
自分なりの意見や価値観、主張を揺るがないものへと形成できるように努力を欠かさぬ日々を過ごしています。

予約の時間には1分たりとも遅れませんし、食材廃棄は一切出さず、毎食食事の前には失われた命と生産者のために祈りを欠かしません。
ウインドウショッピングなどもってのほかで、他所では無料の水は口にせず必ずいくらかでもお支払いが発生する飲み物を飲んでいます。

誰にも後ろ指を指されず、自らも揺るがぬ信念と自信を持ち、世間にも、そして世界にも恥ずべきことの無いような人生を送れるように、私は日々精進を欠かすことなく毎日を全身全霊をかけて生きているのです。

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・・・というのは全くの嘘で、
テレビではニュースはほとんど目にせず、スポーツやバラエティばかり。
興味の湧かない情報にはほとんど触れませんし、主張や価値観はブレブレ(?)・・・常に自分の中にも矛盾を抱えています。

時には止むを得ず予約もキャンセルしますし、毎日のお店での生ごみの量もそれなりです。
お腹がすいてれば「いただきます」もそこそこにカッ食らいますし、
さんざん接客してもらった挙句の「ちょっと悩んでまた来ます」も得意技。
出されたお水は一気飲みです。

日々考えてることは

「宝くじ当たらないかなぁ・・・」とか
「女性にモテたい」とか
「今日の賄いは何にしよう」とか
「いくら寝ても、毎日眠い」とか
「狼牙風風拳!!!!!!」とか
「前髪の生え際、戻ってこないかなぁ」とか
「女性にモテたい」とか「女性にモテたい」とか「女性にモテたい」とかばかりです。

今回に至るまで、何をそんなに偉そうに・・・まぁ説教臭いことばかり豪語していたのか。

穴があれば入りたい気分でいっぱいです。

若干ブレーキが壊れ、時に信号無視をしていた感もありますが・・・何卒、お許しください。(笑)

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小: 青は『進め』だな?

片:そうだよ?

小:赤は?

片:『止まれ』だよ。当たり前だ。

小:果たしてそうかな?

片:え?

小:今から、信号の常識を言葉の上で覆す。
   赤は『進め』、青は『止まれ』にしてみせる。

片:やってみろ、絶対無理だ。

小:まず、赤と青を平等に扱う為に、中立の状態から話を始める。
   つまり、今お前は交差点の真ん中に居ます。

片:はいはい

小:その時、信号が青だったら?

片:『進め』だよ。

小:赤だったら?

片:『止まれ』だよ。・・・ん?危ない!進まなきゃ危ない!

小: はい赤は『進め』

片:本当だぁ・・・

小:その信号に交差してる車は?青だけど?

片:止まれッ!

小:青は『止まれ』

片:本当だ・・・

小:つまりだ、赤だから止まるんじゃない。
   赤の時は、危ないから『止まる』なんだよ。
   青だから『進む』じゃない。青でも、危ないなら進んじゃ駄目なんだ。
   路上駐車をしないのは、駐禁のマークがあるからじゃない。
   迷惑だからだ。酒飲んだら運転しないのは、検問をやってるからじゃない。
   危ないからだ。ルールを守るという事は、その言葉の表面にだけ
   従うという意味ではない。大事な事は、そのルールが持ってる意味を
   理解するっていう事なんですよッ

以下略

(ラーメンズ 「不透明な会話」より)

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目の前にある一つの物事も、視点や切り口によって形や見え方が全くと言っていいほどに変わります。

事の善悪も立場や文化によって変わります。

定められたルールの遵守も、時と場合によっては最善とは限りません。

立場や状況によっては、見えるものと見えないものもあるでしょう。

今回のこちら、アパートメントでの寄稿の機会を通じて気が付いたことは・・・自分は、普段何気なく目にするモノやコトやヒトに対して、誰もがパッと目視できる表層だけでなく、その裏や奥にある「想い」や「人」を大切にしたいと思っている、ということでした。

正直全く無自覚でしたが、ほとんどの記事に関してのテーマは「食」や「経営」を通じて、自然とそこに帰結しています。

初回にも記述した通り文章に関しては全くの素人。
才能がうかがえない「五流」の実力しか持ち合わせていないうえに、「積み重ね」自体が足りていないので・・・
自問しても解決していない哲学的内容、あこがれるカッコイイ表現や己のスタイルにこだわるより、この機会には読んでいただく皆様に「伝える」「伝わる」ということを強く念頭に置いて向かい合ってみました。

