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3F/長期滞在者&more

むきだし

長期滞在者

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 自由であることは大切だと思う。様々なことから自由になって、思いのままに動けたら最高。その点、自分はほんとうに自由奔放に生きていると思う。好き勝手に生きているし、本能のままだし、体だけ大きくなった子どものよう。自分の親世代とはまったく違う価値観を持っていると思うし、今自分のまわりにいる人の多くとも多分どこか違うけれど、それはそれでいいと思う。経験が違えば考え方だって違ってくる。それはごくごく自然なことだ。自由に生きていると、まわりと歩幅や歩調が変わってくるし、where am I? って不安になることもあるけれど、そういうもんだと思うようにしている。

 気持ちが落ち着かないとき、最近よく自分の胸の中で繰り返している言葉がある。
「マイザはマイザやねん」
 これは同僚の言葉。彼の友人が、わたしのことをそのように話していたと教えてくれた。この言葉を聞いたとき、なにかがすごくしっくりきて、すとんとあるべきところに落ちるような感じで、あぁそうだなって納得した。わたし自身が探していた、自分自身を形容するのにぴったりな言葉だと思った。
 考えてみれば当たり前のことだ。自分は自分自身である。それ以上でもそれ以下でもない。それを他者の言葉を通じて発見するなんて変な話だけれど、わたしのことをよく見ているなぁと妙に感心したのだった。波紋のように、その言葉はわたしの中に染み渡っていて、彼のその言葉のおかげで、職場が以前よりも居心地が良くなったように思うし、なによりわたし自身が以前よりも心地よく過ごせるようになった。

 自分を偽らずに生きられるのは素晴らしいこと。自分が自分自身でいられること、それをまわりの人に認められていること、たとえそれが多くの人ではなく、少数だとしても。どこかでこころをむき出しにできるのは嬉しいし、日々そうであれたらと思う。むき出しでいられるスペースが少しでも多くなったらいいのに。そうすることで、自分はもっともっと自由になれるのにと思う。そのためにも、空気は読み過ぎたらだめだなって、守りすぎてはだめだって、過去の自分の行いを反省したりする。自分があぐらをかいて、リラックスできる状況を作っていくために、今は環境づくりをしているところ。芯を強く、でも柔軟に。柔らかく受け入れて、より強くしならせて、釣竿のようにありたい。

 次の生活の拠点では、もう少し、いろいろとさらけだせたらと思っている。わたしたちのこと、わたし自身のこと。私生活ではだんまりを決め込んで、沈黙だけが増えてしまうからこそ、むきだしの状態を増やせたらと思っている。

Maysa Tomikawa

Maysa Tomikawa

1986年ブラジル サンパウロ出身、東京在住。ブラジルと日本を行き来しながら生きる根無し草です。定住をこころから望む反面、実際には点々と拠点をかえています。一カ所に留まっていられないのかもしれません。

水を大量に飲んでしまう病気を患ってから、日々のwell-beingについて、考え続けています。

Reviewed by
owlman

自分を偽らずに生きることについて。
「常識」「普通」といった鎧をまとわずに人前に出ることは、裸で横断歩道の真ん中に立つような恐怖を覚える。
でもやってみてしまえば、むしろ誰もいない平原でひとり立っているのと同じような心地よさがあると気づく。

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