こんにちは。アパートメント管理人室です。
アパートメントでは、8月10日までの期間限定で住人さんの作品を販売するマルシェを開催しています!
現在、作品を出品してくれているのは井川朋子さん、木澤洋一さん、ひろのはこさん、Maysa Tomikawaさん、三好愛さん、もうりひとみさん(五十音順)の6名。
前回に続き、今回はMaysa Tomikawaさん、三好愛さん、もうりひとみさんのインタビューをお届けします!
■Maysa Tomikawaさん
PQさんとの往復書簡をはじめ、たくさんの文章をアパートメントに寄せてくれているMaysaさん。今回のマルシェでは、手つむぎ、手編みのニット帽やブランケット、カーディガンを20点も出品してくれています。
Q1 作品を作るようになったきっかけは?
編み物は、8歳のときに祖母に教わって以来、ずっと好きでした。途中、文学に目覚めてからは編み物から離れて、文章を読んだり書いたりすることの方が増えたのですが、あるとき、生きるのが本当に辛くて仕方がなくなったときに「あ、自分は編み物がものすごく好きだったな」って思い出したんです。
編みたいという気持ちが湧いてきて、そのときからずっと編み続けています。編み物は精神安定というか、うちとの対話というか、日常生活で消耗してしまっている何かを取り戻すような気持ちで編んでいます。
糸に触れて編んでいると、やっぱり糸もつくりたくなってきて、いつのまにか自分で紡ぐようになりました。そうすると、あれも作りたい、これも作りたいとなって、どんどん作品が増えて。特に、難病になってからは、編み物をすることが、自分なりに前に進むことのように思えて、暇さえあれば編んだり、紡いだりしていました。文章を書くこととは違う表現方法が必要だったのかもしれないな、と思います。口下手なわたしなりの、アウトプットというか。
今回マルシェに出品しようと思ったのも、ずっと経過観察していた前癌病変が癌化していることがわかったからです。編むことで自分を支えれくれた作品たちを、欲しいと思ってくれる誰かに届けることができたら、なんとなくもう一歩前に進めるのではないかという気がしています。
Q2 作品を作るときのテーマや、意識していることを教えてください。
糸紡ぎや編み物は、はるか昔から、脈々と受け継がれてきたもので、人間の仕事の原点のようなものだと思います。どんな地域であっても、何かしら糸や織物、編み物と関わりのある歴史があって、その歴史を顕微鏡で拡大したら、母から子へ、祖母から孫へという、ファミリーヒストリーがあります。
女性の仕事としての糸紡ぎ、糸に関係する手仕事は、もともとは体を守るもの、家を守るもので、生活を守るものとしての、祈りを込めて作られていたと思うし、とても特別なことに感じます。
わたしは、イタリア系移民の子孫である祖母から、編み物の基礎を教わりましたが、祖母の編み方はポルトガル式なのだということを、大人になってから知りました。わたしの家系の女性たちが、どこかのタイミングで、ポルトガルの人からその技術を教わったのだろうなと思うと、その歴史をずしっと感じます。だからこそ、この技術を絶やしたくないし、出来るだけ多くの人に、手で作られたものの力強さ、あたたかさ、やわらかさを感じてもらえたらいいなと思います。
今の時代、既製品のほうが、仕上がりも綺麗かもしれないし、値段も安く、量産できるけれど、でも、綿花や麻といった植物、羊や蚕、いろんな自然ものから繊維をいただいて、昔からずっと続いている手法を用いて、手で紡いで、編むことで、脈々とつながってきた歴史の一部になれるような気がします。
そういうことを意識すると、大袈裟かもしれませんか、女性のエンパワメントの方法の一つなんじゃないかと思ったりします。自分で生きる力を持った魔女や山姥のようだとも。東京砂漠の一角に棲む、怪しげな山姥が夜な夜な糸車を鬼のように爆走させて、あれやこれや物語を想像(創造)しながら、語りかけるように編んでいる姿を想像してみてください。それ、わたしが心の中に抱いている私自身の姿です。
出来上がったものから、物語や思い出話を感じたり、聞き取ってもらえたり、景色が見えたりしたら嬉しいです。なにより、脈々と続いてきた手仕事の歴史を感じてもらえたらと思います。
Q3 今回出品している作品のイチ押しを教えてください。何個挙げてくださっても構いません。
ぜんぶ、なんていったらダメですけれど、本当にそれぞれ一点ものなので、ぜんぶイチ押しです。
個人的には、ブランケットは毎日使っているので、かなり使えるアイテムだと思います。寝るときに抱っこしたり、座るときに椅子に敷いたり。4枚くらい毎日使う手編みのブランケットがあるので、どんだけ好きなのかがわかると思います。
カーディガンも本当にお勧めです。個人的に特に気に入っているのは「箱庭」と「やまびこ(※すでにソールドアウト)」です。とにかく色合いが好きで、本当は手放したくないんですが、体はひとつきりだし、わたしが独占しておくより、きっとかっこよく着こなしてくれる人がいると思うので。
■三好愛さん
2019年6月から7月にかけてエッセイを連載してくださった三好愛さん。今回は作品集『やわらかな移動』を出品してくれています。淡い色と少し不思議な世界観が堪能できる一冊、「おなかいたいとき」などのユニークなタイトルにも注目です!
Q1 作品を作るようになったきっかけは?
小学生のころに星新一や村上春樹の本を読んで、挿絵を描く人になりたいと思ったのがきっかけです。
Q2 作品を作るときのテーマや、意識していることを教えてください。
言葉や文章をよすがにして描くことが多いです。
なにもないところからなんとなくつくらないようにしています。
Q3 今回出品している作品のイチ押しを教えてください。何個挙げてくださっても構いません。
ZINEにしてはサイズが大きいので、しっかり絵が見れると思います。
■もうりひとみさん
やわらかい絵と想像の余白がある言葉で、イラストとエッセイを連載してくれていたもうりひとみさん。マルシェでは絵本など4作品出品してくれています。暗闇の美しさに目を奪われる『きつねはさぎをつかまえた』や、白黒の世界が広がる言葉のない絵本『流星雨の夜に』など、どの作品も個性豊かです。
Q1 作品を作るようになったきっかけは?
絵を描くのは小さい頃から。物語をかくのも幼い頃から。
学生時代、趣味にしておかなければと割り切ろうとした結果身体を壊し、
作りたい気持ちをおさえつけてきたことに気がつきました。
最初の絵本は友人夫婦に子どもができると聞いて、贈りものとして。
Q2 作品を作るときのテーマや、意識していることを教えてください。
教訓のようなものにならないように、
それから、頭で作らないように、の二つは意識しています。
ふとしたときに見えた絵や場面が、どこへ行くのか見守るような気持ちです。
Q3 今回出品している作品のイチ押しを教えてください。何個挙げてくださっても構いません。
どれも、思い入れがあって、違うものたちを追って描いて書いたので、
全部手にとってみてほしいです。
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マルシェの開催は8月10日(月・祝)まで!
買い逃しのないよう、ぜひ覗いてみてくださいね。