まだまだ、イロイロと「伝えたい」自分の中にある「想い」や「価値観」は沢山あったのですが・・・なかなか上手に文章に落とし込めず、今回は挫折した内容が多々あるのも事実です。

そんな中、いくつかの物事に対する数ある切り口の中で、「私」という一個人の切り取り方で見える視界を、できる限りでご紹介させていただきました。
「こんな見方もあるんだ」「こんな考え方もあるんだ」「こんな発想もあるんだ」ということが一つでも二つでも伝わり、気づき、感じていただけていれば幸いです。

毎回書いていたつもりではありますが、日々目にし、触れ合う物事全てに対して全力でバカ真面目に向き合っていては己が疲弊してしますし、そんな必要は全くないと思います。
ゆるりと楽しく、時に少し気も抜きながらメリハリのある過ごし方が理想的でしょう。

ただ、ふとしたきっかけに「それ」の奥や裏側には様々な人がいたり、想いが込められてたり(するかもしれない)、そんな捉え方があるんだ、といった事を脳裏によぎらせてもらえる瞬間を、少しでも多くの人に作ってもらえると、小さな幸せの積み重ねが今よりもより多くできるのかなと・・・。

そしてそんな自分からは普段見えない角度や視点からの気づきを、各個人が相互的に与え合うことで、より豊かな社会が形成されると信じています。

今後も自らの私生活でもその思いを大切にしつつ、お店や料理を通しても皆々様に「そこに至るまで」に携わってくれた人やその想いを伝えられるよう日々精進し、小さな幸せを少しづつ、少しづつ紡ぎ続けたいと思います。

そしてその小さな幸せを体現すべく、代々木上原の小さなレストランの中で日々鍋を振るっていますので・・・是非皆様、カウンター越しに直接お会いしましょう。

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最後に・・・

このアパートメントを運営されている
朝弘さん(レシピが日々の生活のお役にたててれば幸いです)
鈴木さん(いつか大見謝君を交えてでもお会いできればと期待してます)
森山さん(先日はありがとうございました。オフ会楽しみにしてます笑)

今回この機会を与えてくれた大見謝君(そろそろ一度顔出しなさい笑)

毎回本当に素敵なレビューでフォローアップしてくれたヤカさん(失礼ながら、本当に期待以上のレビューばかりで感激してました。毎回修正多くてなかなか完成せずにすいません)

そして、つたない私の寄稿を辛抱強く読んでいただいた皆様(実際どの程度いらっしゃるのでしょうね・・・?笑)

本当にありがとうございました。
心より御礼申し上げます。

手段や方法、内容は何であれ、今後とも自らに備わった中途半端力を活かし(笑)、何かしらの発信はしていきたいとは思っています。
将来的にいつの日かまたここで機会を頂けるか・・・
或いは別の場所、別の形でかはわかりませんが・・・

カウンター越しにはもちろん、モニター越しでも皆様に再開できる機会があれば幸いです。

では、またお会いする日まで・・・。

井口隆之

井口隆之

Concerto オーナーシェフ
1982年生まれ
私立武蔵高校卒業
アロマフレスカグループ、TACUBO(現)等で研鑽と積み、2013年 東京都渋谷区 代々木上原にて「Concerto」を開業
オープン初年度よりミシュランガイド ビブグルマン部門掲載

日々料理を創造しながら、どうでもいいことばかり想像しています

Reviewed by
ヤカ

井口さんの今まで振舞ってくれたお料理の数々をひとつひとつ味わいながら最後の一皿を読み終えた後はなんだかさみしいような、そして楽しみなような心持ち。

飲食、お料理を通して、沢山のことを井口さんから教えてもらい
今まで何気なく生活していた一場面一場面を意識して見て考えるようになった。

このあっという間な2ヶ月間は沢山のごちそうが詰まっていたなあと思います。
こうしてレビューを書かせていただけたこと、本当にうれしく思います。
今度はお店を訪ねておいしいお料理を実際にいただきます!

井口さんのお料理(コラム)をおかわり(読み返し)ながら今日も一日を迎えます。
それでは、またお会いできる日をたのしみに。

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