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3F/長期滞在者&more

アシュラと浄土。

長期滞在者

日本に住む友人からの情報で、
ジョージ秋山の『アシュラ』がアニメ化されていた
ということを初めて知り、驚いてすぐに検索してみたら、
とある動画サイトで案の定すぐに見つかった。

2012年の作品。監督は『TIGER & BUNNY』
『神撃のバハムート』などのさとうけいいち。
震災の翌年の公開というのも
何か思うところがあってのことだったのかもしれない。

原作の内容は物凄い、というか、
凄まじいと言った方が適当だと思う。
平安時代の飢饉の中で生きる人たちの中で
時には人肉を食らいながら生き延びる少年アシュラの人生を描いていて、
その描写のおぞましさから、
確か発行禁止になったんじゃなかっただろうか。
(と思って今調べたら、初回連載分の「少年マガジン」が
有害図書に選定されていたらしい。)

連載は1970年から翌年までだったらしいから、
当時ぼくはまだ2歳くらいだったわけで、
おそらく小学生になってから貸本屋(!)で借りるか、
親に連れられて入った喫茶店に置いてあった
単行本を読むか何かしたのだろうと思うのだけど、
とにかく主人公アシュラの描写のまがまがしさに恐れをなして、
たぶん第1巻を読んだくらいで投げ出してしまったんだと思う。
なにしろ今回、そのタイトルを聞いただけで、
アシュラの悪鬼のような風貌がすぐに頭に浮かんだくらいだから、
ほとんどトラウマと言っていいくらいのインパクトがあったのだと思う。

アニメ映画自体は思ったより良くできていて、
観ていて飽きなかったし、原作が持っていた
まがまがしさもある程度再現されてたと思ったが、
正直よくこんな作品を作る気になったなとも思った。
一般受けは絶対しなさそうな作品なので。
それに、当然あの当時70年代、
というか昭和40年代後半頃のオカルトや
怪奇趣味がなければ原作本来のあのニュアンスは再現不可能だろう。

あの頃は、『エコエコアザラク』『魔太郎がくる‼︎』
なんかの魔術モノや『漂流教室』や『恐怖新聞』のような
ホラーも人気があったし、
『デビルマン』や『仮面ライダー』などのヒーローものでさえ
怪奇趣味がその基底部分にあった。
ネッシーやUFOの特集番組や『あなたの知らない世界』などの
心霊現象を扱った番組も多くあった。
あの時期独特の魔術と心霊と伝説と科学と日本の風俗、風習が
どろどろにまぜこぜになった感じは
実は高度成長期の日本人の集団無意識の表象だったんじゃないかなあ
とか、どこぞでまあよく言われてそうなことを思う。
(意味のないことを書いてまったなw)

ところで、アニメ版『アシュラ』の中で
アシュラ(野沢雅子!)が遊行の僧侶(北大路欣也‼︎)に出会い、
南無阿弥陀仏を教わるシーンがあるのだけど、
浄土信仰ってのは平安期にはどれだけ民衆に浸透してたんだろう、
とふと疑問が湧いた。
平安期の浄土信仰といえばイマワの際の藤原道長が
自分の手足を五色の色のリボンで阿弥陀仏像に結びつけたとか
絢爛豪華な来迎図とか、セレブ向けのオシャレ系信仰という
イメージしか実は持ててないのに思い至った。

そうしたら、それに続けて、
たまたまとあるウェブ上で見つけた宗教学者の文章に、
浄土信仰というのは瑜伽行唯識派から発生した、
と書いてあるのを見つけて、
うぉーマジか、知らんかったぞそれ、そのいきさつ、ぜひ知りたい、
と前のめりになっていたら、
タモリの某お散歩番組で補陀落渡海のことに触れてるのにでくわし、
おぉそういや、浄土って西だけじゃないんだったな、
補陀落は南の浄土だったな、あと薬師如来は東、だっけ?とか
ごく基本中の基本に立ち返ることになり、
というか、おれそういえばこの間日本で
法然の『撰択本願念仏集』を買ってきてなかったっけ?
ということになり、慌てて積ん読コーナーから
その青い岩波文庫を引き抜いて目次を読み始めたら、
目次の内容だけで、うわーこれが法然の「撰択」か、
すげぇなー、これは他の宗派から睨まれるわ〜、
なんせこれって易行成仏へのマニュアルみたいなものだと
捉えられなくもないわけだしなぁ、
でもこの「撰択」の仕方が後続の鎌倉仏教の
あの人この人のお手本になって
あの多様性を産んだんだろうな、
いつまで経っても「山川草木悉皆成仏」じゃあ
ラチがあかないもんなぁ、云々、
あれこれ考え込んでしまい、
結局目次だけ読んでお腹いっぱいになったので、
ちょっと瑜伽をしながら唯識派のことを思い出そうとしたんだけど、
どうしてもどこから浄土信仰に繋がるかわからず、
この夏の研究課題にすることにした。

ということで、しばらく触れてなかった仏教思想の基本を
やり直す時期に来てるのを感じてるんだけど、
なんというか、これは前から考えてたんだけど、
今度日本に帰ったら得度してもいいかもしれないなと、
今また思ってたりする。
仏門に入って仏教について学ぶ機会をなるべく作るってのは
いいかもしれない。
それに今すでに坊さんみたいなヘアスタイルだし、
剃髪しても誰も驚くまいw

なのでこの夏にはアパートメント用にマジ得度レポートが書けるかもしれない。
乞うご期待w
というか、どの宗派にするんだろ、おれ?

ひだま こーし

ひだま こーし

岡山市出身。ブリュッセルに在住カレコレ24年。
ふと気がついたらやきもの屋になってたw

Reviewed by
カマウチヒデキ

仏教の歴史というのは、日本の思想史の一つの核でもあろうし、いつかちゃんと系統立って勉強してみたいと思っているのだけれど、ひだまさんはいつかちゃんとどころか、まさに裸足でその野にてくてく降りていってしまっていて、とにかくその足がはやいのだ。
岩場から遠くその背中を見ていたら、おー「誰も驚くまい」って、たしかにその通りなんだけど(笑)、いや、驚くってば。
本当ですか。
乞うご期待って。
いやいや。
浅薄な感想ですみません、似合いそうです!

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